先月6月より、ロゴをはじめとするポーラ美術館のヴィジュアル・
そんな新生ポーラ美術館で、現在開催されているのが、“モネとマティス―もうひとつの楽園”。
その名の通り、モネとマティス、2人の巨匠にスポットを当てた展覧会です。
一人は印象派の画家、そして、もう一人は野獣派の画家。
約30歳違いで世代が一緒というわけでもなければ、2人が親密に交流していたというわけでもなし。
そのため、過去にこの2人を組み合わせた展覧会は開催されたことはありません。
しかし、そんな全く接点がないように思える2人には、とある共通点があったのです。
モネは理想の風景画を描くため、自邸に理想の庭園を造りあげました。
マティスは理想の室内画を描くため、自邸の室内を理想的に飾り立てました。
そう、理想の絵画を描くべく、まずは現実の世界に理想の光景 (=楽園) を完成させる。
そんな共通点を持った2人なのです。
さて、当初の予定では、世界的にも珍しい円形の 《睡蓮》 や、
クロード・モネ 《睡蓮》 1907年
サン=テティエンヌ・メトロポール近現代美術館 Musée d’Art Moderne et Contemporain de Saint-Étienne Métropole
©Yves Bresson / Musée d’Art Moderne et Contemporain de Saint-Étienne Métropole
マティスの代表作の一つである 《トルコの椅子にもたれるオダリスク》 をはじめ、
アンリ・マティス 《トルコの椅子にもたれるオダリスク》 1928年 パリ市立近代美術館
Musée d’Art Moderne de la Ville de Paris © Musée d’Art Moderne/Roger-Viollet
海外10か所から計20点のモネ&マティス作品が来日する予定でしたが、
新型コロナウイルスのせいで、それらはすべてステイホームせざるを得ない状況に。。。
(ただ、状況が落ち着いたら、来日するかもしないかも、とのこと)
しかし、だからといって、展覧会がパワーダウンしてしまったわけではありません。
日本全国の美術館から集結したモネ&マティスの作品にくわえ、
ポーラ美術館コレクションから関連する作家の作品も急遽出展されています。
結果的に、実に見ごたえのある展覧会となっていました。
特に圧巻だったのが、《睡蓮》 だけを集めた展示コーナー。
ポーラ美術館が所蔵する 《睡蓮の池》 や、
クロード・モネ 《睡蓮の池》 1899年 油彩/カンヴァス 88.6×91.9cm ポーラ美術館蔵
アサヒビール大山崎山荘美術館が所蔵する 《睡蓮》 を筆頭に、
クロード・モネ 《睡蓮》 1907年 油彩/カンヴァス 90.0×93.0cm アサヒビール大山崎山荘美術館蔵
日本にある 《睡蓮》 のうち実に6点が一堂に会しています。
海外から作品が借りてこられずとも、
日本のコレクションだけで、《睡蓮》 のコーナーを成立させられるのですね!
しかも、ちゃんと初期の作品から、晩年の作品まで網羅していました。
日本にたくさんモネがあって良かった。
そんなことを改めて実感させられました。
もちろんマティスだって負けていません (←?)。
ひろしま美術館が所蔵する 《赤い室内の緑衣の女》 や、
アンリ・マティス 《赤い室内の緑衣の女》 1947年 油彩/カンヴァス 72.7×60.4cm ひろしま美術館蔵
日本にあること自体が奇跡ともいわれる、
マティスの切り紙絵の集大成とされる 《ミモザ》 を含む、
アンリ・マティス 《ミモザ》 1949年 切り紙絵 151.3×93.0cm 池田20世紀美術館蔵
日本の美術館が所蔵するマティスの名品の数々が、会場を賑わせていました。
海外から作品が来日していないことを微塵も感じさせないほどに。
ちなみに、個人的に一番印象に残ったのは、
京都国立近代美術館が所蔵する 《鏡の前の青いドレス》 です。
アンリ・マティス 《鏡の前の青いドレス》 1937年 64.0x49.0 cm 油彩/カンヴァス 京都国立近代美術館蔵
室内を描くことに夢中だったマティス。
それゆえ、モデルの顔を描くのは、おざなりだったのでしょう。
ついそう勘ぐりたくなるような作品が、数点ほど見受けられました。
《鏡の前の青いドレス》 もそんな1点。
顔が落書きみたいな感じになっています。
一瞬、ぺこぱのシュウペイかと思いました。
さてさて、他にも見どころがいろいろある展覧会なので、
担当した学芸員さんに、これだけは絶対に見て欲しいイチオシを聞いてみました。
すると、「今回のフォトスポットはイイと思うよ。」 という意外すぎる回答が。
そんな学芸員さんイチオシのフォトスポットがこちら↓
少し離れたところから、モネがこっちを見ています。
もしくは、煽り運転された時の車載カメラの映像のよう。
こっちに近づいてくるつもりなのでしょうか。
若干ホラーテイスト感もある斬新なフォトスポットでした (笑)
ともあれせっかくなので、自分も映ってみることに。
この映り方が正解なのかは、自分ではイマイチわかりませんが、
学芸員さんにブログにアップすると約束したので、アップしてみました。
なお、マティスのほうのフォトスポットは、こんな感じです↓
なんとなく徹子の部屋感がありました。
なお、展覧会では、このフォトスポットで使われている写真以外にも、
自宅で過ごすマティスの姿を映した写真が何点か紹介されています。
どのマティスも例外なく、このように椅子に深く腰掛けていました。
あまりにも深すぎるので、この体勢だと、むしろ背中が疲れるのでは?
ちなみに、展覧会のラストを飾っていたのは、
新収蔵されたばかりというブリジット・ライリーの 《タブリーズ》 という作品です。
ブリジット・ライリー 《タブリーズ》 1984年 油彩/カンヴァス 217.2×182.2cm © Bridget Riley 2020. All rights reserved.
モネの作品もマティスの作品も、だいぶ色鮮やかに感じていましたが、
最後に登場したブリジット・ライリーの作品の色鮮やかさに、すべて持っていかれてしまいました。
ただ色鮮やかなだけでなく、とってもポップ。
どことなくパパリブレの飴を彷彿とさせるところがあります。
┃会期:2020年6月1日(月)~11月3日(火・祝)
┃会場:ポーラ美術館
┃https://www.polamuseum.or.jp/sp/monet_matisse/
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