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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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にじいろのさかな原画展~マーカス・フィスターの世界~

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展覧会あるあるを一つ。

夏休み期間は、絵本の原画展が開催されがち

今年も、日本各地で絵本の原画展が開催されています。
ただ、そろそろネタ切れになってきたのでしょうか。
ピーターラビットエリック・カールと比べてしまうと、
そこまでメジャーではない絵本 (作家) にまで、手を出しているように思えます。
現在、川越市立美術館で開催中の展覧会も、その一つ (←?)。
9月9日まで、“にじいろのさかな原画展~マーカス・フィスターの世界~” が開催されています。




こちらは、世界中で3000万部以上も読まれる大ベストセラー絵本、
マーカス・フィスターによる 「にじいろのさかな」 シリーズの原画展。
それほどの大ベストセラーにもかかわらず、
お恥ずかしながら、絵本も作家も存じ上げませんでした。
ただ、第一作が発表されたのは、1992年とのこと。




その時、僕は9歳。
絵本はとっくに卒業していました。
(『ズッコケ三人組』 シリーズにハマっていた頃です)
知らないのも当然です。
おそらく30歳以下の人ならば、懐かしむことができるのでは?
星


というわけで、僕は全くの初見だったのですが。
水族館が好きなこともあって、わりと純粋に楽しめました。
「にじいろのさかな」 の絵本の最大の特徴は・・・




特殊な印刷技術によってウロコやヒレがキラキラしていることです。
キラキラしたウロコを持つこのシリーズの主人公の名前は、その名もズバリ “にじうお”。
記念すべき第一作をかいつまんで説明すると、こんなお話です。

ある日、キラキラしたウロコが自慢の “にじうお” のもとに、
小さな青い魚がやってきて、その綺麗なウロコをくれないか、と言いました。
しかし、ウロコをあげたくない “にじうお” は、その魚を追い払ってしまいます。
この話はすぐに海中に広まり、誰も “にじうお” に近寄らなくなってしまいました。
独りぼっちになった “にじうお” は、賢いタコにアドバイスを求めます。
タコは “にじうお” に、こう言いました。

「ウロコをみんなに分けてあげなさい。きっと幸せになれるでしょう」

と、そこに先日の青い魚がまた現れました。
“にじうお” は、タコの助言に従って、青い魚に小さなウロコをあげることにしました。
すると、青い魚はとても喜んでくれました。
その様子を見た “にじうお” は、集まってきた他の魚たちにも、自分のウロコを分け与えるように。




そして、ついには、“にじうお” のウロコは1枚だけになってしまいます。
それでも、幸せな “にじうお” は、他の魚たちと一緒に仲良く遊びましたとさ。
めでたしめでたし。


・・・・・・・・・・・・。

いろいろとツッコミどころの多いお話でした。
まず、“にじうお” の “にじうお” たるキラキラしたウロコ、
“にじうお” のアイデンティティともいうべきウロコを、そんなに簡単に取り外していいものなのか。
結局キラキラしたウロコが1枚しか残ってない “にじうお” は、もはやただの “うお” なのではないか。
1枚でも “にじうお” というなら、ウロコをもらった魚もまた “にじうお” なのではないか。
そもそもキラキラしたウロコに釣られて、つるんでいる魚たちは、本当の友だちなのだろうか。
可愛らしい絵柄ながら、いろいろと考えさせられます。
そういう意味では、確かにイイ絵本なのかもしれません。


ちなみに、展覧会では、そんな第一作から、
最新作である 「まけるのも だいじだよ にじいろの さかな」 まで。





シリーズ全作の原画が紹介されています。
「にじいろのさかな」 ファンならば見逃せません。
さらに、4面の壁と床を使った体験型の映像コーナーも用意されていました。




まるで海の中にいるよう!
そう思って、ふと見上げてみると・・・




たくさんのプロジェクター。
そして、複雑に絡み合った無数の配線。
まさにタコ足。
海だけに。




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