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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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新・北斎展 HOKUSAI UPDATED

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現在、森アーツセンターギャラリーでは、
“新・北斎展 HOKUSAI UPDATED” という展覧会が開催されています。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を頂いております)


こちらは、日本が生んだ世界的スーパースター葛飾北斎の大規模な展覧会。
2016年よりオープンしたすみだ北斎美術館もあることから、
北斎の大規模な展覧会は、都内でコンスタントに開催されている気がしていましたが。
実は意外にも、都内で大規模な北斎展が開催されるのは、10数年ぶりとのこと。
北斎ファン、浮世絵ファン待望の展覧会です。
もちろん展覧会では、北斎の代表作中の代表作 「冨嶽三十六景」 シリーズや、




海外では 「ホクサイ・スケッチ」 の名で人気を博す 『北斎漫画』 も紹介されていますが。




今展のキーワードは、『UPDATED』。
近年発見された作品や、日本初公開となる作品、
今まであまりスポットが当てられていなかった肉筆画などが、重点的に紹介されています。




まさに、これまでの北斎像をUPDATEDする展覧会。
北斎のイメージがガラッと変わる展覧会です。
星星
ちなみに、出展作品の総数は、なんと約480件!
期間中、何度も展示替えが予定されています。
展覧会自体も、常にUPDATEDされるようです。


さてさて、アメリカのシンシナティ美術館が所蔵する 《円窓の美人図》 を筆頭に、


葛飾北斎 《円窓の美人図》 絹本額面 文化2年(1805)頃 シンシナティ美術館 
Cincinnati Art Museum, The Thoms Collection- Given by Mrs. Murat H. Davidson in Honor of her Grandfather, Joseph C. Thoms, 1982.14  通期展示



国外から来日している貴重な作品も多数ありますが。
展覧会の出品作品の中核をなすのは、
今展の監修者であり、昨年急逝した北斎研究の第一人者である故・永田生慈氏のコレクション。
通称、永田コレクションです。


葛飾北斎 《鎌倉勝景図巻》 木版着彩紙本1巻 寛政5-6年(1793-94) 島根県立美術館(永田コレクション) 通期展示 ※場面替えあり


2017年に、永田氏の故郷である島根県に寄贈され、
現在は、一括して島根県立美術館の収蔵品となっている永田コレクション。
永田氏の遺志により、本展に出品された後は、島根県のみでしか公開されないとのこと。
つまり、今展は、永田コレクションが東京でまとめて見られる最後の機会なのです。

そんな永田コレクションの中で、
個人的にイチオシ (ニオシ?) なのは、《なまこ図》《生首図》




なぜ、なまこ?なぜ、生首?
なんとも悪趣味な扇子です。
しかも、図案化しているわけではなく、どちらもリアルに描かれています。
それゆえ、ぱっと見はグロテスクな印象を受けたのですが、
しばらく観ていると、不思議とユーモラスにも感じられてきました。
一周回って、こういう扇子もアリかも。
生首の顔も、若き日の志村けんにも見えてきました。


ちなみに、今回の展覧会は、浮世絵師デビューを飾る春朗期(20~35歳頃) にはじまり、




宗理期(36~46歳頃)、葛飾北斎期(46~50歳頃)、戴斗期(51~60歳頃)、為一期(61~75歳頃)
そして、晩年の画狂老人卍期(75~90歳頃)と、時系列に沿って6章仕立てで構成されています。
何より驚かされるのは、20歳から90歳まで、絶えず画力がUPDATEDされていること。
画狂老人卍期のコーナーが、もっとも密度が濃かったです。
とても75歳オーバーの絵画とは、にわかに信じられません。
どの作品も印象的でしたが、特に印象に残っているのは、《向日葵図》 です。


葛飾北斎 《向日葵図》 紙本1幅 弘化4年(1847) シンシナティ美術館 
Cincinnati Art Museum, The Thoms Collection-Given by Mrs. Murat H. Davidson in Honor of her Grandfather, Joseph C. Thoms, 1982.15  通期展示



いい意味で、北斎っぽくない作品。
なんなら、日本画っぽくもない作品です。
クリムトとかシーレの絵とか言われたら、そのまま信じてしまいそうな気がします。
88歳にして、北斎はこんな新境地を開拓していたのですね。

また、その隣に展示されていた 《弘法大師修法図》 も同時期に描かれた一枚。


葛飾北斎 《弘法大師修法図》 紙本1幅 弘化年間(1844-47) 西新井大師總持寺  通期展示


縦153cm横240cmの巨大な肉筆画です。
こちらの作品は、西新井大師總持寺が所蔵するもので、
毎年10月第1土曜日の北斎会でしか公開されない作品です。
北斎会は午前10時から午後4時まで。
つまり、一年365日のうち、たった6時間しか公開されないという超激レアな一枚。
作品そのものの迫力にくわえて、
90歳手前の北斎が描いたという事実に、ダブルで衝撃を受ること請け合いです。



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