石橋財団コレクションと現代アーティストとの共演。
それが、ジャムセッション。
アーティストと学芸員がコラボレーションし、
年1回の予定で、新たな視点による展覧会を構成していくそうです。
記念すべき、そのジャムセッションの初回を飾るのは、鴻池朋子さん。
国内外から引っ張りだこ、今もっとも人気のある現代アーティストの一人です。
なお、展覧会のタイトルは、“鴻池朋子 ちゅうがえり”。
どんな展覧会か全く想像がつかないですが、なんかワクワクしそうな予感はあります。
早速、会場の中に入ってみましょう。
まず会場の中で目を引くのが、幅12m高さ4mの 《皮トンビ》 という作品。
こちらは、瀬戸内国際芸術祭2019で発表された作品。
発表後、約1年間ほど山に設置されていたそうで、
イイ感じに経年変化して (←何をもってイイというかは人それぞれですが)、味が出ていました。
こちらはなめした革を使った作品ですが、
会場内には、実際の毛皮を用いた作品も。
なかなかにワイルドな光景が広がる展覧会です。
心臓の弱い方は、十分にご注意くださいませ。
そうそう。毛皮といえば、
会場の一部に小道のようなスペースがありまして。
その小道の先へと進むためには、
どうやらこのスズランテープ製ののれん (?) を通り抜けらねばなりませんでした。
で、かき分けて進もうとした次の瞬間。
何かが僕の手に触れたのです。
「きゃぁ!!」 (←情けない声が、自然に出た)
なんと、のれん (?) の中に、毛皮が隠されていました。
本当に心臓に悪いトラップです。
これから訪れる皆さま、是非お気を付けくださいませ。
さてさて、展覧会には他にも、まさに会場を埋め尽くすように、
鴻池朋子さんの代表作や最新作の数々が展示されていました。
石橋財団コレクションとのコラボと聞いていたので、
石橋財団コレクションと鴻池作品が、5対5くらいの割合で展示されているのかと思いきや。
1対9。もっといえば、0.5対9.5。
ほぼほぼ鴻池朋子展でした。
石橋財団コレクションで出展されていたのは、
ギュスターヴ・クールベの 《雪の中を駆ける鹿》 を含む、
たったの3点のみ。
会場内に、鴻池さんの言葉が紹介されていましたが、
今展にあたり、何度も収蔵庫を訪れ、調査してはみたものの、
どうしても石橋財団コレクションの作品を1点も選ぶことが出来なかったとのこと。
むしろ、何が自身の作品の横に並べられてもいいので、
学芸員さんに作品の選定はすべてお任せしたとのことでした。
そういうわけで、コラボ展といいながら、コラボ感こそあまりなかったのですが (笑)
それも含めて、面白い展覧会でした。
これでゴーサインを出した美術館も素晴らしければ、
フルスロットルでやり切った鴻池朋子さんも素晴らしい!
美術ファンならば、この夏観ておきたい展覧会の一つです。
ちなみに。
展覧会のメインとなるのは、会場の中央を占める新作のインスタレーション作品です。
円形に設置されているのは襖絵。
その周囲をスロープのようなものがぐるっと囲んでいます。
「どこに繋がっているんだろう?」 と思いながら、そのスロープを進んでいくと・・・・・・・
最終的に、すべり台に行きつきました。
引き返すのもなんなので、すべってみることに。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、あれ??
傾斜がそこまで無かったからでしょうか。
途中で止まってしまいました。
すべらんなぁ。
それも含めて、すべらない展覧会です。
お後がよろしいようで。