夏休みの間だけ、金髪にしたり茶髪にしたり、キャラチェンジをする人がいますが。
そんな感じで (?) 、今年の夏休みは、
普段は、お上品で大人向けの美術展を開催しているサントリー美術館が、全く違うキャラに変身中!
“おもしろびじゅつワンダーランド展” という、
何ともはっちゃけたタイトルの美術展を開催しているのです。
「来て、見て、感じて、驚いちゃって!」 とか、絶対に言わないような美術館なのにw
さてさて、一体、どんな美術展なのかと言いますと。
子供から大人まで、より多くの人に、日本美術に親しんでもらうべく、
サントリー美術館の名品の数々を、五感で体験・体感出来る斬新な展示方法で紹介する美術展です。
タイトルは、ちょっとふざけていますが (笑) 、コンセプトは大真面目。
しかも、今回の美術展は、ルーヴル-DNP ミュージアムラボでお馴染みの大日本印刷が全面協力。
これは、面白くないわけがありますまい。
“美術を、もっともっと身近なものに。もっともっと楽しいものに。もっともっと笑えるものに。”
というアートテラーのモットーに、
もっとも理念が近い美術展ということもあって、実は、今年一番楽しみな美術展でした。
では、早速、会場の中に入ってみましょう。
(今回は、何と写真撮影OKです)
今回の美術展は、いきなりプラネタリウムから始まります (←?!)
「・・・・・・どゆこと??」 と、戸惑うでしょうが。
まぁ、まずは、こちらの天井を見上げてください。
キラキララメラメした天井に、さまざまな植物の紋様がプロジェクションされていきます。
その様は、確かに、ある意味でプラネタリウム。
しかし、これと、どう日本美術が結び付くのでしょう??
その答えは、このプラネタリウムの先にありました。
こちらは、サントリー美術館が誇る国宝 《浮線綾螺鈿蒔絵手箱》 。
この普段見ることが出来ない、この蒔絵箱の蓋裏の紋様こそが、
先ほど、プラネタリウムとして、プロジェクションされていたもの。
つまり、こういうイメージです↓
これを、 「面白い♪」 と感じる人もいれば、
「だから、何!?」 と感じる人もいるでしょうが、斬新なことは確かです。
続いて、会場に現れたのは、たくさんのススキ。
そのススキ林を抜けた先に、 《武蔵野図屏風》 が展示されています。
何とも粋な展示方法です。
正直なところ、普通の美術展で普通に展示されているだけだったら、
《武蔵野図屏風》 は、きっと印象にあまり残るような作品ではないでしょうが。
今回の演出のおかげで、僕は一生、 《武蔵野図屏風》 を忘れないことでしょう。
ススキ林を抜けて、ススキの絵を観るという体験が出来るのは、サントリー美術館だけです。
《武蔵野図屏風》 に続いて、現れたのは、怪しく光る謎のトンネル。
この謎のトンネルの中には、
《藍色ちろり》 をはじめとするガラス器コレクションが展示されていました。
これまでも何度か、サントリー美術館で、ガラス器を目にしていますが、
その時の展示と、あまり変わらないような・・・ (どの辺りが、おもしろびじゅつワンダーランド?)
と、次の瞬間!
トンネルの照明が青く変化しました。
それにともなって、ガラス器たちの表情も変化!
この美しさは、絶品。
ただでさえ美しいガラス器が、照明の演出で、さらに美しさを帯びて。
グラデーションで、その変化が楽しめるのが、また素晴らしいです。
「今後、ガラス器は、こう展示するのがスタンダート」 と定着させたいくらいに、しっくり来る展示方法でした。
さてさて、 「日本美術のテーマパーク」 は、
この後も、まだまだ続きますが、あとは会場でのお楽しみ。
混雑を避けたい方は、金曜土曜の夜間開館 (アフター6?) がオススメです。
期待通り、とても楽しい展示でしたが、
全部で体験できるコーナーが8つと少ないのだけが、やや難。
それだけ、一つ一つのコーナーを作り込んでいるとも言えるのですが、
じっくり時間をかけて全部の展示を堪能しても、1時間もかからないと思われます。
「あれっ、もう終わり?」 感は、否めません。
楽しい時間ほど、早く過ぎてしまうもの。
もっといろいろ見たかったです。
来年の夏休みにも期待して、2ツ星。
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おもしろびじゅつワンダーランド展
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