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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち

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東京都美術館での “ボストン美術館の至宝展” に、
千葉市美術館での “ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信” に。
昨年も、ボストン美術館には何かとお世話になりっぱなしでしたが。
年明けも早々に、ボストン美術館コレクションで構成された展覧会、
“ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち”が、世田谷美術館でスタートしました。

ボストン
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


今回のテーマは、『パリジェンヌ』
18世紀のパリジェンヌが実際に着ていたドレスから、

パリジェンヌ
《ドレス(3つのパーツからなる)》 1770年頃 The Elizabeth Day McCormick Collection 43.1643a-c


ルノワールやピカソら巨匠によって描かれたパリジェンヌ、

ルノワール
ピエール=オーギュスト・ルノワール 《アルジェリアの娘》 1881年 Juliana Cheney Edwards Collection 39.677


さらには、写真の被写体となった20世紀のパリジェンヌまで。

写真
レギーナ・レラング 《バルテ、パリ》 1955年 
Gift of Leon and Michaela Constantiner 2010.429 Münchner Stadtmuseum, Sammlung Fotografie, Archiv Relang



250年あまりのパリジェンヌの歴史が展観できる展覧会です。
パリジェンヌだらけの展覧会場は、いつになく華やかな感じになっていました。

パリジェンヌ
会場


当時の女性たちの衣装やファッションプレートなど、
ファッション系の展示品が多めなので、どちらかと言えば、女性向けの展覧会。
男の僕からすると、終始、女性ファッション誌を読んでいるような印象でした。
星星


余談も余談なのですが。
当時の女性が実際に着用していたコルセットの前で、

コルセット


“当時の女性にとっては、ある意味、下着のようなものだったんだよなァ・・・”

などと想像してしまい、なんだかドギマギしてしまいました (笑)


さてさて、今回の展覧会の目玉は何と言っても、
修復後初公開となるマネの大作 《街の歌い手》 です。

街の歌い手
エドゥアール・マネ 《街の歌い手》 1862年頃 
Bequest of Sarah Choate Sears in memory of her husband, Joshua Montgomery Sears 66.304



1年にも及ぶ修復作業により、
これまで薄汚いねずみ色と思われていた上着やスカートは、青みがかったシックなグレーに。
さには、細いストライプも浮き出てきたそうです。
まぁ、なんということでしょう!
ちなみに、ギターを脇に抱え、さくらんぼをはむはむ食べながら、
居酒屋から出てきた女性は、マネのミューズといわれるヴィクトリーヌ・ムーランという女性。
なんだか見覚えある顔だと思ったら、
マネの代表作 《草上の昼食》《オランピア》 でも、モデルを務めた人物とのことでした。


そして、もう1点、ポスターのメインビジュアルに使われているのが、
サージェントの 《チャールズ・E. インチズ夫人(ルイーズ・ポメロイ)》 という一枚です。

インチズ
ジョン・シンガー・サージェント 《チャールズ・E. インチズ夫人(ルイーズ・ポメロイ)》
1887年 Anonymous gift in memory of Mrs. Charles Inches’ daughter, Louise Brimmer Inches Seton 1991.926



着ているのは、当時のパリ風のドレス。
“パリジェンヌ展” に飾られていたので、当然パリジェンヌなのかと思いきや、
実は、インチズ夫人は、『ボストンの社交界の華』 といわれたアメリカ人女性とのこと。
パリジェンヌに憧れるのは、日本人だけでなかったのですね。
当時のボストンでは、「流行のものを身につけるのは、品のないこと」 という風潮があったそうで、
セレブたちは、パリの最新衣装を手に入れながらも、あえて2年間ほど寝かせてから着用したのだとか。
2年前の流行って、逆に一番ダサい気がするのですが・・・。
お笑いで例えると (←?)、今年の新年会で、
とにかく明るい安村のモノマネやラッスンゴレライをやるようなものです。


最後に、個人的にもっとも惹かれた作品をご紹介。
ボワイーの 《アイロンをかける若い女性》 です。

アイロン
ルイ=レオポルド・ボワイー 《アイロンをかける若い女性》 1800年頃 Charles H. Bayley Picture and Painting Fund 1983.10


こちらを熱っぽい視線で見つめる女性の姿にも、もちろん惹かれましたが (←?)。
女性の衣服やエプロン、墨や水差し、陶器などの質感の再現度に強く惹かれました。
ちなみに、女性がアイロンがけしている布には、もう目立ったシワはありません。
画面のこちらを気にするがあまり、この後、布を焦がしてしまわないか心配です。




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