現在、DIC川村記念美術館で開催されているのは、
“フェリーチェ・ベアトの写真 人物・風景と日本の洋画” という展覧会。
幕末から明治にかけて横浜に滞在したイタリア生まれのイギリス人写真家、
フェリーチェ・ベアトが日本各地で撮影した風景や風俗の写真を紹介する展覧会です。
東京都写真美術館や横浜美術館で、
フェリーチェ・ベアトの展覧会が開催されるなら、イメージが湧くのですが。
“DIC川村記念美術館でフェリーチェ・ベアト?”
ちょっと意外な取り合わせな気がしました。
が、実は、DIC川村記念美術館コレクションに、
フェリーチェ・ベアトのアルバム3冊が含まれているとのこと。
これまでは隠れたコレクション (?) だったそうですが、
今回の展覧会で初めて、その3冊のアルバムをフィーチャー!
その中から約180点の写真が一挙公開されています。
フェリーチェ・ベアト 《愛宕山から見た江戸のパノラマ》 鶏卵紙 DIC川村記念美術館
フェリーチェ・ベアト 《東海道、横浜近郊》(生麦事件の現場) 鶏卵紙 DIC川村記念美術館
また、ほぼ同時期に日本で制作された洋画作品18点もあわせて紹介。
幕末から明治期の写真と洋画の関係性にも迫った展覧会です。
浅井忠 《農夫帰路》 1887(明治20)年 油彩、カンヴァス ひろしま美術館
高橋由一 《愛宕山より品川沖を望む》 1877(明治10)年 油彩、カンヴァス 横浜美術館
約150年前の日本を映した写真がメインということもあり、
歴史に興味がない人しか楽しめない展覧会かと思いきや、全くそんなことはありませんでした。
教科書でよく見るような人物写真と違って、
ベアトが撮影した人物写真は、めちゃめちゃ表情が豊か。
それゆえ、
“なぁんだ。今も昔も、みんな同じような表情してるんじゃん!”
と親近感がわくこと請け合いです。
いい意味で、約150年前の写真を見ている感じがしません。
「こんな人いるよねーw」 と素直に受け入れられる写真ばかりです。
特にそう感じたのが、ポスターにも使われている 《役人と従者》 という一枚。
フェリーチェ・ベアト 《役人と従者》 鶏卵紙 DIC川村記念美術館
カメラに映るのが、よっぽど嬉しかったのでしょう。
がっつりカメラ目線です。
そして、その嬉しさを抑え切れなかったのでしょう。
口元がゆるんじゃってます。
従者の2人は、ちゃんと表情を抑えているというのに。
恰好こそ侍ですが、その表情はその辺のドン・キホーテにいる若者と変わりません。
しばらく眺めていたら、コスプレにしか見えなくなってきました (笑)
他にも印象的だった写真を、いくつかご紹介いたしましょう。
まずは、《鎌倉の大仏》。
フェリーチェ・ベアト 《鎌倉の大仏》 鶏卵紙 DIC川村記念美術館
一見すると、鎌倉の大仏を映したよくある感じの観光写真ですが。
大仏様の太もものあたりにご注目。
よく見ると、人が座っています。
それも、堂々と。
いつの時代も、こんな風にヤンチャするヤツはいるのですね。
続いては、《娘と赤児》。
フェリーチェ・ベアト 《娘と赤児》 鶏卵紙 DIC川村記念美術館
赤ちゃんの表情が、渋いです。
ハードボイルドな探偵くらいに渋いです。
赤ちゃんと “ちゃん付” するのが忍びないほど。
あ、だから、タイトルが 「赤児」 なのですね。
と、ついつい赤児ばかりに目がいってしまいますが。
娘の前傾姿勢ぶりも、かなりのもの。
ピーンとした状態で、全身を使って傾いています。
地面に刺さってる?
《古道具屋》 も印象的な一枚でした。
フェリーチェ・ベアト 《古道具屋》 鶏卵紙 DIC川村記念美術館
棚の上に、びっしりと古道具が陳列されていますね・・・・・って、えー?!
画面中央を思わず二度見。
棚と棚を橋渡しさせた板の上に、たくさんの古道具が乗っているではありませんか。
なんちゅうディスプレイ。
なんちゅうバランス感覚。
ハラハラせざるを得ない写真です。
何はともあれ、そっちが気になって仕方がないので、右の女性に全く目がいきません。
せっかくポーズ取ってくれているというのに。
ちなみに、DIC川村記念美術館的には、《葱売り》 がお気に入りな模様。
フェリーチェ・ベアト 《葱売り》 鶏卵紙 DIC川村記念美術館
展覧会オリジナルグッズとして、《葱売り》 のアクリルキーホルダーを作成していました。
・・・・・・・誰が買うのか (笑)
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フェリーチェ・ベアトの写真 人物・風景と日本の洋画
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