今年2018年は、横山大観の生誕150年の節目の年。
そして、横山大観の没後60年の節目の年でもあります。
そんなW記念イヤーに、東京と京都の2会場で、
過去最大規模となる横山大観の回顧展、“生誕150年 横山大観展” が開催されます。
まず先行して開催されているのが、東京国立近代美術館。
早速、足を運んできました!
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
横山大観を主役にした展覧会は、これまでにも日本各地で開催されてきましたが。
今回の最大の特徴は、出展作がすべて横山大観の手による作品であるということ。
影響を受けた画家や交流の深かった画家などの作品は一切ありません (共作は数点あり)。
いうなれば、大観100%です。
しかも、ただ数を揃えたというわけではなく。
若き日の傑作から、大観の代名詞ともいうべき富士山の絵まで、
70年にも及ぶ画業の中で生まれた大観の代表作が、ほぼ網羅されています。
さらには、40メートルを超える日本一長い画巻で、
重要文化財の 《生々流転》 もフルバージョンで出展されています。
いやはや、まさに大観のベストアルバムのような展覧会でした。
捨て曲、もとい捨て絵は一切なし。
会期は1か月半と短めなので、
大観ファン、近代日本画ファンの皆さま、どうぞお見逃しなきように。
(万が一、見逃した場合は、6月8日から始まる京都国立近代美術館のほうへ!)
ちなみに、前期だけで、十分にベスト展を堪能したつもりでしたが。
5月8日からはじまる後期では、大観の作品の中でも特に豪華絢爛な 《夜桜》 と、
横山大観 《夜桜》 (左隻) 1929年 大倉集古館蔵 (注:展示は、5月8日~5月27日)
《紅葉》 が夢の競演を果たすとのこと。
横山大観 《紅葉》 (左隻) 1931年 足立美術館蔵 (注:展示は、5月8日~5月27日)
他にも、半数以上の作品が前後期で入れ替わるのだとか。
どうやら、今回のベストアルバムは2枚組だったようです。
どちらも行かなくては。
今回出展されていた作品の中で、個人的に印象に残っているのは、
100年ぶりに発見されたという 《彗星》 (写真右。展示は前期のみ) という一枚。
1910年に地球に接近したハレー彗星が描かれています。
山間部に向かう彗星。
その光景を目にしていたら、気づけばあのメロディが頭を流れていました。
『君の名は。』 がヒットした後に、
この絵が発見されたというのが、偶然にしてはよく出来ている気がします。
それと、もう1つ印象的だったのが、
大観が亡くなる3年前に描いたという 《風蕭々兮易水寒》 です。
全盛期の水墨画と比べてしまうと、
お世辞にも、上手いとは言えないのですが。
横山大観 《風蕭々兮易水寒》 (左隻) 1955年 名都集古館蔵 (注:展示は、5月8日~5月27日)
タイトルの 「風蕭々兮易水寒 (かぜしょうしょうとしてえきすいさむし)」 は、『史記』 の一節。
その一節には続きがあり、それも含めて訳すと、
「風はもの寂しく吹き、易水は寒い (=冷たい)。
勇ましい男は一度去ると、もう二度と帰ってはこないだろう。」 となるのだとか。
そう知ってから見ると、犬が大観自身に思えてきました。
まだまだ描きたいものがある。
でも、年齢のせいで思うように描けない。
そんな悔しさのようなものが、絵から滲み出ていたような気がしました。
いつも同じような作品を発表しては、それなりに拍手喝さいされる。
そんな浅草のベテラン芸人のような印象を、横山大観に抱いていたのですが。
実は死ぬまでチャレンジ精神を持ち続けた画家だったことを、今回の展覧会で改めて実感しました。
永遠の若手。
それが、横山大観。
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