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あかりの競演 ラリックとドーム兄弟

現在、箱根ラリック美術館で開催されているのは、
“あかりの競演 ラリックとドーム兄弟” という展覧会。

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(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


同時代に、ともにフランスでガラス工芸作家として活躍したラリックとドーム兄弟、
彼らが制作したあかり (照明器具) が競演を果たした、なんとも冬にピッタリな展覧会です。

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ほぼ同世代の2組ですが、先にガラス工芸家として活動を始めたのは、ドーム兄弟。
彼らの最大の目標にして最大のライバルは、エミール・ガレだったそう。
なるほど。確かに、その作風はガレと通ずるものがあります。

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ただし、時にグロテスクなまでに、
植物や生物をリアルに表現したガレの作品に対し、ドーム兄弟の作品は品よく穏やかな印象。
そして、何よりもドラマチックです。

例えば、上の 《楓文ランプ》
ついつい楓の葉が咲き誇る傘の部分に目が行ってしまいますが、スタンド本体にもご注目ください。

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種がハラハラと舞い落ちる様子が表されています。
さらに、足の部分は根っこがモチーフとなっています。
照明器具の全体を使って、一つのドラマが表現されているのです。


さてさて、色ガラスを用い、カラフルな光で人々を魅了したドーム兄弟やガレに対し、
宝飾デザイナーから転向し、ガラス工芸に後発で挑んだラリックは、単色ガラスを多用しました。

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ドーム兄弟の作品を女性的とするなら、ラリックの作品は男性的。
スタイリッシュで、造形そのものの美しさで勝負している印象を受けます。
また、あかりとして周囲を照らすドーム兄弟の作品に対し、

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基本的にラリックの作品のあかりは・・・

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ラリックの造形をメインに照らしています。
美術品としては、どちらも甲乙つけがたいですが、
自分の家に飾る照明器具としては、ドーム兄弟の作品のほうが役に立ちそうです (笑)
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星
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今回出展されていた作品の中で特に印象的だったのは、
ドーム兄弟の 《モネ・ドゥ・パプ/ルナリア》 という作品。

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ヨーロッパ原産の植物、ルナリアの実をモチーフにした照明器具です。
青く神秘的な光を放つあかりの部分も美しかったのですが、
工芸家ルイ・マジョレルが手掛けたという金属部分の有機的な造形も美しかったです。
電機のコードが茎に絡まる蔦のように見えるデザインも秀逸でした。

こちらの 《睡蓮》 という作品も、
ドーム兄弟がルイ・マジョレルとタッグを組んで制作したもの↓

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全体的には、まったく睡蓮っぽくないのですが。
足の部分は、かろうじて睡蓮の葉のように見えます。

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葉の上に乗っているのは、おそらくカエルでしょうか?


一方、ラリックの作品で印象的だったのは、魚のランプです。

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美術館に展示されているので、美術品を見る目で鑑賞できましたが。
もしヴィレッジヴァンガードやドン・キホーテに、
このランプがディスプレイされていたら、素通りしていたかもしれません (笑)
でっかい醤油入れにも見えてきました。


ちなみに、ドーム兄弟は主にアールヌーヴォーの時代に活躍したわけなのですが。
時代がアールヌーヴォーからアールデコへと移り変わると、
もちろんドーム兄弟もアールデコの作風にチャレンジしています。
その時代に制作されたのが、こちらの 《縞模様ランプ》 という作品。

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・・・・・・・・・。

ドラマチックはどこへやら。
人間には得意分野と不得意分野がある。
そんなことを痛感させられる作品でした。




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