大阪府和泉市にある和泉市久保惣記念美術館。
和泉市で綿業を長年営んでいた久保惣株式会社と、
創業者一族である久保家のコレクションを中心とした美術館です。
この秋、渋谷区立松濤美術館で開催されているのは、
そんな和泉市久保惣記念美術館が所蔵する名品の数々を紹介する展覧会。
その名も、“日本・東洋 美のたからばこ~和泉市久保惣記念美術館の名品” です。
「美の宝箱や~」
と、彦摩呂ばりに声を張り上げたくなる気持ちはわかります。
というのも、和泉市久保惣記念美術館が所蔵するコレクション、
約11000点の中から、コレクションの白眉ともいえる絵巻の名品の数々や、
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
東洲斎写楽や葛飾北斎といった浮世絵の名品の数々、
さらには、あの宮本武蔵がモズをモチーフに描いた 《枯木鳴鵙図》 などなど、
(注:展示は10/5~10/27)
選りすぐりの約90点が、惜しげもなく出展されているのです。
しかも、所蔵する国宝2点、重要文化財29点のうち、
なんと国宝は2点とも、重要文化財は23点 (!) が出展されています。
ほぼほぼオールキャスト総出演!
現在、和泉市久保惣記念美術館は特に休館しているわけではないので、
むしろ、こんなに一軍選手が館を離れてしまって大丈夫なのか、と心配になるレベルでした。
なお、和泉市久保惣記念美術館のコレクションが他館でまとまった形で紹介されるのは、
東京国立博物館と大阪市立美術館で開催されたコレクション展以来、実に37年ぶりとのこと。
正倉院展の陰に隠れてしまっている感はありますが、
今年の芸術の秋 “日本美術部門” のダークホース的展覧会です。
さてさて、そんな名品揃いの展覧会の中で、
特に見逃せないのが、《青磁 鳳凰耳花生 銘「万声」》 。
日本に伝わる青磁の中でも最高峰とされる逸品で、国宝にも指定されています。
何といっても目を引くのが、その淡く絶妙な色合い。
ペパーミントカラーに近い色のため、爽やかさも感じられます。
また、カラーと同じくらいに美しいのが、目に吸い付くようなきめ細やかな肌合いです。
その磁肌をじーっと眺めていたら、なんだか甘味が感じられました。
おそらく、マーブルチョコやM&M'Sのコーティング部分、
もしくは正露丸糖衣Aの糖衣の部分にどこか質感が似ているからでしょう。
また、同じく国宝の 《歌仙歌合》 も見逃せない逸品です。
《歌仙歌合》 とは、柿本人麻呂や小野小町といった、
代表的な歌人30人の秀歌が書き記された、いわばコンピレーションアルバムのようなもの。
かなの名品とされるだけあって、書に疎い僕でも、
この文字が美しいことは、ちゃんと理解することができました。
ところで、妙に気になるのが、紙のあちこちに登場する青あざみたいなヤツ。
こちらは、飛雲 (とびくも) という紙の装飾の一種です。
藍と紫の繊維を漉き込み、まるで雲が飛んでいるように散らしたもの。
今は内出血しているような色合いですが、
平安時代の当時はもっと美しい色合いだったのかもしれませんね。
この他にも、伊藤若冲の 《乗興舟》 や、
(注:展示は10/5~10/27)
黄瀬戸の名品として名高い重要文化財の 《黄瀬戸 立鼓花入 銘「旅枕」》 をはじめ、
一度は観ておきたい名品は多々ありましたが。
個人的に一番印象に残っているのは、《名物裂集古鑑》 です。
こちらは、いわゆる名物とされる裂 (きれ) を蒐集して、折帖に貼ったもの。
つまりは、名物裂のスクラップブックです。
現代よりも布が貴重だった時代、切れ端もこのようにして大切に集められていたのですね。
それらの裂ももちろん美しかったのですが、
それ以上に美を感じたのが、その配置の仕方です。
まるでタングラムのように、正方形のスペースにぴたっと納められていました。
いかに無駄なスペースを生まないか。
もはや執念のようなものすら感じました。
この 《名物裂集古鑑》 を作った人は、きっと荷造りも得意だったことでしょう。
1位を目指して、ランキングに挑戦中。
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和泉市で綿業を長年営んでいた久保惣株式会社と、
創業者一族である久保家のコレクションを中心とした美術館です。
この秋、渋谷区立松濤美術館で開催されているのは、
そんな和泉市久保惣記念美術館が所蔵する名品の数々を紹介する展覧会。
その名も、“日本・東洋 美のたからばこ~和泉市久保惣記念美術館の名品” です。
「美の宝箱や~」
と、彦摩呂ばりに声を張り上げたくなる気持ちはわかります。
というのも、和泉市久保惣記念美術館が所蔵するコレクション、
約11000点の中から、コレクションの白眉ともいえる絵巻の名品の数々や、
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております)
東洲斎写楽や葛飾北斎といった浮世絵の名品の数々、
さらには、あの宮本武蔵がモズをモチーフに描いた 《枯木鳴鵙図》 などなど、
(注:展示は10/5~10/27)
選りすぐりの約90点が、惜しげもなく出展されているのです。
しかも、所蔵する国宝2点、重要文化財29点のうち、
なんと国宝は2点とも、重要文化財は23点 (!) が出展されています。
ほぼほぼオールキャスト総出演!
現在、和泉市久保惣記念美術館は特に休館しているわけではないので、
むしろ、こんなに一軍選手が館を離れてしまって大丈夫なのか、と心配になるレベルでした。
なお、和泉市久保惣記念美術館のコレクションが他館でまとまった形で紹介されるのは、
東京国立博物館と大阪市立美術館で開催されたコレクション展以来、実に37年ぶりとのこと。
正倉院展の陰に隠れてしまっている感はありますが、
今年の芸術の秋 “日本美術部門” のダークホース的展覧会です。
さてさて、そんな名品揃いの展覧会の中で、
特に見逃せないのが、《青磁 鳳凰耳花生 銘「万声」》 。
日本に伝わる青磁の中でも最高峰とされる逸品で、国宝にも指定されています。
何といっても目を引くのが、その淡く絶妙な色合い。
ペパーミントカラーに近い色のため、爽やかさも感じられます。
また、カラーと同じくらいに美しいのが、目に吸い付くようなきめ細やかな肌合いです。
その磁肌をじーっと眺めていたら、なんだか甘味が感じられました。
おそらく、マーブルチョコやM&M'Sのコーティング部分、
もしくは正露丸糖衣Aの糖衣の部分にどこか質感が似ているからでしょう。
また、同じく国宝の 《歌仙歌合》 も見逃せない逸品です。
《歌仙歌合》 とは、柿本人麻呂や小野小町といった、
代表的な歌人30人の秀歌が書き記された、いわばコンピレーションアルバムのようなもの。
かなの名品とされるだけあって、書に疎い僕でも、
この文字が美しいことは、ちゃんと理解することができました。
ところで、妙に気になるのが、紙のあちこちに登場する青あざみたいなヤツ。
こちらは、飛雲 (とびくも) という紙の装飾の一種です。
藍と紫の繊維を漉き込み、まるで雲が飛んでいるように散らしたもの。
今は内出血しているような色合いですが、
平安時代の当時はもっと美しい色合いだったのかもしれませんね。
この他にも、伊藤若冲の 《乗興舟》 や、
(注:展示は10/5~10/27)
黄瀬戸の名品として名高い重要文化財の 《黄瀬戸 立鼓花入 銘「旅枕」》 をはじめ、
一度は観ておきたい名品は多々ありましたが。
個人的に一番印象に残っているのは、《名物裂集古鑑》 です。
こちらは、いわゆる名物とされる裂 (きれ) を蒐集して、折帖に貼ったもの。
つまりは、名物裂のスクラップブックです。
現代よりも布が貴重だった時代、切れ端もこのようにして大切に集められていたのですね。
それらの裂ももちろん美しかったのですが、
それ以上に美を感じたのが、その配置の仕方です。
まるでタングラムのように、正方形のスペースにぴたっと納められていました。
いかに無駄なスペースを生まないか。
もはや執念のようなものすら感じました。
この 《名物裂集古鑑》 を作った人は、きっと荷造りも得意だったことでしょう。
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