これまで、何冊も芸術家を主人公した小説を紹介してきましたが。
いよいよ、今回で、祝10冊目。
ということで (?) 、ルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチに登場願いました。
ダ・ヴィンチの愛人 (集英社文庫)/集英社
¥860
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■ダ・ヴィンチの愛人
作者:藤本ひとみ
出版社:集英社
発売日:2008/7/18
ページ数:504ページ
15世紀、ルネサンスの街フィレンツェを支配するメディチ家とそれを狙うローマ教皇庁。
工房に入った若き天才ダ・ヴィンチは、
豪華王と呼ばれるロレンツォの弟、美貌のジュリアーノに魅せられた。
兄弟子ボッティチェルリと争いながら、恋と芸術に没頭する日日に忍び寄る陰謀の影。
ダ・ヴィンチの才能を花開かせた殺戮とは。
モナ・リザを持って逃れたダ・ヴィンチが語る恋と復讐の物語。
(「BOOK」データベースより)
「レオナルドの人生には、空白期間があった。
16歳~30歳まで、彼はフィレンツェで何をしていたのか。
老いたレオナルドが、その空白期間を、
弟子に語って聞かせようとするところから物語は始まります。
しかし、それを話すことは、神が禁じた男色について、赤裸々に告白することになる。
その罪には耐えられない。
そこで、天才レオナルドは、一計を案じます。
アンジェラという少女の話として、語ることに。
というわけで、物語に登場するのは、若きレオナルド…ではなく、アンジェラ。
ややこしいですが、アンジェラは、レオナルドであると頭の片隅において、読み進めました。
さてさて、物語の最初で、いきなりレオナル…ではなく、アンジェラが、
メディチ家の貴公子ジュリアーノ・ディ・ピエロ・デ・メディチに恋をします。
それをきっかけに、ロレンツォ・ディ・メディチやレオーネ十世など、
メディチ家の面々が登場し、物語は、レオナ…ではなく、アンジェラを差し置いて、
メディチ家の物語を中心に展開していきます。
あれ?
レオ…ではなくて、アンジェラの画家修行も描かれることは描かれますが。
いかんせん、物語全体の中での割合が、思ったよりも少なめ。
『坂の上の雲』 における正岡子規くらいの扱いです (←この例えで、伝わります?)
師匠のヴェロッキオとのエピソードは、ともかくも。
兄弟子ボッティチェリ (物語では、ボッティチェルリ) とは、関係を持ってしまう展開に。
ヌード画のモデルとなったアンジェラの裸体に、
ボッティチェリが惹かれて・・・というのは、わからなくもないのですが。
アンジェラは、実際、レオナルドなわけで (←この設定、ややこしい!)
ということは、ボッティチェリも、そっち系というわけで。
ボッティチェリに、メディチ家の面々が、
アンジェラ、すなわち、レオナルドを巡って、恋する物語。
なんだ、ただのルネサンスのボーイズラブものか。
後半に近づくにつれ、さらに、アンジェラの出番が少なくなります。
物語の主題は、メディチ家の当主を巡る経済戦争。
『ダ・ヴィンチの愛人』 というタイトルなのに、
“ダ・ヴィンチ” も “愛人” も、ほとんど関係ない。
で、驚くことに、そのまま、エンディングを迎えてしまいました。
ダ・ヴィンチは (怒) ??
そんな僕の怒りをあざ笑うかのように、
一番最後のページに、衝撃の一言が待ち構えていたのです。
「この作品は一九九六年十一月、新潮文庫として刊行された
『逆光のメディチ家』を改題したものです。」
メディチ家が、主人公やないか~い
ルネッサ~ンス
(↑もはや、時代遅れのギャグで、怒りをやり過ごすしかない)
こんなにタイトルを変えてはいけません。
これは、もはや詐欺のレベル。
この企画始まって以来初の、評価がマイナス。
―(星-1つ)」
~小説に登場する名画~
《春》
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Book:10 『ダ・ヴィンチの愛人 』
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