■ロダン カミーユと永遠のアトリエ
監督・脚本:ジャック・ドワイヨン
出演:バンサン・ランドン、イジア・イジュラン
2017年/フランス/120分/PG12
《地獄の門》《考える人》 などの作品で知られ、「近代彫刻の父」 と称される、
19世紀フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの没後100年を記念して製作された伝記映画。
弟子入りを切望する女性彫刻家カミーユ・クローデル、
彼女と出会ったロダンが、彼女の才能と魅力に惹かれていく姿を描く。
1880年、パリ。
40歳の彫刻家オーギュスト・ロダンは、
ようやく国から作品制作を依頼されるようになり、後に代表作となる 《地獄の門》 を生み出していく。
その頃、内妻ローズと暮らしていたロダンだったが。
弟子入りを願う女性カミーユ・クローデルが現れ、
彼女の才能に魅せられたロダンはクローデルを助手にし、やがて愛人関係になっていく・・・。
(「映画.com」より)
「ただただロダンの好感度が下がる映画でした(笑)
ロダンの彫刻家としての面も、もちろん描かれてはいましたが。
どちらかと言えば、若い愛人カミーユ・クローデルとの顛末がメイン。
オッサンが若い愛人にデレデレするわ、
人目をはばからずイチャイチャするわ、
内縁の妻と別れるよう詰め寄られてオロオロするわ、
反対に妻からも責められ、もう一つおまけにオロオロするわ。
カミーユに妊娠したと告げられ、
芸術を理由にして中絶を迫ったところでは、さすがに男の僕から見ても、辟易しました。
ただのゲス不倫野郎です。
ロダンが、こんなにも “考えがない人” だったとは。
たぶん、今まさに不倫真っ最中のオッサンが、この映画を見たなら、
“うわ~、若い愛人と不倫してるのって、客観的に観たら、こんな感じなのかぁ”
と、ドン引きするはず。
そういう意味では、ゲス不倫ブーム (?) の流れを断ち切る良い映画なのかもしれません。
ほとんど得るものの無い映画でしたが。
アートテラー的には、《バルザック記念像》 の制作過程が詳しく描かれていて勉強になりました。
何でバルザックが理科室の暗幕みたいなのに巻かれているのか。
ずっと謎だったのですが、その理由がちゃんと映画で描かれていました。
もともとは、裸だったようです。
ちなみに、特に笑うシーンではないはずなのですが、
別バージョンの裸のバルザック像が登場した瞬間、劇場内でクスクスと忍び笑いが起こりました。
まぁ、確かに (笑)
バルザックというよりも、ただのゴブリンです。
さてさて、何よりも衝撃的だったのが、映画の大オチ。
ネタバレになりますので、映画を楽しみにしている方は、
ここから先の数行は、お読みにならないほうが賢明です。
こんなにも愛人にひどい仕打ちをして、
他のモデルたちとも、ふしだらな関係になって、
どういうラストがロダンに待っているのか、と興味津々だったのですが。
ラストシーンの舞台は、超意外な場所。
なんと日本です。
それも現代の日本。
《バルザック記念像》 がある箱根彫刻の森美術館です。
そこで、だるまさんが転んだをして遊ぶ子供たち。
《バルザック記念像》 が鬼の立ち位置でした。
これは、あくまで僕の見解ですが、きっとこう言いたかったに違いありません。
近代彫刻の父・ロダン。
その人生をかけた最高傑作の一つである 《バルザック記念像》 が、
今や遠い日本の国で、芸術品というよりも、子供たちの遊び場所になってしまっている。
それもこれも、カミーユの人生を狂わせた報い。
若い愛人との不倫、ダメ。ゼッタイ。
いや、なんだそのオチ?!
あまりの唐突な展開に思わず笑ってしまいました。
(星0.5つ)」
~映画に登場する名作~
カミーユ・クローデル 《嘆願する女》
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Film:39 『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』
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