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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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【特別展】 琳派 ―俵屋宗達から田中一光へ―

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今年2018年は、江戸琳派の祖・酒井抱一の没後190年に当たる年、
さらに、その弟子である鈴木其一の没後160年に当たる年でもあります。
それらを記念して、現在、山種美術館では、
『琳派』 をテーマにした展覧会、“琳派 ―俵屋宗達から田中一光へ―” が開催されています。



(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)


山種美術館というと、近現代の日本美術コレクションに定評がありますが。
実は、少なくない数の琳派の名品も有しています。
今回の展覧会では、そんな山種美術館の琳派コレクションを一堂に紹介!




さらには、伝 俵屋宗達 《槙楓図》 も修復後初のお披露目となっています!


伝 俵屋宗達 《槙楓図》 17世紀(江戸時代) 紙本金地・彩色 山種美術館


・・・・・と、ここまでは、ただの (?) 琳派展。
展覧会の後半では、速水御舟をはじめ、


速水御舟 《翠苔緑芝》 1928(昭和3)年 紙本金地・彩色 山種美術館


福田平八郎や加山又造など、琳派に影響を受けた近現代の日本美術の名品も併せて紹介しています。
近現代の日本美術の作品と併せて展示されることで、
琳派とは、決して江戸時代限定のムーブメントだったわけでなく、
その後も、デザインのエッセンスが脈々と日本美術界に受け継がれていたことが実感できます。
山種美術館ならではの琳派展といえましょう。

さらに、今回は、昭和を代表するグラフィックデザイナー・田中一光のポスターも併せて紹介。


田中一光 《JAPAN》 1986(昭和61)年 紙・シルクスクリーン 東京国立近代美術館蔵


琳派のエッセンスが、美術の分野だけでなく、
デザインの分野にも受け継がれていることを実感できる展覧会となっています。
今なお琳派のエッセンスは生き続けているのですね。
琳派フォーエバー。リビング琳派。
俵屋宗達から現代まで受け継がれる琳派のリレーに、胸が熱くなりました。
やはり日本は、バトンパスが得意なようです。
星星


さてさて、今回出展されていた作品の中で特に印象的だったものをいくつかご紹介。
まずは、《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》 です。


俵屋宗達(絵)・本阿弥光悦(書) 《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》 17世紀(江戸時代) 紙本・金銀泥絵・墨書 山種美術館


今でこそ断簡ですが、もとは約22メートルに及ぶ巻物。
俵屋宗達が描いたとされる鹿の下絵に、
本阿弥光悦が 『新古今和歌集』に収録された28首の秋の和歌を書き付けています。
山種美術館が所蔵している断簡は、その巻物のオープニング部分とのこと。
ポツンと描かれた1頭の鹿。
秋の寂しい感じが漂っています。
ふと、巻物の続きが気になって、後半部を所有するシアトル美術館のHPをチェックしてみました。
で、こちらが、その 《鹿下絵新古今集和歌巻》 の後半部分↓
http://art.seattleartmuseum.org/objects/14261/poem-scroll-with-deer?ctx=662e0306-1a8d-4dae-9795-aed8c8b41478&idx=1


予想以上に、鹿がいました。
うじゃうじゃいます。
奈良公園かと思うくらいに鹿がいました。
寂寥感は、全くありません。
なんとなく、後半部がアメリカに渡ってしまったのも納得です。


続いて、尾形光琳の 《白楽天図》


尾形光琳 《白楽天図》 18世紀(江戸時代) 紙本金地・彩色 (注:展示は5/12~6/3)


白楽天の乗った船が大変なことになっています。
傾斜はほぼ45度。
転覆必至です。
しかし、当の白楽天は涼しい顔。
船頭さんも涼しい顔をしています。
ということは、もとから、こういう船なのかも。
ヤンキーのバイクの背もたれ付きシートのように見えます。


最後に紹介したいのは、安田靫彦の 《朝顔》 という一枚。


安田靫彦 《朝顔》 昭和7-12年頃 山種美術館


安田靫彦というと歴史画のイメージが強い画家。
こういうスッキリとした花の絵も描いていたのですね。
絵としては、とても気に入りましたが、
琳派っぽいかというと・・・そうでもないかも。
強いて言えば、つるの部分が軽やかで琳派っぽいですね。
でも、現実的に、つるが重力に逆らって、こういう形になることがあるのだろうか。
うーん。




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