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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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没後50年 坂本繁二郎展

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現在、練馬区立美術館で開催されているのは、“没後50年 坂本繁二郎展”
福岡県久留米市出身の洋画家・坂本繁二郎の大々的な回顧展です。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


馬をモチーフにした作品を多く描いたことから、「馬の画家」 の異名を持つ坂本繁二郎。
しかし、意外にも初期の頃は、馬ではなく、
牛をモチーフにした作品を多く描いていたようです。
展覧会の冒頭を飾るのは、牛。




さらに、牛。




時に、豚 (なぜか目元が隠されています。身元バレしたくない豚?)。




ようやく、馬が登場したと思ったら・・・




その隣に、またしても牛。




馬は、なかなか登場しません。
あまりに焦らされ過ぎたため (←?)、
馬の絵がまとまって登場した時には、「ついに馬だ!」 と謎の感動を覚えてしまったほどです。




とは言え、今回の坂本繁二郎展では、
馬の作品はそこまでフィーチャーされていません。
今展が特にフィーチャーしていたのは、坂本繁二郎の静物画です。
坂本繁二郎=静物画家というイメージは無かったのですが、
実は、フランス帰国後から晩年まで、生涯に渡って静物画を描き続けていたのだとか。




一般的に静物画というと、果物や野菜、食器や楽器などがモチーフに選ばれがちです。
もちろん、坂本繁二郎の静物画の中にも、
林檎や柿、瓶などをモチーフにしたものもありましたが。
その大半は、箱であったり、




何の変哲もない石であったり、




はたまた、モーターであったり、




他の画家の静物画ではほぼ見かけないモチーフが多く選ばれていました。
「描きたいものは目の前にいくらでもある」 という言葉を残したという坂本繁二郎。
身の回りにあるものを片っ端から描いていたようです。
そんな坂本繁二郎が特に気に入っていたというモチーフが、能面。
壁に掛けてみたり、本に立てかけてみたり、寝かせてみたり。




さまざまなバリエーションで能面を描いています。
能面、能面、能面。
展示室は、ある種、異様な空気が漂っていました。
日本の近代洋画家の展覧会でありながら、
どことなくシュルレアリスムの作家の展覧会のような印象も。
派手さはないですが、見れば見るほど、
ボディブローのように心にじわじわ効いてくる静物画でした。
星

また、静物画ではないですが、シュルレアリスム風味な作品をもう一点ご紹介。
坂本繁二郎が帰国後、居を構えた八女市にある鳶形山を描いた風景画です。




雲の形が、なんとも独特。
現実世界というよりも、マインクラフトの世界のようです。


ちなみに、出展されていた静物画の中で、
個人的に印象に残っているのは、《鶏卵》 という一枚。




ただの鶏卵も、坂本繁二郎の手と目を通すと、イースターエッグのような仕上がりに。
どことなく、原宿KAWAII感がありました。
もしくは、どこか懐かしい感じがするお菓子のような仕上がりに。
中に金平糖やラムネが入っていそう。
振れば、カラカラと音が鳴りそうです。




カワイイと言えば、ダルマをモチーフにした静物画も。




ダルマの背後には、『起』 の文字。
「なんとダルマが起き上がり仲間になりたそうにこちらを見ている」 状態です。
そんなダルマに、ほだされてしまったのでしょう (←?)。
練馬区立美術館のいたるところで、このダルマが活用されていました。

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