今年でめでたく開館15周年を迎える森美術館。
それを記念して、現在開催されているのが、“建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの” 。
森美術館史上、いや、おそらく日本の美術館史上でも最大規模となる建築展です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)
展覧会のテーマは、“建築大国ニッポン”。
日本国内では意外と知られていないのですが、
実は日本は、世界でもトップクラスの建築大国です。
イチローや大谷翔平がメジャーリーグで活躍するように、
本田圭佑や長友佑都が世界のサッカーリーグで活躍するように。
伊東豊雄さん、安藤忠雄さん、妹島和世さん、隈研吾さんら、
数多くの日本の建築家が、世界をフィールドに活躍しています。
しかし、その歴史を遡ってみると、
日本に “建築” という概念が西洋から輸入されたのは、明治時代のこと。
わずか約150年前の出来事です。
“どうして、そんな短期間で、西洋に追い付き追い越せすることができたのでしょうか?”
その謎を解くカギは、古代から現代へと脈々と受け継がれた日本建築の遺伝子にあり!
今回の展覧会では、日本建築を考える上で重要なプロジェクトの数々を通じて、
「安らかなる屋根」 や 「共生する自然」 など、日本建築の遺伝子の9つの特質を紹介しています。
幻の古代の巨大建築・出雲大社から、
《古代出雲大社本殿》 年代不詳/2018年(CG)制作:後藤克典
日本建築史に名を刻む名建築や、
現在絶賛竣工中の超最新建築まで。
展覧会で紹介されているプロジェクトの数は、100。
それらに関する貴重な模型や資料などの総数は、400点を超えています。
展覧会を監修した藤森照信さんでさえ、
記者向けの会見で、「途中で見るのが疲れました」 とジョークを飛ばしていたほど (笑)
実にボリューミーな展覧会です。
もちろん、量だけでなく質も大充実!
見どころはいろいろありますが、
一番の目玉は何と言っても、国宝の茶室 《待庵》 の原寸再現でしょうか。
《待庵》 は千利休の作とされる日本最古の茶室建築で、京都府大山崎の妙喜庵に現存しています。
実物の 《待庵》 を見学するには、往復はがきでの申し込みが必要。
さらに、内部に関しては、にじり口の上部にある小窓から覗くことしか許されていません。
そんな 《待庵》 をふらっと、かつ内部まで見学できる絶好の機会です。
しかも、作り立てホヤホヤなので、新築の匂いもしました。
アートテラー的には、
「これで十分満喫したので、もう実物を観なくてもいいのでは?」 という気になっています (笑)
(国宝ハンター的には、実物は未見なので、近いうちに訪れなくては!)
また、さすがに原寸ではないですが、
今は無き幻の 《丹下健三自邸》 が、3分の1スケールで再現されています。
こちらも今展の目玉の一つ。
実際の 《丹下健三自邸》 は、鉄筋コンクリート製ですが。
今回の模型は、小田原市の宮大工らの手により、木製で再現されています。
なんというか、巨大な神棚のよう。
思わず柏手を打ちたくなりました。
建築について知識や興味がある方のほうが、より楽しめますが。
まったく建築に興味がない方でも、楽しめる工夫が随所に施されていました。
一部の建築ファン、建築関係者向けのマニアックな建築展ではなく。
建築という日本文化の1ジャンルを紹介した展覧会という印象。
これまで数々の建築を題材にした展覧会を鑑賞してきましたが、
充実度、オススメ度とともに、間違いなくこの展覧会が暫定1位です!
ちなみに、森美術館のある六本木ヒルズも、今年4月で開館15年目。
にもかかわらず、100のプロジェクトの中に、六本木ヒルズは選ばれていませんでした。
その忖度しない姿勢も素晴らしい。
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