人生で初めてキュレーションを担当した展覧会、
“TADのベスト版 コレクション+(プラス)─あなたならどう見る?─” が開幕して、早くも1週間―
東京に戻り、通常運転の日々を過ごしているため、
早くも、“アレは幻だったのではないか??” という感覚に捉われています。
今、富山県美術館では、本当に、
“TADのベスト版 コレクション+” が開催されているんですよね??
ゲストキュレーターとしての大仕事。
それは、ちょうど今から一週間前、開幕日にありました。
そう、開会式です。
これまでアートテラーとして、メディアの端くれとして、
数多くの開幕式に参加させて頂いたことはありますが。
人生で初めて、列席者として参加するのを経験しました。
と言っても、特にすることは無く。
周りの空気を呼んで、要所要所で一礼をするのが主な仕事でした。
もしコロナが無かったら、テープカットも予定されていたとのこと。
・・・・・・・残念。
一生に一度のテープカットチャンスを逃してしまいました。
そして、開会式が終わったら、皆で記念撮影を。
こちらは、公式に撮影されたものですが、微妙に右に傾いているような。
右肩下がり。
これが、何かを暗示していないことだけを、ただただ祈るのみです。
さて、開幕日のこの日には、もう一つ重要なお仕事がありました。
それは、ゲストキュレーター4人によるクロストークイベントです。
コロナの影響もあり、定員をグッと絞って30名での開催。
3月以降、多くのトークイベントが延期or中止になっていたため、
個人的には、実に半年以上ぶりとなるリアルのトークイベントでした。
それだけに失敗するわけにはいかない、と、いつも以上に気合を入れて臨みます。
事前に、担当のE藤学芸員に、どんな感じで進行するのか質問してみたところ、
「皆さん、喋り慣れている方ばかりなので、自然と質問し合う感じになりますよ」 とのこと。
「えぇ~~~。ざっくりしてるなァ・・・」
とは思いつつ。
まぁ、なんとかなるだろうと、気楽に構えて、会はスタートしました。
ゲストキュレーターとして、「実はここをこだわりました」 とか、
「この展示には、こんな意味を込めたのです」 とか、いろいろ話したいことを用意していたのですが。
・・・・・・・・・・・・。
やっぱりと言いますか、案の定と言いますか。
進行役がいないため、妙な間が何度か開くことに。
なんとかせねば!
気づけば職業病で、いつものように進行役になっていました。
ゲストキュレーター4人のクロストークイベントではなく、
ゲストキュレーター3人と、司会1人のクロストークイベントです。
話はだいぶ盛り上がったので、あっという間に約1時間が経過。
その時点で、
「まだまだ話し足りないでしょうが、
残り5分となったので、この辺りで締めたいと思います」
という言葉が自然と口から出ました。
心の中では、
“俺、用意してきたキュレーションの話をほとんどしてないのに (泣)”
と、叫んでいました。
トークショー後。
E藤学芸員が近づいてきて、こんな一言を。
「とに~さんの回し、スゴかったです!
職員全員、あの回しの能力を絶賛していましたよ!」
あ・・・ありがとうございます。
もちろんそう言っていただけて、本心から嬉しかったのですが。
1時間のクロストークで、結果的にアピールできたのは、
キュレーションうんぬんではなく、トークの回しのスキルだったようです。
この時、僕の脳裏をよぎったのは・・・・・
「きっとこの先キュレーションのオファーは無いだろう。うん。」
ということ。
全国の美術関係者の皆さま、回しの仕事をお待ちしております。