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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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国宝 雪松図と動物アート

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現在、三井記念美術館で開催されているのは、“国宝 雪松図と動物アート” という展覧会。
こちらは、すっかり年始年末の恒例となった三井記念美術館のコレクション展です。

例年はお正月に限定公開されている円山応挙筆の国宝 《雪松図屏風》 ですが。
今回は、なんと会期中まるまる公開されています。


国宝 《雪松図屏風》 円山応挙筆 江戸時代・18世紀 三井記念美術館蔵


さらに、三井記念美術館が所蔵するもう1件の国宝、《志野茶碗 銘卯花墻》 も、
かつて北三井家が所蔵した国宝茶室 「如庵」 を再現した展示室内で特別公開中です。


国宝 《志野茶碗 銘卯花墻》 桃山時代・16~17世紀 三井記念美術館蔵


2018年を締めくくるにもよし、
2019年の美術鑑賞始めにもよし。
平成最後の年始年末を飾るに相応しいスペシャルなコレクション展です。
星星


ちなみに、今展で出展されている作品は、
国宝2件と一部の作品を覗いて、すべて動物がテーマとなっています。
鹿や猿、牛、虎といった哺乳類から、
亀や鶴、トンボなどの爬虫類、鳥類、虫、
さらには龍や鳳凰といった架空の動物までもが勢ぞろい。
年始年末の特番のように、賑やかな展覧会場です。

その中で、個人的に特に心を奪われたのは、
京焼の陶芸家、永樂和全による 《陶製象香炉・金襴手宝珠形火屋》 という作品。


和全 《陶製象香炉・金襴手宝珠形火屋》 明治20年(1887) 北三井家旧蔵


リアルな象ではなく、絵本に登場しそうなゆるキャラ感満載の象です。
色合いといいフォルムといい、
ぞうのババールを彷彿とさせるものがありました。
この象を主人公にしたコマ撮りのアニメを見てみたいものです。


ゆるキャラといえば、野々村仁清作の 《信楽写兎耳付水指》 も。


仁清 《信楽写兎耳付水指》 江戸時代・17世紀 北三井家旧蔵


一見すると、ただの圧力鍋のようにしか見えません (←?)。
動物は一体どこにいるのでしょうか?
正解は、肩の部分。
上の写真の角度からでは、何が何だかわからないのですが、
実は、耳がビヨーンと伸びたウサギが左右それぞれに取り付けられているのです。
そのゆるいフェイスは、脱力必至!
まさに今展覧会のマスコットキャラ的存在です。


茶道具以外にも、酒井抱一の 《秋草に兎図襖》 や、
国内初出品となる長沢芦雪の 《白象黒牛図屏風》 が特別公開されるなど、絵画も充実していました。
その中で特に印象的だったのが、沈南蘋による 《花鳥動物図》 11幅のうちの1点。
《藤花独猫》 です。


《花鳥動物図のうち藤花独猫》 1幅 清時代・乾隆15年(1750) 北三井家旧蔵


猫が、若干怖め。
ちらりと見える胸元が、妙にムキムキしています。
きっと立ち上がったら、腹筋が6つに割れているのではないでしょうか。
板垣恵介感の強い猫でした。


また、三井記念美術館といえば、超絶技巧。
今展でも、超絶技巧な作品が紹介されています。
数々の超絶技巧の作品の中で、特に目を惹かれたのが象彦と戸嶌光孚のコラボ作である 《遊鯉蒔絵額》


象彦・戸嶌光孚 《遊鯉蒔絵額》 昭和10年(1935) 寄託品


こちらは、絵画ではなく、高蒔絵で制作された作品です。
餌を投げ入れた瞬間、ぬる~っ、ぬら~っと、
集まってくる鯉の姿が、実にリアルに表現されていました。
動きだけでなく、池の匂いまでも感じられるような圧倒的リアリティ。
一見の価値ありです。


ちなみに、三井記念美術館の超絶技巧展で、
一躍スターダムになった安藤緑山の牙彫作品も展示されていました。


安藤緑山 《染象牙貝尽置物》 明治~昭和時代・19~20世紀 北三井家旧蔵


先日まで、安藤緑山 (あんどうろくざん) と紹介されていましたが、
今展のキャプションには、安藤緑山 (あんどうりょくざん) とありました。
なんでもご子孫の方が見つかり、
緑山本人が 「りょくざん」 と称していたことが判明した模様。
名前の読み方は少し変化しましたが、緑山の作品の素晴らしさは変わりません。




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