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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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富野由悠季の世界 -ガンダム、イデオン、そして今

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2年ほどの休館期間を経て、リニューアルオープンを果たした福岡市美術館。
そんなニュータイプとなった福岡市美術館で、現在開催されているのが、
“富野由悠季の世界-ガンダム、イデオン、そして今” です。





こちらは、福岡市美術館が開館した1979年に放映が開始されたあの国民的アニメ・・・




『機動戦士ガンダム』 の総監督を務めた富野由悠季 (よしゆき) さんの初となる大回顧展です。
くしくも現在、東京国立近代美術館では、
“高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの” が開催中。
まさか同じタイミングで、日本アニメーション界のレジェンドの、
それも、「絵を描かない演出家」 として知られる2トップの展覧会が開催されているだなんて!
偶然にしてはあまりに出来すぎている気がしますが、
示し合わせたわけではなく、本当にたまたま同時に開催されているだけのようです。


展覧会は、富野氏の少年期から始まります。
まず展示されていたのは、富野氏の父が戦時中に開発していたという与圧服 (のレプリカ)。
子どものころから、そうしたものを目にしていたため、自ずと宇宙や空に興味を持つように。
そして、小学生の頃に、月世界を舞台にしたアメリカのSF映画に出会います。
その感想は、「リアルだけど話がつまらない!」 だったのだとか。
そう。ロボットアニメに人間ドラマを持ち込んだ富野イズムは、この頃にすでに芽生えていたのです。

日本大学芸術学部卒業後は、虫プロに入社。
そこで、『鉄腕アトム』 の演出や脚本に関わります。
しかし、軋轢があり虫プロを退社。
その後は、フリーのコンテマンとして、
『巨人の星』 や 『あしたのジョー』、『未来少年コナン』 など数々のアニメに関わります。
その中には、『アルプスの少女ハイジ』 も。
この時に富野氏と高畑氏は出会いを果たしていたようです。



・・・・・と、ここまでが全6部のうちの第1部、その前半部にあたります。
つまり、展覧会はこのあと、まだまだまだ続きます。
『機動戦士ガンダム』 にはじまり、『伝説巨神イデオン』 、
『機動戦士Ζガンダム』、『戦闘メカ ザブングル』、『∀ガンダム』 …etc
富野氏がこれまでに手掛けたアニメのすべてが、
セル画、原画、設定資料、初期稿など1000点を超える膨大な資料で丹念に紹介されていました。
くわえて、映像も多く紹介されています。
すべてをじっくり観ようと思ったら、半日はゆうに必要なのではないでしょうか。
富野氏は開会式で、こんな発言をしたのだそう。

「楽しんでくれとは言いません。
 かなり面倒くさい出来になっていますので、ご覧になる方は覚悟してみてください」


・・・・・・・確かに (笑)
本人が自認するように、かなり面倒くさい展覧会でした。
星
コアなファンにとっては、質、量ともに大満足な内容なのでしょうが。
ライトな層にとっては、ボリューミーすぎる気がしました。
この半分でも、十分お腹いっぱいになったと思います。


ちなみに。
今回の展覧会を通じて、初めて知ったことを箇条書きでご紹介。

・富野氏が初監督を務めた 『海のトリトン』 は、日本で始めてファンクラブが出来たアニメ




・ガンダムの初期段階での名前は、「ガンボーイ」 だった
 その後、「ガンボイ」 となり、最終的に 「ガンダム」 で落ち着いたようです。

・『機動戦士ガンダム』 は当初全52話の予定だったが、43話で終了となった
 人気が出るのは、終了後。再放送で人気が過熱し、映画化へと繋がったのだとか。

・『機動戦士ガンダム』 の主題歌 「翔べ!ガンダム」 の作詞家井荻麟は、富野氏の別名義
 他にも、井荻麟名義で多くの作詞を手掛けているそうです。




・「黒歴史」 は 『∀ガンダム』 で使われていた言葉
 物語中では、“太古に封印された宇宙戦争の歴史” のことを指していたそうです。



これほど多くのアニメーションを生み出していたとは。
そして、77歳の今もなお現役バリバリだとは。
生涯を通して、リアリズムを追求し続けている富野氏ですが、
あまりにも超人すぎて、その存在自体はもはやファンタジーのように感じられました (笑)




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