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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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見えているのに見えていない!立体錯視の最前線

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皆さまは、錯覚美術館をご存じでしょうか?

錯覚美術館とは、明治大学研究・知財戦略機構特任教授にして、
日本を代表する “錯視” のスペシャリスト・杉原厚吉氏が館長を務める美術館。
錯視の最先端が無料で楽しめると人気を博していましたが、
プロジェクトの終了に伴い、惜しまれつつも、2015年12月に閉館してしまいました。

そんな錯覚美術館の流れを汲んだ最新展覧会が、
この夏、期間限定で明治大学博物館にて開催されています。
その名も、“見えているのに見えていない!立体錯視の最前線” です。



会場には、杉原厚吉氏が生み出したさまざまな立体錯視作品が展示されています。
例えば、《へそ曲がりの窓》




四角い窓が開いた高さが異なる壁が並んでいます。
それらの窓に、なぜか棒が貫通しているという摩訶不思議な作品です。
ちなみに、上から見ると、その秘密が発覚。




なるほど。2つの壁はそれぞれ別方向に傾いていたのですね。


また例えば、《反重力2面屋根》《落ちない円管》 という作品。




それぞれの立体の上に乗った木の玉は、
どうして、落ちずに安定しているのでしょうか?
その理由は、真横から見ると判明します。




続いて紹介するのは、さらに複雑な立体錯視作品。
《なんでも反発3方向すべり台と階段》 です。




上から覗くと、底に向かって奥行きがあるように見えますが。
横から見ると、この通り。




実は、ほとんど奥行きはありません。
こういった摩訶不思議な立体錯視作品は、どうやって生み出されているのでしょうか??
作品を作るためのその方程式が、パネルでご丁寧にも紹介されていました。




・・・・・・・・・・・・・・・・。

僕の錯覚なのかもしれませんが、数式がすべて同じ式に見えました。


また、今回の展覧会では、こうした立体錯視作品だけでなく、
明治大学博物館のコレクションを使って、有名な錯視を紹介するコーナーも設けられていました。




イラストや模型でなく、実用品を使って検証しているのが、なんともユニークです。
特に印象的だったのは、「ジャストロー錯視」。
接した部分の長短が大きさの認知に影響を与えていると考えられているのだそう。




確かに、錯視だとわかっていても、
赤いグラスのほうが大きく感じられました。
人間の脳って不思議なものです。


さてさて、今回の展覧会のメインといえば、
やはり錯覚美術館が閉館して以降に生み出された立体錯視作品の数々でしょう。
まず何と言っても衝撃的だったのが、鏡を使った立体錯視作品。
その名も、「変身立体」 です。




立体錯視作品の近くに鏡を置くと、
その鏡に映っているのは、まったく別の像。
これまでの立体錯視作品と違って、
見る角度を変えたら秘密がわかるという類のものではありません。
何がどうなってどうなっているのか。
ただただ頭が混乱するばかりです。




どうして魚が蝶に見えるのか。
どうして4つあるダイヤのうちの3つが、ハート、スペード、クローバーに形を変えるのか。
もはや何かの魔法を見せられているかのようでした。

さらに鏡を使う立体錯視作品には、「トポロジー攪乱立体」 なるものも。
こちらは、変身立体のようには形は変わらないのですが、
複数の立体の繋がり方が変わって見えるという作品シリーズです。




心の底からリアルな 「なんでそうなるの?」 が飛び出しました。

また、鏡を使う立体錯視作品の派生版として、上下でモチーフが浮かび上がるというものも。
真横から見たら、普通に鏡合わせの像なのですが。




少し上から見ると、あら不思議!




左からクローバー、ハート、スペード、ダイヤとなっています。
立体錯視の最前線。
予想以上に、スゴいことになっていました。
星星


ちなみに。
会場のラストには、こんな作品も。
その名も、《右を向きたがる矢印》 です。




この右を向いた矢印を、くるっと180度回転させてみます。
普通に考えれば、左を向くはずなのですが、
なぜか、この矢印はまた右を向いてしまうのです。
その不思議な現象を捉えた映像が、こちら↓




もう一つおまけに、鳥ver.も。




自分の目の前で起きている現実を、にわかには受け入れられませんでした。


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