現在、太田記念美術館で開催されているのは、“江戸の女装と男装” 。
タイトルずばり、江戸時代における女装&男装事情をテーマにした展覧会です。
企画の時点で・・・
すでに面白そうな匂いがプンプンとしています!
というわけで、早速行ってきました。
まずは、女装。
江戸時代にどんな女装があったのかと、ワクワクしていたのですが。
基本的に今回紹介されている女装は、歌舞伎における女装、つまり女形でした。
東洲斎写楽 《三代目瀬川菊之丞の田辺文蔵女房おしづ》
・・・・・まぁ、確かに、女装っちゃ女装ですよね。
IKKOとかはるな愛とかマツコ・デラックスとか。
そんな感じの女装に出会えるのを、密かに期待してしまっていました。
正直なところ、役者絵はわりとコンスタントに見ているので、
女形が登場する浮世絵を多数紹介されても、「どんだけ~」 という感じです。
もしくは、「背負い投げ~」。
気を取り直して、男装です。
江戸時代、吉原では毎年8月になると、俄 (にわか)という祭りが開催されていたそうで、
メインストリートの大通りで男装した芸者たちによる獅子舞や俄狂言などが演じられていたのだとか。
その様子を描いた浮世絵が、ポスターのメインビジュアルにも使われているこちらの一枚です↓
月岡芳年 《風俗三十二相 にあいさう 弘化年間廓の芸者風俗》
えっ?男装??
バリバリ女性に見えるので、てっきり女装した男性を描いた作品とばかり・・・。
メイクも女性のままですし、服装も女性っぽいですし。
“どの辺が男装なのでしょう??” と思ったら、男髷を結っているから男装とのこと。
なるほど、江戸時代の男装にとっては、髪型がもっとも重要なパーツなのですね (驚)
こちらも俄の様子を描いた作品↓
落合芳幾 《獅子王二和賀全盛遊》
パッと見は、女性がたくさんいるように見えますが、
確かに、頭に注目すると、みんな男髷を結っています。
男装していますね。
ちなみに、こちらは反対に、盗賊で忍者の児雷也が女装しているシーンを描いたもの。
歌川国貞(三代豊国) 《八代目市川団十郎の巫福寿宝子実ハ児雷也》
・・・・・・・・髪型だけで判断するの、ムズッ。
江戸の女装と男装は、現代の女装と男装とは、だいぶ趣きが違いました。
それがわかっただけでも、興味深い展覧会でした。
さてさて、今回出展されていた作品の中で、
印象的だったものをいくつかご紹介いたしましょう。
女装はコントでは、定番も定番。
そんな笑える女装も、歌舞伎の中にはあるそうです。
それは、あえて大柄な役者が、意地の悪いお局を演じるというもの。
歌川広重 《初代尾上松緑の岩藤》
この手の笑いは、今も昔も変わらないのですね。
吉本新喜劇みたいな感じでしょうか。
男装女装は特に関係なく、印象に残ったのが、
歌川国貞の 《楽屋錦絵二編 十枚之内 五代目岩井半四郎》 という作品です。
五代目岩井半四郎が、東ちづるに見えて仕方ありませんでした。
ただ、それだけ。
ちなみに、男装に絡めて、こんな作品も紹介されていました。
こちらは、東海道の宿場・新井宿の様子を描いた一枚。
新井宿には、江戸から女性が西国へと落ち延びる、
いわゆる出女を取り締まる関所が設けられていたそうです。
女性が男装して関所を抜けることがないように、
厳しくチェックをしていたのが、左に描かれた老婆、通称、改め婆です (←妖怪みたいな名前w)。
てか、わざわざ拡大鏡を使わなくても・・・(笑)
そこはもう肉眼でいっちゃえよ!
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江戸の女装と男装
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