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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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アンティーク着物万華鏡 ー大正~昭和の乙女に学ぶ着こなしー

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夏祭りに、花火大会に。
何かと着物を着たくなるイベントが多い夏。
しかし、「着物って、いろいろ大変そう・・・」 と苦手意識を持っている方も多いのではないでしょうか。
そんな皆様にオススメしたいのが、この夏、弥生美術館・竹久夢二美術館で開催中の展覧会。
“アンティーク着物万華鏡 ー大正~昭和の乙女に学ぶ着こなしー” です。




着物の着こなしは、かくあるべし。
ちゃんとルールに則って着こなしていないと、
和泉節子さんみたいな人 (?) に叱られてしまうような印象がありますが。
よくよく考えてみれば、もともとは普段着。
大正や昭和の抒情画を見るに、
女性たちはみな自由に、個性的に着物ファッションを楽しんでいたようです。


(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)


そんな着物女性が描かれた抒情画の数々を紹介するだけでなく、
今回の展覧会では、そのうちの何点かを、実際にアンティーク着物で再現!
さらに、アラーキーの写真の着物スタイリストをしている岩田ちえこさんが、
それらのアンティーク着物に異なる帯や半襟などを合わせたコーディネートを作成しています。





取り合わせ方によって、同じ着物でも印象がガラリと変化する様は、まさに万華鏡のよう。
これまで数多くの着物の展覧会を観てきましたが、
この展覧会ほど、純粋に着物って美しいゾ、楽しいゾと感じられたことは無かった気がします。




どのアンティーク着物、どのコーディネートも素敵でしたが。
個人的に一番印象に残っているのは、
やはりポスターのメインビジュアルにも使われているこちらの着物でしょうか。




めちゃめちゃ斬新。
めちゃめちゃアヴァンギャルド。
『夏祭り』 の時のWhiteberryくらい、裾をたくし上げています。
さすがにこれは、岩田さんによる令和スタイルの冒険的なコーディネートなのかと思いきや・・・


高畠華宵 《ニューファッション》 大正末~昭和初期


大正から昭和にかけて一世風靡した人気挿絵画家・高畠華宵によって提案されたものとのこと。
今から約100年前のセンスとは、到底思えませんでした。
着物に苦手意識を持っていた方も、
この着物なら、「着てみたい♪」 と思えるのではないでしょうか。

それから、もう一点印象的だったのが、こちらの夏着物です。




夏着物なのに、柄はススキ。
帯には赤トンボが飛んでいます。
7月発売なのに9月号。
そんなファッション雑誌のように、
季節を少し先取りする文化は昔から日本に根付いていたのですね。


さてさて、普段はそれぞれ別の展覧会を開催している弥生美術館と竹久夢二美術館ですが。
今展覧会は両館を使っての合同企画。
それゆえ、竹久夢二美術館のほうでは、
夢二式着物美人のアンティーク着物の再現&岩田氏によるコーディネートが紹介されています。
中でも印象的だったのは、こちらのパウル・クレー風な着物と、




晩年の夢二がドイツで描いた美人画 《水竹居》 をもとにした着物です。




特に、《水竹居》 の着物のコーディネートが強烈。
黒の帽子に黒のレースを併せたことで・・・




実にコケティッシュでミステリアスな印象に!
中森明菜感 (?) が醸し出されていました。


展覧会では他にも、見どころが満載。
今回が初公開となる、とある呉服屋のお嬢さんが実際に着ていた着物を紹介していたり、




着物ファッションには欠かせない装飾品をズラリと並べていたり、




菊池寛や吉屋信子らの文学と着物の関係を掘り下げたコーナーがあったり。




今すぐにでも、着物が着たくなること請け合いの展覧会でした。
袖振り合うも多生の縁。
この記事を読んで、ちょっとでも気になった方は、
きっと何かの縁でしょうから、足を運ばれてみてはいかがでしょうか?
星星


ちなみに。
弥生美術館の3階展示スペースでは、
日本初・・・たぶん世界でも初となるミニ企画展が同時開催されています。




ズラリと並べて展示されているのは、その派手な柄から法被かと思いましたが。
実は、これらはすべて長襦袢。
今では無地や単色が多く、すっかり下着のようなポジションとなっていますが、
かつて長襦袢は、地味な着物に華やかさを添えるためのオシャレアイテムだったそう。
袖口や振りから、その文様や柄をチラリと見せ、オシャレを楽しんでいたのだとか。


高畠華宵 《紅梅白梅》 昭和初期


そんな意外と知られていない長襦袢に焦点を当てたのが、
“長襦袢の魅力 ~着物の下の遊び心、女心~” という展覧会。
実際に使われていた長襦袢の数々や長襦袢が描き込まれた挿絵の数々が展示されています。




長襦袢が、こんなにもポップだったとは。
そして、ちょっとダサいデザインのものもあったとは。
男物のトランクスのデザインに通ずるものがありました。




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