この秋、東京都美術館で開催されているのは、
“コートールド美術館展 魅惑の印象派” という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
レーヨン産業で莫大な富を築き上げたイギリスの実業家サミュエル・コートールド。
美術コレクターでもあった彼が熱心にコレクションしたのは、
当時のイギリスでまだあまり評価されていなかった印象派、およびポスト印象派の作品でした。
そんなコートールドの美術コレクションの寄贈を受けて、
1932年にロンドンに開館したのが、コートールド美術館です。
“・・・・・・こぉとぉるど??”
もし、その名前にピンとこなくとも、
コートールド美術館が所蔵する作品は、一度くらいは目にしていることがあるはずです。
例えば、セザンヌの代表作の一つ 《カード遊びをする人々》 。
ポール・セザンヌ 《カード遊びをする人々》 1892-96年頃 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
また例えば、ルノワールが第一回印象派展に出品した記念碑的作品 《桟敷席》。
ピエール=オーギュスト・ルノワール 《桟敷席》 1874年 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
またまた例えば、マネの晩年の傑作として名高い 《フォリー=ベルジェールのバー》 。
エドゥアール・マネ 《フォリー=ベルジェールのバー》 1882年 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
驚くなかれ、実は、これらはすべてコートールド美術館のコレクション作品なのです。
さらに、もう一つ驚くなかれ、今回の展覧会には、それら3点が揃って来日しています!
あの名画の実物に逢える貴重な機会。
芸術の秋2019、抑えておくべき展覧会の一つです。
ちなみに、日本でコートールド美術館の展覧会が開催されるのは、約20年ぶりとのこと。
セザンヌの 《カード遊びをする人々》 も、ルノワールの 《桟敷席》 も、
マネの 《フォリー=ベルジェールのバー》 も、今展で初めて対面しました。
その率直でシンプルな感想は、以下の通りです。
《カード遊びをする人々》 は、想像していた以上に、カード遊びが盛り上がっていませんでした。
(☝そんなにつまらないなら、やめればいいのに)
《桟敷席》 で描かれている女性は、想像していた以上に、色白でした。
(☝もはや色白というより、白塗り。平野ノラ?)
《フォリー=ベルジェールのバー》 は、想像していた以上に、大きかったです。
(☝描かれたバーテンダーの女性の存在感たるや!「オーダーするの?しないの?」 と問われているような気になりました)
さて、今展には他にも、ゴッホやモネ、ゴーガン、モディリアーニなど、
コートールド美術館コレクションから選りすぐられた約60点が来日しています。
その中で、個人的に強く印象に残っているのは、
ロートレックの 《ジャヌ・アヴリル、ムーラン・ルージュの入口にて》 です。
アンリ・ド・トゥールズ₌ロートレック 《ジャヌ・アヴリル、ムーラン・ルージュの入口にて》 1892年頃 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
モデルは、ジャヌ・アヴリル。
当時、ムーラン・ルージュで大人気だったダンサーです。
その顔は、完全にオフのもの。
まるで、『FRIDAY』 の隠し撮り写真のようです。
なお、研ナオコにちょっと似ているアヴリルですが、
この絵が描かれた時、彼女はなんと20代前半だったそう!
ロートレック、容赦がありません。
それから、コートールドが唯一購入したというアンリ・ルソーの作品も印象的でした。
アンリ・ルソー 《税関》 1890年頃 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
20年以上も税関に務めていたため、
『税関吏ルソー』 とも呼ばれる彼が、その生涯で唯一、税関を描いた作品なのだとか。
・・・・・が。
肝心の税関がちょこんとしか描かれていないわ。
門の開き方が妙なことになっているわ。
税関の職員が変なところに立っているわ。
「20年以上働いて、それかい!」 な仕上がりになっています。
ある意味、期待を裏切らない作品でした。
また、今展には絵画作品だけでなく、
ロダンやドガらの彫刻作品も数点ほど出展されています。
その中でも特に目が釘付けとなったのは、
ドガの 《右の足裏を見る踊り子》 という作品。
エドガー・ドガ 《右の足裏を見る踊り子》 蝋による制作:1890年代/ブロンズに鋳造:1923年頃 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
左足1本で立ち、右手で右足を持ち、足裏を見る。
なんとも難易度の高いポーズです。
実際、このポーズにモデルも苦心したのだそう。
「このポーズを保つことに苦労した」 とのモデルの告白が残っているそうです。
ただ、苦労も何も、普通の人にとっては、保つことそのものが無理。
試しに僕も家で何度かチャレンジしてみましたが、平均8秒でした (笑)
制作したドガよりも、モデルに感銘を受けました。
ちなみに。
構成はもちろん、内装にも随所にこだわりが見られる今回の展覧会。
図録にも画期的な工夫が施されていました。
作品の図版が掲載されたこちらのページ。
一見すると、いつもと変わらない図録の中の1ページです。
しかし、その1ページ前の透明なページを戻して上に重ねてみると、ご覧の通り。
作品内の見どころや解説が現れる仕掛けになっています。
この発想はなかった!
美術も図録も、日々、進化しています。
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“コートールド美術館展 魅惑の印象派” という展覧会です。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
レーヨン産業で莫大な富を築き上げたイギリスの実業家サミュエル・コートールド。
美術コレクターでもあった彼が熱心にコレクションしたのは、
当時のイギリスでまだあまり評価されていなかった印象派、およびポスト印象派の作品でした。
そんなコートールドの美術コレクションの寄贈を受けて、
1932年にロンドンに開館したのが、コートールド美術館です。
“・・・・・・こぉとぉるど??”
もし、その名前にピンとこなくとも、
コートールド美術館が所蔵する作品は、一度くらいは目にしていることがあるはずです。
例えば、セザンヌの代表作の一つ 《カード遊びをする人々》 。
ポール・セザンヌ 《カード遊びをする人々》 1892-96年頃 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
また例えば、ルノワールが第一回印象派展に出品した記念碑的作品 《桟敷席》。
ピエール=オーギュスト・ルノワール 《桟敷席》 1874年 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
またまた例えば、マネの晩年の傑作として名高い 《フォリー=ベルジェールのバー》 。
エドゥアール・マネ 《フォリー=ベルジェールのバー》 1882年 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
驚くなかれ、実は、これらはすべてコートールド美術館のコレクション作品なのです。
さらに、もう一つ驚くなかれ、今回の展覧会には、それら3点が揃って来日しています!
あの名画の実物に逢える貴重な機会。
芸術の秋2019、抑えておくべき展覧会の一つです。
ちなみに、日本でコートールド美術館の展覧会が開催されるのは、約20年ぶりとのこと。
セザンヌの 《カード遊びをする人々》 も、ルノワールの 《桟敷席》 も、
マネの 《フォリー=ベルジェールのバー》 も、今展で初めて対面しました。
その率直でシンプルな感想は、以下の通りです。
《カード遊びをする人々》 は、想像していた以上に、カード遊びが盛り上がっていませんでした。
(☝そんなにつまらないなら、やめればいいのに)
《桟敷席》 で描かれている女性は、想像していた以上に、色白でした。
(☝もはや色白というより、白塗り。平野ノラ?)
《フォリー=ベルジェールのバー》 は、想像していた以上に、大きかったです。
(☝描かれたバーテンダーの女性の存在感たるや!「オーダーするの?しないの?」 と問われているような気になりました)
さて、今展には他にも、ゴッホやモネ、ゴーガン、モディリアーニなど、
コートールド美術館コレクションから選りすぐられた約60点が来日しています。
その中で、個人的に強く印象に残っているのは、
ロートレックの 《ジャヌ・アヴリル、ムーラン・ルージュの入口にて》 です。
アンリ・ド・トゥールズ₌ロートレック 《ジャヌ・アヴリル、ムーラン・ルージュの入口にて》 1892年頃 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
モデルは、ジャヌ・アヴリル。
当時、ムーラン・ルージュで大人気だったダンサーです。
その顔は、完全にオフのもの。
まるで、『FRIDAY』 の隠し撮り写真のようです。
なお、研ナオコにちょっと似ているアヴリルですが、
この絵が描かれた時、彼女はなんと20代前半だったそう!
ロートレック、容赦がありません。
それから、コートールドが唯一購入したというアンリ・ルソーの作品も印象的でした。
アンリ・ルソー 《税関》 1890年頃 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
20年以上も税関に務めていたため、
『税関吏ルソー』 とも呼ばれる彼が、その生涯で唯一、税関を描いた作品なのだとか。
・・・・・が。
肝心の税関がちょこんとしか描かれていないわ。
門の開き方が妙なことになっているわ。
税関の職員が変なところに立っているわ。
「20年以上働いて、それかい!」 な仕上がりになっています。
ある意味、期待を裏切らない作品でした。
また、今展には絵画作品だけでなく、
ロダンやドガらの彫刻作品も数点ほど出展されています。
その中でも特に目が釘付けとなったのは、
ドガの 《右の足裏を見る踊り子》 という作品。
エドガー・ドガ 《右の足裏を見る踊り子》 蝋による制作:1890年代/ブロンズに鋳造:1923年頃 コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
左足1本で立ち、右手で右足を持ち、足裏を見る。
なんとも難易度の高いポーズです。
実際、このポーズにモデルも苦心したのだそう。
「このポーズを保つことに苦労した」 とのモデルの告白が残っているそうです。
ただ、苦労も何も、普通の人にとっては、保つことそのものが無理。
試しに僕も家で何度かチャレンジしてみましたが、平均8秒でした (笑)
制作したドガよりも、モデルに感銘を受けました。
ちなみに。
構成はもちろん、内装にも随所にこだわりが見られる今回の展覧会。
図録にも画期的な工夫が施されていました。
作品の図版が掲載されたこちらのページ。
一見すると、いつもと変わらない図録の中の1ページです。
しかし、その1ページ前の透明なページを戻して上に重ねてみると、ご覧の通り。
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