現在、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催されているのは、
“みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ ―― 線の魔術” という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
日本人 “みんな” が大好きといっても過言ではないミュシャ。
これまで毎年のように、日本各地でミュシャ展が開催されていますが、
今回のミュシャ展は、その最新版にして、新感覚のミュシャ展となっています。
ミュシャの展覧会ですから、もちろん会場には、《ジスモンダ》 や、
アルフォンス・ミュシャ 《ジスモンダ》 1894年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 MuchaTrust2019
《椿姫》 を筆頭に、
アルフォンス・ミュシャ 《椿姫》 1896年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 MuchaTrust2019
ミュシャの代表作の数々が紹介されています。
しかし、今回のミュシャ展は、それだけにとどまりません。
山岸凉子さんや水野英子さんといった少女漫画界のレジェンドたちや、
山岸凉子 《真夏の夜の夢》「アラベスク」(『花とゆめ』1975年4月9号付録ポスター用イラスト) 1975年 カラーインク・紙 ©山岸凉子
『ファイナルファンタジー』 シリーズでお馴染みの天野喜孝さんをはじめとする、
天野喜孝 《ファイナルファンタジーXIV 嵐神と冒険者》 2010年 アクリル・紙
FINAL FANTASY XIV/©SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved./IMAGE ILLUSTRATION:©YOSHITAKA AMANO
ミュシャに大きな影響を受けた日本人クリエイター、
いうなれば、ミュシャチルドレンたちの作品も併せて紹介されていました。
いかに、日本にミュシャのフォロワーが数多く存在しているのか。
そして、彼ら彼女らによって、いかに日本人は間接的にミュシャの影響を受けているのか。
日本人が 「やっぱりミュシャが好き」 である理由が、なんとなくわかる気がした展覧会でした。
さてさて、そんなミュシャチルドレンの第一号ともいえるのが、
与謝野晶子の 『みだれ髪』 の表紙デザインを担当した洋画家・藤島武二です。
『みだれ髪』 の表紙に関しては、オフホワイト、
ミュシャのパクリとまでは言い切れない気もしますが。
その横でパネルで紹介されていた 『明星』 の挿絵に関しては、さすがにアウト。
完全にトレースしています。
世が世なら、確実に炎上案件でしょう。
しかしまた、どうして藤島武二は、『みだれ髪』 の表紙をミュシャ風にしたのか。
そう疑問に思いながら、ミュシャの作品を改めて観てみると・・・
アルフォンス・ミュシャ 《舞踏―連作〈四芸術〉より》 1898年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 ©Mucha Trust 2019
アルフォンス・ミュシャ 《黄道十二宮》 1896年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 MuchaTrust2019
みだれ髪の女性のなんとまぁ多いこと!
特に 《リュイナールシャンパン》 と 《ジョブ》 の2人に関しては・・・・・
もはや、みだれ髪というレベルを通り越していました。
髪の毛が意思を持っています。
おそらく別の生命体か何かでしょう。
・・・・・それはともかく、フランス留学経験のあった藤島武二。
「みだれ髪」 というフレーズから、
フランスで目にしたであろうミュシャのみだれ髪を連想した可能性は大いにあり得ます。
ちなみに、今回の展覧会では、ミュシャと日本の関係だけでなく。
ミュシャとイギリス、ミュシャとアメリカの関係にもスポットが当てられていました。
今でこそ大人気のミュシャですが、その死後、人々の記憶から薄れていた時期があったのだそうです。
そして、ミュシャの死後から約25年。
ようやくロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館でミュシャの回顧展が開催されます。
この回顧展がきっかけとなって、
ロンドンやサンフランシスコのグラフィックアーティストたちの間で、ミュシャへの注目度がアップ。
レコードのジャケットデザインや、
ジャケット・デザイン:ボブ・マス 「ザ・コレクターズ」(ワーナー・ブラザース=セヴン・アーツ・レコード) 1968年
LPレコード・ジャケット Rhino Entertainment Company,a Warner Music Group Company
アメコミなどに、ミュシャスタイルが取り入れられるようになりました。
テリー・ムーア 『ストレインジャーズ・イン・パラダイス』(Vol.3,No52) 1996年 コミック誌
Cover art for Strangers in Paradise Volume3 #52 by Terry Moore
会場ではミュシャに影響を受けたと思われる、
さまざまなレコードのジャケットやアメコミが紹介されていましたが。
それらの中には、“そこまでミュシャかな??” と、正直ビミョーなものもありました (笑)
例えば・・・
「ミュシャは私が直接影響を受けたと言えるたった一人のアーティスト。
そして、その影響は私の作品の中に簡単に見てとることができるだろう」
と語っているジョー・ケサダ氏。
彼の作品は、こんな感じでした。
ジョー・ケサダ 『ニンジャック』(Vol. 1,No3) 1994年 コミック誌
Artwork by Joe Quesada. NINJAK is™and©2018 Valiant Entertainment LLC.All rights reserved.www.valiantentertainment.com
ミュシャといえば、ミュシャですが。
それ以上に、ジャンプコミックスといえば、ジャンプコミックスです。
それも、80年代の。
ミュシャに影響を受けたアメコミの影響を日本の漫画が受けているのか。
それとも、ミュシャに影響を受けた日本の漫画の影響をアメコミが受けているのか。
ニワトリが先か卵が先か、といったような感じですが、
確実に言えるのは、ミュシャがその源流であるということ。
ミュシャが世界に与えた影響力のスゴさを、再認識させられました。
ちなみに。
今回の出展作品の中で強く印象に残っているのは、
ミュシャがミュシャになる前の (?) ミュシャの初期の作品群。
若き日のミュシャは、一般的な画家と同じようなスタイルで絵を描いていたのですね。
その中で特に印象に残っているのが、『ファンタス誌』 の表紙デザイン (写真右)。
若き日の作品だけに、全盛期のようなデザインの華やかさはまだそこまでありません。
「ファンタス (FANTAZ)」 のロゴは、
どことなく、「E.YAZAWA」 を彷彿とさせるものがありました。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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“みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ ―― 線の魔術” という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
日本人 “みんな” が大好きといっても過言ではないミュシャ。
これまで毎年のように、日本各地でミュシャ展が開催されていますが、
今回のミュシャ展は、その最新版にして、新感覚のミュシャ展となっています。
ミュシャの展覧会ですから、もちろん会場には、《ジスモンダ》 や、
アルフォンス・ミュシャ 《ジスモンダ》 1894年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 MuchaTrust2019
《椿姫》 を筆頭に、
アルフォンス・ミュシャ 《椿姫》 1896年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 MuchaTrust2019
ミュシャの代表作の数々が紹介されています。
しかし、今回のミュシャ展は、それだけにとどまりません。
山岸凉子さんや水野英子さんといった少女漫画界のレジェンドたちや、
山岸凉子 《真夏の夜の夢》「アラベスク」(『花とゆめ』1975年4月9号付録ポスター用イラスト) 1975年 カラーインク・紙 ©山岸凉子
『ファイナルファンタジー』 シリーズでお馴染みの天野喜孝さんをはじめとする、
天野喜孝 《ファイナルファンタジーXIV 嵐神と冒険者》 2010年 アクリル・紙
FINAL FANTASY XIV/©SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved./IMAGE ILLUSTRATION:©YOSHITAKA AMANO
ミュシャに大きな影響を受けた日本人クリエイター、
いうなれば、ミュシャチルドレンたちの作品も併せて紹介されていました。
いかに、日本にミュシャのフォロワーが数多く存在しているのか。
そして、彼ら彼女らによって、いかに日本人は間接的にミュシャの影響を受けているのか。
日本人が 「やっぱりミュシャが好き」 である理由が、なんとなくわかる気がした展覧会でした。
さてさて、そんなミュシャチルドレンの第一号ともいえるのが、
与謝野晶子の 『みだれ髪』 の表紙デザインを担当した洋画家・藤島武二です。
『みだれ髪』 の表紙に関しては、オフホワイト、
ミュシャのパクリとまでは言い切れない気もしますが。
その横でパネルで紹介されていた 『明星』 の挿絵に関しては、さすがにアウト。
完全にトレースしています。
世が世なら、確実に炎上案件でしょう。
しかしまた、どうして藤島武二は、『みだれ髪』 の表紙をミュシャ風にしたのか。
そう疑問に思いながら、ミュシャの作品を改めて観てみると・・・
アルフォンス・ミュシャ 《舞踏―連作〈四芸術〉より》 1898年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 ©Mucha Trust 2019
アルフォンス・ミュシャ 《黄道十二宮》 1896年 カラーリトグラフ ミュシャ財団蔵 MuchaTrust2019
みだれ髪の女性のなんとまぁ多いこと!
特に 《リュイナールシャンパン》 と 《ジョブ》 の2人に関しては・・・・・
もはや、みだれ髪というレベルを通り越していました。
髪の毛が意思を持っています。
おそらく別の生命体か何かでしょう。
・・・・・それはともかく、フランス留学経験のあった藤島武二。
「みだれ髪」 というフレーズから、
フランスで目にしたであろうミュシャのみだれ髪を連想した可能性は大いにあり得ます。
ちなみに、今回の展覧会では、ミュシャと日本の関係だけでなく。
ミュシャとイギリス、ミュシャとアメリカの関係にもスポットが当てられていました。
今でこそ大人気のミュシャですが、その死後、人々の記憶から薄れていた時期があったのだそうです。
そして、ミュシャの死後から約25年。
ようやくロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館でミュシャの回顧展が開催されます。
この回顧展がきっかけとなって、
ロンドンやサンフランシスコのグラフィックアーティストたちの間で、ミュシャへの注目度がアップ。
レコードのジャケットデザインや、
ジャケット・デザイン:ボブ・マス 「ザ・コレクターズ」(ワーナー・ブラザース=セヴン・アーツ・レコード) 1968年
LPレコード・ジャケット Rhino Entertainment Company,a Warner Music Group Company
アメコミなどに、ミュシャスタイルが取り入れられるようになりました。
テリー・ムーア 『ストレインジャーズ・イン・パラダイス』(Vol.3,No52) 1996年 コミック誌
Cover art for Strangers in Paradise Volume3 #52 by Terry Moore
会場ではミュシャに影響を受けたと思われる、
さまざまなレコードのジャケットやアメコミが紹介されていましたが。
それらの中には、“そこまでミュシャかな??” と、正直ビミョーなものもありました (笑)
例えば・・・
「ミュシャは私が直接影響を受けたと言えるたった一人のアーティスト。
そして、その影響は私の作品の中に簡単に見てとることができるだろう」
と語っているジョー・ケサダ氏。
彼の作品は、こんな感じでした。
ジョー・ケサダ 『ニンジャック』(Vol. 1,No3) 1994年 コミック誌
Artwork by Joe Quesada. NINJAK is™and©2018 Valiant Entertainment LLC.All rights reserved.www.valiantentertainment.com
ミュシャといえば、ミュシャですが。
それ以上に、ジャンプコミックスといえば、ジャンプコミックスです。
それも、80年代の。
ミュシャに影響を受けたアメコミの影響を日本の漫画が受けているのか。
それとも、ミュシャに影響を受けた日本の漫画の影響をアメコミが受けているのか。
ニワトリが先か卵が先か、といったような感じですが、
確実に言えるのは、ミュシャがその源流であるということ。
ミュシャが世界に与えた影響力のスゴさを、再認識させられました。
ちなみに。
今回の出展作品の中で強く印象に残っているのは、
ミュシャがミュシャになる前の (?) ミュシャの初期の作品群。
若き日のミュシャは、一般的な画家と同じようなスタイルで絵を描いていたのですね。
その中で特に印象に残っているのが、『ファンタス誌』 の表紙デザイン (写真右)。
若き日の作品だけに、全盛期のようなデザインの華やかさはまだそこまでありません。
「ファンタス (FANTAZ)」 のロゴは、
どことなく、「E.YAZAWA」 を彷彿とさせるものがありました。
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