今、上野の東京都美術館に来日中のフェルメールの 《真珠の耳飾りの少女》 もイイですが・・・。
今、上野には、フェルメールの 《真珠の首飾りの少女》 も来日中であることを、お忘れなく!
1662-1665年頃 ベルリン国立絵画館 (C)Staatliche Museen zu Berlin
この 《真珠の首飾りの少女》 をはじめ、
‘ベルリン国立博物館’ が誇る約100点のコレクションを堪能できる美術展が、
国立西洋美術館にて絶賛開催中の “ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年” 。
会期は、9月17日までです。
何と言っても、こちらの美術展の見どころは、
美術史で欠かせない芸術家が数多く登場している点。
ルーカス・クラーナハ(父) に、
《ルクレティア》 1533年 ベルリン国立絵画館 (C)Staatliche Museen zu Berlin
ディエゴ・ベラスケスに、
《3人の音楽家》 1616-1620年頃 ベルリン国立絵画館 (C)Staatliche Museen zu Berlin
サンドロ・ボッティチェッリに、
《ダンテ『神曲』「煉獄篇」挿絵素描より:地上の楽園、ダンテの罪の告白、ヴェールを脱ぐベアトリーチェ(第31歌)》
1480-1495年頃 ベルリン国立素描版画館 (C)Staatliche Museen zu Berlin
ミケランジェロに、レンブラントに、フィリッポ・リッピに、ロイスダールに、
ルーベンスに、デューラーに・・・って、キリがないので、この辺でやめておきます。
とにもかくにも、豪華なラインナップ。
FNS歌謡祭くらいに、豪華アーティストの競演となっております (←?)
しかも、アーティストが豪華な上に、作品は、とても貴重なものばかり。
《真珠の首飾りの少女》 は、日本初公開ですし、
ボッティチェッリの素描作品にいたっては、通常、館外に出されることが無いという激レアな逸品。
国立西洋美術館だからこそ実現した夢の美術展と言えましょう。
通常でしたら、これだけの美術展を開催すれば、
国立西洋美術館の一人勝ちでもおかしくないのですが。
くしくも、フェルメールの作品を前面に押し出した美術展が、
徒歩圏内にある東京都美術館とカブってしまったため、
『国立西洋美術館vs東京都美術館 夏の陣』
という様相に。
観る側からすれば、こんなに贅沢な話はないのですが (笑)
美術館側にすれば、シビアな対決なのではないでしょうか。
果たして、どちらに軍配が上がるのでしょうか。
ちなみに、両方の美術展を観た上での僕の見解は、と言いますと。
質では、東京都美術館の “マウリッツハイス美術館展” のが勝っていたような気がしますが。
アートテラー的に最重要な要素である 『面白さ』 という観点から観れば、
“ベルリン国立美術館展” の方が、一枚も二枚も上手だったように思います。
よって、甲乙つけがたし。
というわけで、ここからは、僕が心を奪われた作品を紹介していきましょう。
(フェルメールやボッティチェリの作品が素晴らしいのは、言わずもがななので、割愛w)
まずは、アルドレア・デッラ・ロッビアの 《聖母子、通称アレッツオの聖母》
15世紀後半 ベルリン国立美術館彫刻コレクション (C)Staatliche Museen zu Berlin
一見すると、なんでもないごく普通の聖母子像に見えますが・・・。
注目すべきは、マリア様の左手。
なんと、自立するイエスの体を、イエスの右足を人差し指と中指で挟むことで支えています!
人差し指と中指の挟む力が、ハンパないぞ!!
これも、ある種の奇跡と言えましょう。
続いても、不思議な聖母子像。
フランチェスコ・モローネによる 《聖母子》 です。
1526年 ベルリン国立絵画館 (C)Staatliche Museen zu Berlin
マリア様のテンションが、低いにもほどがあります (笑)
一体、彼女に何があったのでしょうか。
顎が割れた姿で、描かれることになったから?
それとも、画家の名前が胸元に記載された服を着させられたから??
(マリア様の胸元をよく見ると、作者の “フランチェスコ・モローネ” のフルネームがw)
ライン川流域の工房 (←作者が、だいぶアバウト!)による 《最後の晩餐》 は、
小さいながらも印象が強く残っている作品。
1420年頃 ベルリン国立美術館彫刻コレクション (C)Staatliche Museen zu Berlin
テーブルの向こう側に6人。
そして、テーブルの手前に6人。
しかも、椅子に座っているのを表現するために、椅子越しの足まで表現しています。
驚くほどに精巧に作られたレリーフです。
しかし、なぜか、その厚さは1cmほど。
いやいや、もっと厚めに作った方が、より立体感が表現できますよ!
と、教えてあげたい。
あと、 『欽ちゃんの仮装大賞』 で、
こういう出し物がありそうなイメージでした (←?)
この 《最後の晩餐》 を越える (?) レリーフ作品が、こちら。
1690年頃 ベルリン国立美術館彫刻コレクション (C)Staatliche Museen zu Berlin
イグナーツ・エルハーフェンの 《イノシシ狩り》 です。
小さな作品なので、ちょっとアップにしてみましょう。
これまで古今東西、数々の木彫作品を目にしてきましたが、こんなにも精巧な作品は初めて。
もはや細かすぎて伝わらない木彫作品です。
いやはや、久しぶりに、純粋に驚ける作品に出会えました!
ちなみに、イグナーツ・エルハーフェンの作品は、もう一点展示されていました。
《シカ狩り》 1690年頃 ベルリン国立美術館彫刻コレクション (C)Staatliche Museen zu Berlin
こちらも、同じくらいスゴい。
その細かい描写に、ただただ見入ってしまいました。
いつの日か、イグナーツ・エルハーフェン展が開催されることを楽しみにしています。
ラストに紹介したいのは、今回の美術展の隠れ目玉作品。
ティルマン・リーメンシュナイダーの 《龍を退治する馬上の聖ゲオルギウス》
およそ500年前に作られたユーモラスな木彫作品です。
1490年頃 ベルリン国立美術館彫刻コレクション (C)Staatliche Museen zu Berlin
日本では、あまり馴染みがない人物ですが、
聖ゲオルギウスは、キリスト教圏では、ドラゴン退治でお馴染みの人物。
数多くの芸術家が、聖ゲオルギウスのドラゴン退治をテーマに美術作品を残しています。
その中でも、異色の部類にカテゴライズされるのが、
このリーメンシュナイダーの木彫作品ではないでしょうか。
まず、何より、聖ゲオルギウスが強そうではありません!
実質的に、龍を退治しているのは、馬ですし!!
というか、そもそも、龍が全くもって龍っぽくないです (笑)
観れば観るほどヘンテコなリーメンシュナイダーの 《龍を退治する馬上の聖ゲオルギウス》
これは、ある意味、見逃せない作品です。
・・・と、ここまでは、今回の美術展のイイ面ばかりを紹介してきましたが。
一つだけ、残念だったことが。
美術展のタイトルに、 『学べる』 とありますし。
ポスターでは、
「学ベルリン。」
と、西洋美術館にしては珍しく、ゆるいキャッチコピーが使われていましたので。
さぞかし、池上彰さんばりに、
美術史をわかりやすく噛み砕いて解説してくれる美術展なのかと思いきや・・・。
案外そうでもなかったです (笑)
キャプションの文体は、これまでの美術展と大差のないマジメな語り口のものでした。
楽しく学べる美術展を期待していただけに、ここだけは残念。。。
美術について学びたい人は、自分で調べるしかなさそうです。
「学ベルリン。」 というか、 「調ベルリン。」 でした。
とは言え、今年見逃せない美術展の一つであることは確か。
是非とも、足を運んでみてくださいませ♪
・・・えっ、行きたいのは山々だけど、
今年の夏から電気料金が値上げで、ベルリン国立美術館展に行く余裕がない??
わかりました!
そんな皆様のために、
ベルリン国立美術館展のチケットを5組10枚様にプレゼントいたしましょう!
「ベルリン国立美術館展に行きたい!」 という熱い思いを、
こちらの記事のコメント欄に書き込んで頂いた後に、
住所・氏名・電話番号を、以下の応募フォームよりお知らせください。
http://homepage3.nifty.com/art-teller/tony_contact.htm
(当選は発送をもって代えさせていただきます
<巡回情報>
九州国立博物館 10月9日(火)~12月2日(日)
美術ブログのランキングに、ご協力をお願いします。昨日までの順位と比ベルリン。
↧
ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年
↧