(注:この記事には一部グロテスクな表現が含まれています)
その夜、男は後悔していた。
何でこんなものを買ってしまったのだろうか、と。
遡ること、半日前。
男は、上野の国立科学博物館で開催中の “特別展「昆虫」” を訪れていた。
そのお土産コーナーで販売されていた、ある衝撃的な商品に目が釘付けになる。
“これ買ったら、面白いんじゃない?”
きっと、そんな軽いノリで手にしたのであろう。
そして、そのままレジに一直線。
芸人の性というのは、何と恐ろしく、何と浅はかなのだろうか。
ともあれ、男は未来コオロギスナック (¥380) なるものを購入した。
「ちょっと!おたくで買ったスナック菓子に、虫が入ってたんだけど!」
と言いたくなるような代物であるが、それは通用しない。
なぜなら、コオロギスナックであるから。
むしろ、コオロギが入っていなかった時に、
「ちょっと!おたくで買ったスナック菓子に、虫が入ってないんだけど!」
というクレームが成立するのである。
さて、気になるのは、なぜコオロギが入っているのか?
そもそも、何がどう未来なのか?
その辺りは、パッケージの裏面に書かれている。
要約すれば、近い未来、人口の増加により、食糧難が起こる可能性があるとのこと。
そのピンチを救うのが、コオロギなのだそうだ。
いわく、牛と比べて、4分の1の飼料で済む。
いわく、牛肉と比べて、たんぱく質は2倍以上、ビタミンB12は20倍以上。
さらには、9種類すべての必須アミノ酸を含み、
必須脂肪酸、オメガ3やオメガ6、鉄やカルシウム、食物繊維も豊富なのだそうだ。
なるほど。確かに、コオロギはスーパーフードなのかもしれない。
しかし、肝心なことが抜けている。
牛肉と比べて、コオロギは10倍、いや100倍以上、食欲がわかない。
口に入れる気がしない。
食べ物として致命的ではないか。
とは言え、購入してしまった以上、食べないと話が進まない。
男はまず中身を皿に開けてみた。
スナックのところどころから顔を覗かせるコオロギ。
とても食べ物とは思えない。
とりあえず、チーズスナックから食べてみることに。
パクリ。
見た目以上に、歯ごたえあり。
サクサクというよりは、ザクザクという感じ。
男はまんざらでもない表情を浮かべている。
そして、ついにコオロギに手を伸ばす。
が、そのままフリーズ。
コオロギを見つめる男。
そんな男を見つめるカピカピのコオロギ。
どれくらい時間が経っただろうか。
意を決して、口の中へ。
噛むほどに、ゾリゾリと口の中で小さくなっていくコオロギ。
そこから口いっぱいに広がる未知の風味。
水で飲み込んでしまいたい衝動にかられるが、
ブログの読者さんに正確な味を伝えるべく、口の中に全意識を集中させ、必死にその答えを探る。
ゾリゾリゾリゾリと噛み続けること、しばし。
どうやら、その風味に近いものに思い至ったらしい。
果たして、男の口が導き出したのは?!
「・・・・・・・ゴザ?」
男の名誉のために言っておくが、男はゴザを食べたことはない。
あの枯れた感じ、草っぽい感じ、食感、
すべてを総合すると、まるでゴザを食べてるようだ、ということである。
柿ピーを食べている時、ついつい柿の種ばっかり食べてしまい、ピーナッツが残ってしまうことがある。
未来コオロギスナックに関しては、その比ではない。
どうしたってコオロギが多く残ってしまう。
コオロギ本体もなかなかのビジュアルであったが、
皿の底の方に、もがれた羽や脚が溜まっているのも、なかなかである。
コオロギに頼らないといけない時代が来るだなんて。
未来は絶望的だ。
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何でこんなものを買ってしまったのだろうか、と。
遡ること、半日前。
男は、上野の国立科学博物館で開催中の “特別展「昆虫」” を訪れていた。
そのお土産コーナーで販売されていた、ある衝撃的な商品に目が釘付けになる。
“これ買ったら、面白いんじゃない?”
きっと、そんな軽いノリで手にしたのであろう。
そして、そのままレジに一直線。
芸人の性というのは、何と恐ろしく、何と浅はかなのだろうか。
ともあれ、男は未来コオロギスナック (¥380) なるものを購入した。
「ちょっと!おたくで買ったスナック菓子に、虫が入ってたんだけど!」
と言いたくなるような代物であるが、それは通用しない。
なぜなら、コオロギスナックであるから。
むしろ、コオロギが入っていなかった時に、
「ちょっと!おたくで買ったスナック菓子に、虫が入ってないんだけど!」
というクレームが成立するのである。
さて、気になるのは、なぜコオロギが入っているのか?
そもそも、何がどう未来なのか?
その辺りは、パッケージの裏面に書かれている。
要約すれば、近い未来、人口の増加により、食糧難が起こる可能性があるとのこと。
そのピンチを救うのが、コオロギなのだそうだ。
いわく、牛と比べて、4分の1の飼料で済む。
いわく、牛肉と比べて、たんぱく質は2倍以上、ビタミンB12は20倍以上。
さらには、9種類すべての必須アミノ酸を含み、
必須脂肪酸、オメガ3やオメガ6、鉄やカルシウム、食物繊維も豊富なのだそうだ。
なるほど。確かに、コオロギはスーパーフードなのかもしれない。
しかし、肝心なことが抜けている。
牛肉と比べて、コオロギは10倍、いや100倍以上、食欲がわかない。
口に入れる気がしない。
食べ物として致命的ではないか。
とは言え、購入してしまった以上、食べないと話が進まない。
男はまず中身を皿に開けてみた。
スナックのところどころから顔を覗かせるコオロギ。
とても食べ物とは思えない。
とりあえず、チーズスナックから食べてみることに。
パクリ。
見た目以上に、歯ごたえあり。
サクサクというよりは、ザクザクという感じ。
男はまんざらでもない表情を浮かべている。
そして、ついにコオロギに手を伸ばす。
が、そのままフリーズ。
コオロギを見つめる男。
そんな男を見つめるカピカピのコオロギ。
どれくらい時間が経っただろうか。
意を決して、口の中へ。
噛むほどに、ゾリゾリと口の中で小さくなっていくコオロギ。
そこから口いっぱいに広がる未知の風味。
水で飲み込んでしまいたい衝動にかられるが、
ブログの読者さんに正確な味を伝えるべく、口の中に全意識を集中させ、必死にその答えを探る。
ゾリゾリゾリゾリと噛み続けること、しばし。
どうやら、その風味に近いものに思い至ったらしい。
果たして、男の口が導き出したのは?!
「・・・・・・・ゴザ?」
男の名誉のために言っておくが、男はゴザを食べたことはない。
あの枯れた感じ、草っぽい感じ、食感、
すべてを総合すると、まるでゴザを食べてるようだ、ということである。
柿ピーを食べている時、ついつい柿の種ばっかり食べてしまい、ピーナッツが残ってしまうことがある。
未来コオロギスナックに関しては、その比ではない。
どうしたってコオロギが多く残ってしまう。
コオロギ本体もなかなかのビジュアルであったが、
皿の底の方に、もがれた羽や脚が溜まっているのも、なかなかである。
コオロギに頼らないといけない時代が来るだなんて。
未来は絶望的だ。
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