生誕140周年を記念し、泉屋博古館分館にて二部構成で開催されている木島櫻谷の回顧展。
4月8日に閉幕した “木島櫻谷 PartⅠ 近代動物画の冒険” は、
口コミにより人気が爆発し、お客さんが殺到したとのこと。
泉屋博古館分館が開館して初となる入場規制がかかったそうです。
そんな今キテる展覧会の続編となるのが、
現在開催中の “木島櫻谷 PartⅡ 四季連作屏風+近代花鳥図屏風尽し” 。
会期は、5月6日までとなっています。
会期が短めなので、どうぞお早めに!
PartⅡ最大のハイライトは、15代住友吉左衞門 (春翠) が、
自邸の大広間を飾るために、木島櫻谷に制作を依頼したという 「四季連作屏風」 の一挙公開!
「春」 にあたる 《柳桜図》 を含む、
木島櫻谷 《柳桜図》 大正6年(1917) 泉屋博古館分館蔵
「夏」「秋」「冬」 の題材で制作された豪華絢爛な屏風4点が、会場の一室を埋め尽くしています。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
前を見ても、金。横を見ても、金。
なんともゴージャスな空間です。
分館長曰く、「ここが、パワースポットだよ」 とのことですが、言いえて妙でした。
確かに金屏風に三方向を囲まれた地点に立つと、
全身に金パック施され、デトックスされた感じになります。
観る、というよりも、浴びる美術作品でした。
春夏秋冬どの作品も素晴らしかったですが、
個人的に一番のお気に入りは、やはりメインビジュアルにも使われている 《燕子花図》 です。
木島櫻谷 《柳桜図》 大正6年(1917) 泉屋博古館分館蔵
ゴールドで燕子花というと、根津美術館が所蔵する尾形光琳の国宝の 《燕子花図》 がありますが。
光琳のほうがデザイン的なのに対し、
櫻谷のほうは写生的で、燕子花を一つ一つ描き分けられています。
また、光琳のほうの燕子花は正面向きに描かれているのに対し、櫻谷のほうは横向き。
オマージュしつつも、新しさ&櫻谷らしさを取り入れた “ネオ 《燕子花図》” といった印象を受けました。
また、こちらの 《竹林白鶴図》 も、
「四季連作屏風」 と同じく15代住友吉左衞門の依頼によって櫻谷が制作した作品です。
15代は、大の鶴好きだったそうで、
須磨にある別邸に鶴小屋を作り、そこで鶴を飼っていたのだとか。
この作品は、そんなペットの鶴をモデルに描かれたのだそうです。
ほぼ実物大。
近くで観ると、結構な迫力があります。
鶴が、こんなに大きかったとは。
もし道端で鶴が倒れていたとしても、助けてあげられる気がしないです。
さてさて、PartⅡでは櫻谷の作品以外に、
同時代の花鳥画の名手たちによる屏風作品も併せて展示されていました。
それらの中での個人的イチオシは、山口華楊の兄・山口玲熙の 《冠鶴》 です。
山口玲熙 《冠鶴》 大正3年(1914) 泉屋博古館分館蔵
アフリカの草原に棲息するホオジロカンムリヅルが描かれた珍しい日本画。
アフリカの鳥だからでしょうか。
全体的にそこはかとなく、『ライオンキング』 感が漂っていました。
ちなみに、こちらの展覧会、
”高橋君に聞いてみないとネ” でお馴染みの鳥博士の高橋君と訪れたのですが。
高橋君のおかげで、とある絵に関して、衝撃的な事実が判明してしまいました。
その絵とは、鳥の描写と岩肌の表現を特に得意とした望月玉溪の 《夏冬之図》 。
望月玉溪 《夏冬之図》 明治43年(1910) 泉屋博古館分館蔵
左隻に仲睦まじいオシドリのカップルが描かれているように見えますが・・・。
高橋君曰く、「これ、どっちもオスだよ。奥のは夏羽のオス、手前のは冬羽のオス」 とのこと。
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