暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
我が家では、壊れかけのクーラーを、騙し騙し使い続けてきましたが。
ついに、バカになってしまいました。
温風しか出てこなくなったのです。
そこで、 『涼』 を求めて、根津美術館へとやってきました。
現在開催中の “応挙の藤花図と近世の屏風” を観るためです。
お目当ては、やっぱり円山応挙の 《藤花図屏風》
重要文化財にも指定されていて、今回の美術展の目玉作品でもある屏風絵です。
シンプルな世界は、ただ美しいだけでなく、目にも涼しげ。
この屏風と対面すると、心にスーッと風が吹き抜けるような気がするのです。
きっと江戸時代のこの絵の所有者も、この絵を眺めては、 『涼』 を取っていたのではないでしょうか。
くわえて、今は、8月。そして、藤の季節は、5月。
この季節に 《藤花図屏風》 を眺めるだけで、
気持ち的に、気候が3か月分も遡れるという精神的な効果もあるのです (←?)
日々の暑さに参っている皆様も、是非、 《藤花図屏風》 の涼感
パワーをご体験くださいませ。
さてさて、ここまでは、 「《藤花図屏風》 は、涼しげだ!」 という話しかしていませんが。
それは、僕が勝手に抱いた印象であって、
学芸員さんや専門家が、そう言っているわけでも、
ましてや、円山応挙本人も、そう思って描いたわけではないでしょう (笑)
なので、それ以外の 《藤花図屏風》 の魅力にも触れておきますね。
僕が思うに、 《藤花図屏風》 の最大の特徴は、
離れて観た時と、近づいて観た時の印象がガラッと変わること。
こんなにも、屏風と観賞する自分との距離だけで、イメージがガラッと変わる作品は珍しい気がします。
離れて観た時 (上の画像のように見える時) は、
藤以外の余白部分が強調されて、幽玄な感じがします。
また、藤の花の輪郭と金箔とが、溶け合っているように見え、一種のファンタジーのような印象です。
では、今度は近づいて観てみましょう。
離れて観ると、ボヤ~ッと見えた藤の花ですが、
近づいて観ると、目を見張るほど丁寧に描かれているのがわかります。
(ボヤ~ッと見えたのは、何色もの色が重ねられているから)
近づいて、じっくり観ると、円山応挙らしいリアリズムを感じ取ることが出来るのです。
離れて観て、その後は、じっくり近づいて観て。
一粒で二度おいしい作品です。
それと、これは余談なのですが。
あまりにじっくりと観過ぎてしまったため、謎の暗号 (?) を発見してしまいました。
左隻に描かれた藤の蔓の先っぽが・・・
綺麗に三角形に!!
どうして、こんなところに、急に綺麗な三角形が描かれたのか。
(どう見ても、不自然です)
これは、 “応挙コード” に違いありません。
《藤花図屏風》 が素晴らしかったため、 《藤花図屏風》 しか紹介していませんが。
もちろん、他にも展示品はあります (←当たり前!)
今回の美術展には、 《藤花図屏風》 以外にも、
根津美術館のコレクションの中から選りすぐりの屏風絵を展示紹介しています。
長沢芦雪の 《赤壁図屏風 (右隻)》 に、
《草花図屏風》 、
他にも、 《木蓮棕櫚芭蕉図屏風》 や 《山水花鳥図屏風》 などなど。
個性豊かな11点の屏風が、ドーンと展示されています。
・・・でも、やっぱり 《藤花図屏風》 には勝てないですかね。
そのため、豪華一点主義的な印象が終始拭えなかったので、1ツ星。
ちなみに、厳密には、 “応挙の藤花図と近世の屏風” の会場ではなく、
展示室5で開催されている 「テーマ展示“南蛮・島物の茶道具”」 で展示されている作品ですが。
こちらの 《南蛮海老耳水指》 も、ある意味で、 『涼』 が取れる作品でした。
「ギョエ~!!フナムシ!!!」
と、背筋に一瞬冷たいものが走りました。
(僕は虫が大の苦手)
よく見ると、フナムシではなく、エビ。
紛らわしいよ!
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応挙の藤花図と近世の屏風
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