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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽

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現在、サントリー美術館で開催されているのは、
“寛永の雅 江戸の宮廷文化と遠州・仁清・探幽” という展覧会。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


江戸幕府が政権を確立し、戦乱の世が終わりを告げた寛永年間 (1624~44) 。
その時期を中心に開花した 「寛永文化」 をテーマにした展覧会です。
江戸時代の文化というと、歴史の授業で、元禄文化と化政文化は習った記憶がありますが。
寛永文化なんて、習わなかったような。。。
それだけに、どんな文化なのか興味津々です。

まず、寛永文化の重要なキーワードは、『きれい』 とのこと。
平和な時代の訪れが、京都を中心とした優美で洗練された文化を産んだのだそうです。
確かに、寛永文化の名品で埋め尽くされた会場は、高貴で華やかでした。





これまで、“江戸時代の文化=町人の文化” と勝手に思っていましたが。
こんな平安時代の貴族文化のような文化もあったのですね。
星星


さてさて、今回の展覧会では特に、寛永文化の三巨匠にスポットライトが当てられています。
一人目は、寛永文化を代表する茶人にして、
江戸幕府の有能な官僚でもあった小堀遠州 (1579~1647) です。

会場には、遠州が京都の六地蔵で入手したといわれる 《小井戸茶碗 銘 六地蔵》 をはじめ、


小井戸茶碗 銘 六地蔵 一口 朝鮮時代 16世紀 泉屋博古館分館
(注:展示期間は、2/14~3/12)



遠州が茶会で実際に使用した茶道具や、記録から想定される茶道具が勢ぞろいしていました。
『きれい』 であり、かつ、『寂び』 も感じられる、
遠州オリジナルの美意識 『きれい寂び』 に満ちた空間は、一見の価値あり。




茶道具のことは、イマイチわからない僕ですら、「あぁ、なんかいいなぁ」 と感じられました。
心がフッと落ち着くような。思わず深呼吸したくなるような。
スーッとした清涼感を覚えました。
おそらく日本人のDNA的な何かが反応したのだと思います。


フィーチャーされている二人目は、狩野永徳の孫にして、
江戸狩野派の始祖といわれる狩野探幽 (1602~1674) です。




探幽といえば、余白の美。
余白の美といえば、探幽。


狩野探幽 《桐鳳凰図屛風》 六曲一双 江戸時代 17世紀 サントリー美術館 【全期間展示】


会場では、探幽が生んだ新たな美のスタイル “余白の美” を、余すことなく堪能することが出来ます。
スッキリとしているんだけど、決して味が薄いわけではない。
しっかりダシが効いている。
ラーメンでいうと (←?)、淡麗系スープのような味わいでしょうか。


そして、三人目の巨匠は、ろくろの名手であり、
京焼随一の名工として名高い野々村仁清 (生没年不詳)です。





個人的には、仁清のファンなので、
まとまった数の仁清の作品が観られる、この特集がもっともテンションが上がりました。
カワイイにもほどがある 《色絵鴛鴦香合》《色絵鵯香合》 (←これのガチャガチャないかな?) や、




釉薬のキラキラ感が水面の反射を連想させる 《飴釉白帆文茶碗》 (注:展示は3/12まで) も良かったですが。




やはり何と言っても、一番インパクトがあったのは、
今回の展覧会のメインビジュアルにも使われている 《白釉円孔透鉢》 です。


野々村仁清 《白釉円孔透鉢》 一口 江戸時代 17世紀 MIHO MUSEUM 【全期間展示】




その独創性溢れる造形は、現代作家による陶芸作品のよう。
海外の陶芸作家の作品と言われても、信じてしまいそうです。
なんなら、古代の謎の文明の出土品と言われても、信じてしまいそうですし、
21xX年の未来からやってきたオブジェと言われても、信じてしまいそうです。
いい意味で、年代不明、国籍不明、正体不明な作品でした。
なんだか穴の奥に別の世界が見えそうな気がして、
作品が展示されたガラスケースを何周もグルグルしながら鑑賞。
一度だけ、反対側にいる人と穴越しで目が合ってしまいました。
・・・・・気まずっ。

 ┃会期:2018年2月14日(水)~4月8日(日)
 ┃会場:サントリー美術館
 ┃
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2018_1/index.html




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