現在、根津美術館では、
日本美術界の華麗なる一族・狩野派にスポットを当てた展覧会が開催されています。
その名も、“墨と金―狩野派の絵画―” 。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
「墨と金」。
なんともシブいタイトルです。
思わず福本伸行の漫画を連想してしまいましたが、もちろん全く関係なく。
「墨と金」 は、狩野派が日本の美術界にもたらした2つの革命を象徴したタイトルなのだそうです。
まず、「墨」 とは、水墨画の墨。
狩野派が台頭するまでの絵師たちは、
「夏珪の絵っぽい感じで描きます」 とか 「牧谿の絵に近い感じで仕上げます」 とか、
中国の一流絵師風のスタイルで絵を描くのを得意としていました。
しかし、それでは幅広いオーダーには、なかなか対応できません。
そこで、狩野派の2代目は、数ある中国の絵師たちの水墨画を一旦整理します。
「細密な描写と描線による真体」「もっとも崩した描写である草体」、
そして、「その中間にあたる行体」 の3パターンの画体を確立させました。
そのようにマニュアル化された画体を学べば、
弟子たちも狩野派スタイルで描くことが可能となるのです。
今回の展覧会には、そんな狩野派の弟子たちによって描かれた作品や、
長吉筆 《芦雁図》 紙本墨画淡彩 日本・室町時代 16世紀 小林中氏寄贈 根津美術館蔵
狩野元信が描いたと伝えられる作品が多数紹介されています。
伝狩野元信筆 《養蚕機織図屏風》 紙本墨画淡彩 日本・室町時代 16世紀 根津美術館蔵
狩野派がいかに多くの仕事を手掛けていたかが、よくわかりました。
(ただ、残念ながら、狩野元信が描いた真筆は出展されていません)
また、「金」 とは、金屏風の金。
今ではすっかり当たり前の金屏風ですが。
やまと絵のスタイルを取り入れ、
屏風における 「金」 の存在感を強めたのも、何を隠そう狩野派なのだとか。
狩野探幽 《両帝図屏風》 紙本金地着色 日本・江戸時代 寛文元年(1661) 根津美術館蔵
ちなみに、今回出展されていた中で、
もっとも 「金」 の存在感が強かったのが、狩野宗信の 《桜下麝香猫図屏風》 という作品です。
狩野宗信 《桜下麝香猫図屏風》 紙本金地着色 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
引きで見たら、ほとんど金一色。
もはや存在感とか、そんなレベルではありませんでした (笑)
さてさて、今回の展覧会で紹介されているのは、すべて根津美術館の所蔵作品。
必ずしも狩野派を代表するような作品がなく、やや物足りない印象は否めませんでした。
ただ、17世紀の京都で活躍した狩野山雪の 《梟鶏図》 という作品に出合えたのは、大きな収穫。
狩野山雪 《梟鶏図》 紙本墨画淡彩 日本・江戸時代 17世紀 根津美術館蔵
こんなにもキャラ立ちした日本画があったのですね。
サンリオのキャラクターに混じっても違和感がない気がします。
ちなみに、キャラ立ちといえば、
展示室6では、今年の干支である犬にちなんで、長沢芦雪の 《竹狗児図》 が展示されていました。
長沢芦雪 《竹狗児図》 紙本墨画淡彩 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
愛嬌満点。
毛並みのモフモフ感とつぶらな瞳がたまりません。
連れて帰りたくなるくらいに可愛らしかったです。
そして、同じ展示室6内に、もう一匹、犬にまつわる作品が展示されています。
その名も、《染付犬荘子香合》。
《染付犬荘子香合》 景徳鎮窯 施釉磁器 中国・明時代 17世紀
・・・・・・犬なのか?
頑張れば、ウナギイヌに見えないこともないですが。
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墨と金―狩野派の絵画―
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