昨日は、目黒区美術館で開催中の展覧会、
”線の迷宮〈ラビリンス〉Ⅲ 齋藤芽生とフローラの神殿” に行ってきました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。会場は一部撮影可)
今年2019年の芸術の秋に開催される数多くの展覧会の中で、
実は、個人的にもっとも楽しみにしていた展覧会のうちの一つです。
というのも、何を隠そう、齋藤芽生さんの大ファンでして。
2009年に国立新美術館で初めて彼女の作品を観て以来、ずっと新作をチェックしていました。
今回の目黒区美術館での展覧会は、齋藤さんにとって、公立美術館では初となる個展。
初期の作品から最新作まで、約100点が紹介される現時点での集大成的な展覧会なのです。
これは行かないわけにいきません!
まず初めに展示されていたのは、
10年前の僕が齋藤さんにハマるきっかけとなった 《徒花図鑑》 というシリーズ。
巻いてはもらえぬマフラーを編むかのように、
2本の針状のめしべで長いおしべを編み続ける花 「不捧草 (ささげずそう)」 や、
ヒマワリと違い、窓際族のデスクなど影のある方向に向かって咲く 「斜陽葵 (かげまわり)」 など、
齋藤芽生さんが想像 (妄想?) で生み出した植物を図鑑形式で描くシリーズです。
もちろん、これらの植物は現実世界には存在しないのですが。
設定が作りこまれていることにくわえ、あまりに細密な描写のため、
「ひょっとしたら、あるのか?」 と思わせる妙なリアリティがあります。
このシリーズの作品はどれも好きなのですが、
中でも個人的にお気に入りなのは、「脂百合 (やにゆり)」 という植物。
純潔の象徴であるユリとは対照的に、
煙草を養分とし、白い花びらが脂色に染まっています。
吸っているのは、おそらくマールボロ。
1日何箱、吸うのでしょう??
育てる費用が、バカにならなさそうです。
なお、《徒花図鑑》 から派生した 《徒花園》 も出展されていました。
こちらは、毒々しいくらいにビビッドな裂に軸装されたシリーズ。
どれもインパクト抜群なビジュアルをしていますが、
やはり特に強烈なのは、向かって左に飾られている 《剃刀撫子》 ではないでしょうか。
キャプションには、こう記載されていました。
「触れるもの皆傷つける刃の撫子。
母の日のカーネーション代わりにこの花を子供からもらったら要注意。」
切れ味鋭いブラックジョークです。
続いて紹介されていたのは、《毒花図鑑》 。
こちらは、《徒花図鑑》 の前身となるシリーズで、
当時大学2年生 (20歳) であった齋藤さんが制作した14点組のシリーズです。
《徒花図鑑》 よりも、図鑑感 (?) があります。
植物の説明だけでなく、花言葉まで記載されていて、見応え (読み応え?) は十分。
1点1点鑑賞するたびに、一つの短編小説、
それもイヤミス (=読後にイヤな気持ちになる後味が悪いミステリ) を読んだような気分になりました。
ちなみに、今回の展覧会では、齋藤さんに大きな刺激を与えたという、
R・J・ソーントンによる19世紀の植物図鑑の名作 《フローラの神殿》 も特別出展されています。
こちらは、れっきとした植物図鑑ゆえ、
描かれているのはすべて実在している植物なのですが・・・
不思議とどれも現実感がなく、どこか不穏で毒々しい雰囲気を放っていました。
こんな植物図鑑と多感な時期に出合ったら、
それは齋藤芽生さんというアーティストが出来上がるわけだ、と納得するものがありました (笑)
さてさて、展覧会は全部で3章仕立てです。
ここまで紹介したのが、『花の迷宮』 の章。
この他に、団地をテーマにした 《晒野団地四畳半詣》 シリーズを含む 『窓の光景』 、
齋藤さん自身が日本中を旅し、そこで採集したイメージを作品に取り込んだ近作、
《密愛村Ⅲ・Ⅳ》 や 《暗紅街道》 シリーズを紹介する 『旅をする魂』 が展開されています。
さらに、齋藤さんの “四畳半” の仕事場も館内に完全再現 (?) されていました。
(↑出来たてホヤホヤなのでしょう。新しい畳の匂い、新築の家の匂いがしていました)
本音を言えば、これらすべての詳細を紹介したいところですが、
それだと3日分くらいの記事になってしまいそうなので、涙を吞んで自粛。
是非、実際に足を運んで、その目で齋藤芽生ワールドをご確認くださいませ。
観るだけで心が洗われる美しい美術作品もイイですが、
たまには、ちょっと毒のあるビターなテイストの美術作品も味わってみては?
ちなみに。
展覧会では、齋藤さん作の 《四畳半みくじ》 を引くこともできます。
せっかくなので、100円をお支払いしてチャレンジしてみることに。
すると、恐ろしい結果が出てしまいました。
台風九号と十号が絡み合う・・・はっ?!
もしや、台風19号のことを暗示しているのでは!!
あまりにタイムリーな内容すぎて、ビックリしました。
なお、僕以上に、「そんなの書いたっけ?」 と齋藤さん自身もビックリされていました。
齋藤さん曰く、意外と当たるという 《四畳半みくじ》 。
僕が引いたおみくじには、『嵐吉』 と書かれています。
どうか日本に甚大な被害が起こりませんように!
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!
”線の迷宮〈ラビリンス〉Ⅲ 齋藤芽生とフローラの神殿” に行ってきました。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。会場は一部撮影可)
今年2019年の芸術の秋に開催される数多くの展覧会の中で、
実は、個人的にもっとも楽しみにしていた展覧会のうちの一つです。
というのも、何を隠そう、齋藤芽生さんの大ファンでして。
2009年に国立新美術館で初めて彼女の作品を観て以来、ずっと新作をチェックしていました。
今回の目黒区美術館での展覧会は、齋藤さんにとって、公立美術館では初となる個展。
初期の作品から最新作まで、約100点が紹介される現時点での集大成的な展覧会なのです。
これは行かないわけにいきません!
まず初めに展示されていたのは、
10年前の僕が齋藤さんにハマるきっかけとなった 《徒花図鑑》 というシリーズ。
巻いてはもらえぬマフラーを編むかのように、
2本の針状のめしべで長いおしべを編み続ける花 「不捧草 (ささげずそう)」 や、
ヒマワリと違い、窓際族のデスクなど影のある方向に向かって咲く 「斜陽葵 (かげまわり)」 など、
齋藤芽生さんが想像 (妄想?) で生み出した植物を図鑑形式で描くシリーズです。
もちろん、これらの植物は現実世界には存在しないのですが。
設定が作りこまれていることにくわえ、あまりに細密な描写のため、
「ひょっとしたら、あるのか?」 と思わせる妙なリアリティがあります。
このシリーズの作品はどれも好きなのですが、
中でも個人的にお気に入りなのは、「脂百合 (やにゆり)」 という植物。
純潔の象徴であるユリとは対照的に、
煙草を養分とし、白い花びらが脂色に染まっています。
吸っているのは、おそらくマールボロ。
1日何箱、吸うのでしょう??
育てる費用が、バカにならなさそうです。
なお、《徒花図鑑》 から派生した 《徒花園》 も出展されていました。
こちらは、毒々しいくらいにビビッドな裂に軸装されたシリーズ。
どれもインパクト抜群なビジュアルをしていますが、
やはり特に強烈なのは、向かって左に飾られている 《剃刀撫子》 ではないでしょうか。
キャプションには、こう記載されていました。
「触れるもの皆傷つける刃の撫子。
母の日のカーネーション代わりにこの花を子供からもらったら要注意。」
切れ味鋭いブラックジョークです。
続いて紹介されていたのは、《毒花図鑑》 。
こちらは、《徒花図鑑》 の前身となるシリーズで、
当時大学2年生 (20歳) であった齋藤さんが制作した14点組のシリーズです。
《徒花図鑑》 よりも、図鑑感 (?) があります。
植物の説明だけでなく、花言葉まで記載されていて、見応え (読み応え?) は十分。
1点1点鑑賞するたびに、一つの短編小説、
それもイヤミス (=読後にイヤな気持ちになる後味が悪いミステリ) を読んだような気分になりました。
ちなみに、今回の展覧会では、齋藤さんに大きな刺激を与えたという、
R・J・ソーントンによる19世紀の植物図鑑の名作 《フローラの神殿》 も特別出展されています。
こちらは、れっきとした植物図鑑ゆえ、
描かれているのはすべて実在している植物なのですが・・・
不思議とどれも現実感がなく、どこか不穏で毒々しい雰囲気を放っていました。
こんな植物図鑑と多感な時期に出合ったら、
それは齋藤芽生さんというアーティストが出来上がるわけだ、と納得するものがありました (笑)
さてさて、展覧会は全部で3章仕立てです。
ここまで紹介したのが、『花の迷宮』 の章。
この他に、団地をテーマにした 《晒野団地四畳半詣》 シリーズを含む 『窓の光景』 、
齋藤さん自身が日本中を旅し、そこで採集したイメージを作品に取り込んだ近作、
《密愛村Ⅲ・Ⅳ》 や 《暗紅街道》 シリーズを紹介する 『旅をする魂』 が展開されています。
さらに、齋藤さんの “四畳半” の仕事場も館内に完全再現 (?) されていました。
(↑出来たてホヤホヤなのでしょう。新しい畳の匂い、新築の家の匂いがしていました)
本音を言えば、これらすべての詳細を紹介したいところですが、
それだと3日分くらいの記事になってしまいそうなので、涙を吞んで自粛。
是非、実際に足を運んで、その目で齋藤芽生ワールドをご確認くださいませ。
観るだけで心が洗われる美しい美術作品もイイですが、
たまには、ちょっと毒のあるビターなテイストの美術作品も味わってみては?
ちなみに。
展覧会では、齋藤さん作の 《四畳半みくじ》 を引くこともできます。
せっかくなので、100円をお支払いしてチャレンジしてみることに。
すると、恐ろしい結果が出てしまいました。
台風九号と十号が絡み合う・・・はっ?!
もしや、台風19号のことを暗示しているのでは!!
あまりにタイムリーな内容すぎて、ビックリしました。
なお、僕以上に、「そんなの書いたっけ?」 と齋藤さん自身もビックリされていました。
齋藤さん曰く、意外と当たるという 《四畳半みくじ》 。
僕が引いたおみくじには、『嵐吉』 と書かれています。
どうか日本に甚大な被害が起こりませんように!
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