富山県美術館での開幕式の翌日は、金沢21世紀美術館へ。
連休初日ということもあって、
富山県美術館もお客さんで賑わってるなァと思っていたのですが・・・・・。
金沢21世紀美術館は、
その比ではありませんでした!!
何この人の多さ?!
平日には何度か訪れたことがありましたが、
土日祝に訪れるのは初めてだったため、あまりの光景にビックリしました。
しかし、学芸員さん曰く、
「GWとか連休だと、これが当たり前の状態だよ」 とのこと。
ちなみに、美術界の “例のプール” こと (?)、
レアンドロ・エルリッヒの 《スイミング・プール》 にいたっては・・・・・・
僕が訪れた午前の時点で、作品を体験するために必要な展覧会チケットの販売は終了とのこと。
もし、チケットを持っていたとしても、
作品を体験するためには、列に並ばないとならず。
1時間以上は待つ必要がありました。
ディズニーランドやUSJのアトラクションに匹敵するほどの人気ぶり。
金沢21世紀美術館って、これほどまでに集客力のある美術館だったのですね・・・。
↑金沢21世紀美術館のすぐ近くにある広坂という停留所から、
こちらの高速バスに乗れば、富山駅まで1本で行けるそうですよ。
金沢21世紀美術館を訪れた皆さま、是非、そのついでに富山県美術館にも (>人<)
さてさて、そんな金沢21世紀美術館で、現在開催中なのが、
“ミヒャエル・ボレマンス マーク・マンダース|ダブル・サイレンス” という展覧会。
こちらは、ベルギー生まれの画家ミヒャエル・ボレマンスと、
オランダ生まれの彫刻家マーク・マンダースの2人による展覧会です。
以前、ギャラリーではこの2人展は開催されたそうですが、
美術館で2人が競演を果たすのは、今回が世界初の試みとのこと。
実に貴重な機会です。
(参考画像) 左) マーク・マンダース 《椅子の上の乾いた像》 2011-2015 右) ミヒャエル・ボレマンス 《オートマト(I)》 2008
Photo: Peter Cox
Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp, Gallery Koyanagi, Tokyo, Tanya Bonakdar Gallery, New York/Los Angeles & David Zwirner
ミヒャエル・ボレマンスに関しては、
2014年に原美術館で開催された日本初個展以来、作品をまとめて目にしましたが。
相変わらず、観れば観るほど、不穏さを感じずにはいられない、心をザワつかせる作風でした。
特に印象的だったのは、「ボレマンスのモナリザ」 とも呼ばれる 《天使》 という一枚。
ミヒャエル・ボレマンス 《天使》 2013 Photo: Peter Cox Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp
なぜ、顔を黒く塗っているのか?
なぜ、金髪オールバックなのか?
なぜ、うなだれているのか?
いろいろ疑問は湧きますが、
とりあえず一つ言えるのは、天使なんかじゃない、ということ。
ちなみに、作品の高さは約3m。
その迫力には、圧倒されること請け合いです。
さて、この 《天使》 は、明らかに不穏さを狙って描いている感じがありますが。
ミヒャエル・ボレマンスが持って生まれた性質なのでしょうか。
ジャムを塗ったパンを食べる人やカラーコーンを描いた絵ですらも、なぜか不穏に見えてくるのです。
《赤い手、 緑の手》 もそんな一枚。
ミヒャエル・ボレマンス 《赤い手、 緑の手》 2010 個人蔵
Photo: Peter Cox Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp
血塗られた手を描いたわけではないはずなのですが、もうそれにしか見えてきません。
そして、それに引っ張られる形で、緑色の手も、
エイリアンか何かの緑色の血で血塗られた手に見えてきました。
怖っ。
一方、もう一人の主役マーク・マンダースは、
この展覧会で初めて作品をまとめて観ることができました。
彼は1986年より、「建物としてのセルフ・ポートレイト」 というコンセプトを掲げているのだそう。
それについては、イマイチよくわかりませんでしたが。
マーク・マンダース 《2色のコンポジション》 2005–2020 Photo: Peter Cox Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp
マーク・マンダース 《乾いた土の頭部》 2015-2016 Photo: Peter Cox Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp
どこかで見たことあるようで、やっぱり見たことないようで。
一度目にしたら、確実に心に巣食うであろう、静かながら強烈なインパクトがありました。
ちなみに、こちらは最新作の 《4つの黄色い縦のコンポジション》。
マーク・マンダース 《4つの黄色い縦のコンポジション》 2017–2019
Photo: EPW STUDIO Courtesy: Zeno X Gallery, Antwerp & Tanya Bonakdar Gallery, New York
粘土で出来ているように見えますが、
実は鋳造した青銅に着色を施したものなのだとか。
それぞれの顔面に差し込まれた黄色い木片には痛々しさを覚えますが、
それと同時に、この木片があるおかげで、作品の魅力が高まっていることを強く感じます。
アンビバレントな感情を抱かせる作品です。
ミヒャエル・ボレマンスとマーク・マンダース。
どちらの作品も不穏な空気が漂っています。
不穏×不穏の相乗効果。
そこに、四方から光が差し込むという、
金沢21世紀美術館特有の展示空間が加わることで・・・・・・
絶妙な白昼夢感 (?) を生み出していました。
この日、展覧会場で観た光景は、
一生覚えていられるであろう謎の自信があります。
ちなみに。
金沢21世紀美術館リコメンドの若手作家を紹介する、
無料の展覧会シリーズ 「アペルト」 では、その第12弾として、“安西剛 「ポリ-」” を開催。
こちらは、僕たちの日常に欠かせない存在でありながら、
よくよく考えたら作り方がわからないプラスチックに着目した展覧会です。
興味深い作品は多々ありましたが、
個人的に一番印象に残っているのは、《Artifact》 シリーズ。
こちらは、海岸で拾ったプラスチックの破片を組み合わせて作られたもの。
もし、何万年後かの考古学者が、海岸でこれらの破片を拾ったなら。
現在の考古学者が土器片を組みわせて、元の形を復元するように、
きっとプラスチック片を組み合わせて、こんな感じに復元するのではないかと作成されたもの。
そして、この復元されたものから、令和時代の生活を想像しようとするのでしょうね。
いや、これで想像されても困るけど。
そう考えると、土器を復元したものも、本当にあれで合っているのか不安になってきました。