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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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吉岡徳仁 ガラスの茶室 – 光庵

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先日は、佐賀県立美術館へ。
美術館のある佐賀城公園に足を踏み入れると、
まず目にドドーンと飛び込んできたのは、ホワイトベースのような重厚感溢れる建物でした。





こちらは、佐賀県立美術館ではなく、佐賀県立博物館。
ティラノサウルスから吉野ヶ里遺跡の出土品、有田焼まで、何でも揃う総合博物館です。
なんと観覧料は無料!
がばい博物館です。

そんな佐賀県立博物館に隣接し、一部が通路で繋がっているのが佐賀県立美術館。
1983年に開館した美術館です。




こちらも、なんと特別展以外は無料!
佐賀県生まれの洋画家・岡田三郎助の作品を紹介する常設展示室、
通称、「OKADA-ROOM」 も、もちろん無料で鑑賞することができます。




さらに、岡田三郎助に関して言えば、
今年の4月にオープンしたばかりの岡田三郎助アトリエも無料で見学することも可能とのこと。
こじんまりしたアトリエが、美術館内に再現されているのかと思いきや。
案内されたのは、なぜか美術館の外。
そこには・・・





まるまる一軒家がありました。
佐賀城公園内に、ポツンと一軒家。
なんともシュールな光景です。
ちなみに、こちらの建物は、一から復元されたものではなく、
なんと昨年まで渋谷区恵比寿にあった建物を移築し、一部を復元したもの。
正真正銘、本物 (?) の岡田三郎助アトリエなのです。
わざわざ東京から佐賀県まで・・・。
しかも、たったの1年で・・・。
がばい美術館です。


そんな佐賀県立美術館で、現在、開催されているのは、
佐賀が生んだ世界的なデザイナー吉岡徳仁さんの最新展 “吉岡徳仁 ガラスの茶室 – 光庵” です。




最初の展示室に飾ってあるのは、吉岡徳仁さんの代表作の一つ 《Waterfall》
世界最大、4.5mの光学ガラステーブルです。




今展は全面的に写真撮影が可能。
キラキラと光り輝く水面を彷彿とさせるガラス面と、
ゆらゆらと揺らめくような影は、どこから撮っても絵になります。
まさにインスタ映えするガラステーブルです。





続く展示室でお披露目されているのは、
今展のメインである 《ガラスの茶室 – 光庵》
2015年に、京都・青蓮院門跡の境内にある将軍塚青龍殿に設置され、
大きな話題となったあのガラスの茶室が、今回初めて屋内空間で公開されています。




残念ながら、内部に入ることはできません。
しかし、代わりと言ってはなんですが、
オルセー美術館にも設置されているガラスのベンチ 《Water Block》 に座って、
ゆったりと鑑賞することが可能となっています。




茶室自体、基本的にはシンプルな建築ですが、
《ガラスの茶室 – 光庵》 は、まさにシンプルofシンプルな茶室。
余計なものをそぎ落としにそぎ落とした (?) 究極のミニマムな茶室です。

そのミニマムな魅力を最大限に味わうなら、
「光の壁―茶室―自分」 の位置関係で鑑賞するのがベター。
フォルムがくっきりと浮かび上がります。
また、「光の壁―自分―茶室」 の位置関係で鑑賞すると・・・




自分のシルエットがガラスに映り込み、
まるで 《ガラスの茶室 – 光庵》 内にいるかのような感覚を味わえます。
どうぞお試しあれ。


さてさて、おそらく多くの方が疑問に思っていることでしょう。





“ぶっちゃけ、ガラスの茶室で正座したら、足痛くなるんじゃないの??”

と。
皆さまの代わりに、学芸員さんに聞いてきましたよ。
「見た目より、全然痛くないです」 とのことです。
吉岡さん、使い勝手を疑ってしまって申し訳ありませんでした。

その後、茶室内をくまなく観ていると、天井の一角に謎のパーツがあるのを発見!




その正体は、プリズムとのことでした。
屋外の将軍塚青龍殿に設置されていた際には、
ある一定の時間になると、降り注ぐ太陽の光がこのプリズムを通って、
虹色の光となり、"光の花" として茶室を彩っていたのだそうです。




ちなみに、最後の展示室では、吉岡さんのワークスを網羅したVTRと、
ダイヤモンド形のスワロフスキーをガラスに閉じ込めたスツール 《Eternal,Swarovski》




昨年のDom Perignon Art Projectで発表された 《Prism》 が紹介されていました。




展覧会としては、以上。
吉岡さんの作品同様、シンプルでミニマムな展覧会です。
ただし、物足りないという感じはありません。
なぜなら、佐賀県立美術館は、大々的に3年前にリニューアルされたのですが、
エントランスや回廊、展示室などの改装の監修を手掛けたのが、何を隠そう吉岡徳仁さん。




つまり佐賀県立美術館そのものが、
吉岡徳仁さんの作品と言っても過言ではないのです。
いやはや、たっぷりと堪能いたしました。
星星




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