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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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【特別展】皇室ゆかりの美術―宮殿を彩った日本画家―

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早いもので、2018年もあとわずか。
今年2018年は、平成最後の年でもあり、
明治元年から満150年の節目の年でもあり。
例年以上に、皇室に縁の深い1年だったように思います。

そんな2018年のラストに山種美術館で開催されているのが、
“【特別展】皇室ゆかりの美術―宮殿を彩った日本画家―” です。
会期は、2019年1月20日まで。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


見どころは何と言っても、4年ぶりに一挙公開となる皇居宮殿にちなんだ作品群です。




これらの作品の元ネタ (?) は、昭和43年に新築された皇居宮殿のために描かれたもの。
日本を代表する画家たちが、その腕を競うように皇居宮殿を飾る絵を描きました。
それらの絵画を、皇居宮殿で目にした山種美術館初代館長の山﨑種二は大いに感動したのだそう。
そして、多くの人が、それらの絵画を多くの人に見てもらいたいと、
同趣向の作品の制作を、宮殿装飾を手掛けた日本画家本人たちに直接依頼したのだそうです。
まず皇居宮殿に招かれることはないですが、
もし、僕が同じように皇居宮殿の絵画を目にして感動したとしても、
きっとみんなに 「いやぁ、感動的でしたよ」 と自慢げに話すだけでしょう。
みんなにも見てもらいたい、だなんて思わないはず。
ましてや自腹で絵画を制作してもらおう、だなんて微塵も思わないはず。
作品ももちろん素晴らしかったですが、それ以上に山﨑種二の心意気が素晴らしかったです。
星星


ちなみに、縦約2メートル、横約9メートルの東山魁夷の大作 《満ち来る潮》 も、そうして制作された作品。




ただし、皇居宮殿に飾られている 《朝明けの潮》 が引き潮の情景を描いているのに対し、
こちらの 《満ち来る潮》 は、引き潮でなく、あえて満ち潮の情景を描いているのだそうです。
その理由は、山﨑種二が証券会社の社長だったから。
縁起を担いだのだそうです。
東山魁夷の気配りもまた素晴らしい。


さてさて、展覧会には、他にも皇室にゆかりのある制度で、
“人間国宝の前身” とされる帝室技芸員に任命された作家たちの名品も紹介されていました。
竹内栖鳳や横山大観といった日本画家の作品は当然ながら、




柴田是真や並河靖之といった帝室技芸員の工芸作家の作品や、




黒田清輝や安井曾太郎といった帝室技芸員の洋画家の作品も出展されています。




工芸作品や洋画は、普段あまり山種美術館で展示されないので、なんとも新鮮な感じでした。
しかも、これらの作品を所蔵していただなんて。
山種美術館の意外な一面が見られる展覧会でした。

ちなみに。
帝室技芸員の作品として出展されていた中で、
個人的に一番惹かれたのは、山元春挙の 《火口の水》 です。




ゴツゴツした崖壁や靄がかった空気の表現も見事ですが、
それ以上に、タイトルが推している (?) 火口の水の表現が見事!
景色が映り込んだ感じが、あまりにもリアルで、
何かテカテカした特殊な顔料を使っているのかと、疑ってしまったほどでした。
で、近づいて見てみると、そこには仲良く水を飲む2頭の鹿が!




その鹿のサイズから逆算するに・・・なんてスケールだ!
想像していた以上に、壮大な光景でした。
一旦近づいて、それから離れてビックリする。
驚きがあとからやってくるパターンの絵画でした。


また、今回の展覧会は、山種美術館の所蔵品だけでなく、
宮内庁三の丸尚蔵館や国立歴史民俗博物館など、他館の特別出品の作品も。




いつも以上に華やかな展覧会となっています。
特に目にも華やかだったのが、ボンボニエールの数々。




ボンボニエールとは、フランス語で、飴を表す 「ボンボン」 を入れるための菓子器。
飴玉や金平糖などを入れるケースです。
一般の人にとっては、あまり馴染みがないですが、
皇室の皆様にとっては、ボンボニエールは馴染み深いモノ。
明治時代より、皇室で行われる儀式や婚礼など、
お祝い行事の記念品として、列席者にボンボニエールが贈られているそう。
ちなみに、つい先日の高円宮家の三女・絢子さんの結婚式でも、
引き出物として、ボンボニエールが列席者に贈られたのだそうです。
お菓子を入れるケースに、これほど贅をこらすだなんて。
さすが皇室。
同じお菓子を入れるケースでも、フリスクケースとは輝きが違いました。




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