この夏、東京藝術大学大学美術館では、
“円山応挙から近代京都画壇へ” という展覧会が開催されています。
こちらは、江戸中期から近代にいたるまで、
京都画壇に大きな影響を及ぼした 「円山・四条派」 にスポットを当てた展覧会です。
“・・・・・円山・四条派って何?”
という方も、どうぞご安心を。
展覧会場に入ってすぐの場所に、円山・四条派について、
『スターウォーズ』 のオープニング・クロール風に紹介したものが設置されていました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
250年ほどの昔、京都で・・・
応挙と名乗る絵師が彗星のごとく現れた。
堅苦しい狩野派の絵に不満を覚え始めていた都の人々は、写生による新しい画風に魅了された。
多くの絵師たちが応挙に続いたが、中でも呉春は四条派と呼ばれる一派を生み出した。
二派を合わせた円山・四条派は、京都の画壇に大きな影響を示すようになる。
近代に至るまで、円山・四条派を水脈とする画家たちが多く輩出した。
そして竹内栖鳳、上村松園もその伝統を受け継いで活躍したのである・・・
この説明文を読んでいたら、
「狩野派=帝国軍」「円山・四条派=反乱同盟軍」 のように思えてきました (笑)
・・・と、それはさておきまして。
今回の展覧会のハイライトは何と言っても、兵庫県にある大乗寺の襖絵群。
応挙が息子や門人たちとともに制作した襖絵群は、彼の最高傑作の一つに数えられています。
全165面からなる障壁画の中でとりわけ傑出しているのが、応挙が最晩年に描いた 《松に孔雀図》 。
応挙が描く孔雀といえば、色鮮やかでビビットなイメージがありますが。
大乗寺の 《松に孔雀図》 に関しては・・・
重要文化財 円山応挙 《松に孔雀図》(全16面のうち4面) 寛政7年(1795) 兵庫・大乗寺蔵 東京展のみ・通期展示
金地に墨一色で描かれています。
モノトーンでシック、かつラグジュアリー。
グランドハイアットやザ・リッツ・カールトンにあっても、違和感はないでしょう (←?)。
そんな 《松に孔雀図》 を含む32面の襖絵が、特別に大乗寺より上京中。
大乗寺での配置を再現するため、十字 (X字) 型で展示されています。
一室をまるまる再現した展示は、これまで何度か目にしていますが、
4室の中心 (角?) を再現するという斬新な展示方法は、初めて目にしました。
まるで大乗寺の一部をゴソッと抜き出して、そのまま持ってきたかのよう。
実にダイナミックな印象を受けました。
さてさて、そんな大乗寺の襖絵にも圧倒されましたが、
それ以上に、展覧会を通じて見えてくる円山・四条派の系譜のうねり、グルーヴ感に圧倒されました。
展覧会では、応挙や呉春の作品を中心に、
円山・四条派の流れを汲む絵師の作品が、動物や風景、人物などテーマごとに展示されています。
特に時系列に沿って並べられているわけではないため、
パッと見ただけでは、江戸時代の作品なのか明治・大正期の作品なのか判別できません。
下手すると、どれが応挙の作品であるかも判別できませんでした。
しかし、これは、たった一人の絵師が生んだスタイルが、京都の多くの画家にフォローされ、
なおかつ100年以上もの長い間、大きくスタイルを変えることなく受け継がれたという何よりもの証拠。
円山応挙という一滴の水が、やがて円山・四条派という大河に。
壮大なドラマを感じる展覧会でした。
なお、展覧会は前期と後期で、ほぼガラッと出展作品が変わるとのこと。
後期では、応挙の代表作の一つで、重要文化財の 《保津川図》 が出展されるそうです。
重要文化財 円山応挙 《保津川図》 寛政7年(1795) 株式会社 千總蔵 東京展:後期展示、京都展:後期展示
そういう意味では、後期のほうが、より大河感 (?) を味わえるかもしれませんね。
なお、11月2日よりスタートする京都展にしか出展されない作品も多いのだそう。
東京藝術大学大学美術館から京都国立近代美術館へ。
両方あっての “円山応挙から近代京都画壇へ” です。
ちなみに。
応挙といえば、もちろん写生を得意とした絵師ではありますが。
重要文化財 円山応挙 《写生図巻 乙巻》(部分) 明和7年~安永元年(1770~72) 株式会社 千總蔵 東京展:前期展示、京都展:前期展示
LINEスタンプにありそうな、いわゆる “応挙犬” のように、
円山応挙 《狗子図》 安永7年(1778) 敦賀市立博物館蔵 東京展:後期展示、京都展:前期展示
デフォルメチックなキャラクターも少なからず残しています。
今回の出展作で特に印象的だったのが、《江口君図》 に描かれた象。
重要美術品 円山応挙 《江口君図》 寛政6年(1794) 静嘉堂文庫美術館蔵 東京展のみ・前期展示
江口君が艶めかしい表情で描かれているのは、わかるのですが。
なぜか、彼女が乗る象も、艶っぽい表情で描かれています。
象の目元は、どこか永作博美に似ていました。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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こちらは、江戸中期から近代にいたるまで、
京都画壇に大きな影響を及ぼした 「円山・四条派」 にスポットを当てた展覧会です。
“・・・・・円山・四条派って何?”
という方も、どうぞご安心を。
展覧会場に入ってすぐの場所に、円山・四条派について、
『スターウォーズ』 のオープニング・クロール風に紹介したものが設置されていました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
250年ほどの昔、京都で・・・
応挙と名乗る絵師が彗星のごとく現れた。
堅苦しい狩野派の絵に不満を覚え始めていた都の人々は、写生による新しい画風に魅了された。
多くの絵師たちが応挙に続いたが、中でも呉春は四条派と呼ばれる一派を生み出した。
二派を合わせた円山・四条派は、京都の画壇に大きな影響を示すようになる。
近代に至るまで、円山・四条派を水脈とする画家たちが多く輩出した。
そして竹内栖鳳、上村松園もその伝統を受け継いで活躍したのである・・・
この説明文を読んでいたら、
「狩野派=帝国軍」「円山・四条派=反乱同盟軍」 のように思えてきました (笑)
・・・と、それはさておきまして。
今回の展覧会のハイライトは何と言っても、兵庫県にある大乗寺の襖絵群。
応挙が息子や門人たちとともに制作した襖絵群は、彼の最高傑作の一つに数えられています。
全165面からなる障壁画の中でとりわけ傑出しているのが、応挙が最晩年に描いた 《松に孔雀図》 。
応挙が描く孔雀といえば、色鮮やかでビビットなイメージがありますが。
大乗寺の 《松に孔雀図》 に関しては・・・
重要文化財 円山応挙 《松に孔雀図》(全16面のうち4面) 寛政7年(1795) 兵庫・大乗寺蔵 東京展のみ・通期展示
金地に墨一色で描かれています。
モノトーンでシック、かつラグジュアリー。
グランドハイアットやザ・リッツ・カールトンにあっても、違和感はないでしょう (←?)。
そんな 《松に孔雀図》 を含む32面の襖絵が、特別に大乗寺より上京中。
大乗寺での配置を再現するため、十字 (X字) 型で展示されています。
一室をまるまる再現した展示は、これまで何度か目にしていますが、
4室の中心 (角?) を再現するという斬新な展示方法は、初めて目にしました。
まるで大乗寺の一部をゴソッと抜き出して、そのまま持ってきたかのよう。
実にダイナミックな印象を受けました。
さてさて、そんな大乗寺の襖絵にも圧倒されましたが、
それ以上に、展覧会を通じて見えてくる円山・四条派の系譜のうねり、グルーヴ感に圧倒されました。
展覧会では、応挙や呉春の作品を中心に、
円山・四条派の流れを汲む絵師の作品が、動物や風景、人物などテーマごとに展示されています。
特に時系列に沿って並べられているわけではないため、
パッと見ただけでは、江戸時代の作品なのか明治・大正期の作品なのか判別できません。
下手すると、どれが応挙の作品であるかも判別できませんでした。
しかし、これは、たった一人の絵師が生んだスタイルが、京都の多くの画家にフォローされ、
なおかつ100年以上もの長い間、大きくスタイルを変えることなく受け継がれたという何よりもの証拠。
円山応挙という一滴の水が、やがて円山・四条派という大河に。
壮大なドラマを感じる展覧会でした。
なお、展覧会は前期と後期で、ほぼガラッと出展作品が変わるとのこと。
後期では、応挙の代表作の一つで、重要文化財の 《保津川図》 が出展されるそうです。
重要文化財 円山応挙 《保津川図》 寛政7年(1795) 株式会社 千總蔵 東京展:後期展示、京都展:後期展示
そういう意味では、後期のほうが、より大河感 (?) を味わえるかもしれませんね。
なお、11月2日よりスタートする京都展にしか出展されない作品も多いのだそう。
東京藝術大学大学美術館から京都国立近代美術館へ。
両方あっての “円山応挙から近代京都画壇へ” です。
ちなみに。
応挙といえば、もちろん写生を得意とした絵師ではありますが。
重要文化財 円山応挙 《写生図巻 乙巻》(部分) 明和7年~安永元年(1770~72) 株式会社 千總蔵 東京展:前期展示、京都展:前期展示
LINEスタンプにありそうな、いわゆる “応挙犬” のように、
円山応挙 《狗子図》 安永7年(1778) 敦賀市立博物館蔵 東京展:後期展示、京都展:前期展示
デフォルメチックなキャラクターも少なからず残しています。
今回の出展作で特に印象的だったのが、《江口君図》 に描かれた象。
重要美術品 円山応挙 《江口君図》 寛政6年(1794) 静嘉堂文庫美術館蔵 東京展のみ・前期展示
江口君が艶めかしい表情で描かれているのは、わかるのですが。
なぜか、彼女が乗る象も、艶っぽい表情で描かれています。
象の目元は、どこか永作博美に似ていました。
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