国立新美術館で、本日より始まりました・・・
“リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝” に行ってきました。
ルーベンスの 《クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像》 や、
ヴァン・ダイクの 《マリア・デ・タシスの肖像》 、
そして、 ラファエロの 《男の肖像》 。
これらの作品が出展されていることは、ポスターやHPなどで、事前に目にしていましたので。
「それなりに、満足度の得られる美術展なんだろうなァ」 とは、予想していましたが。
実際のリヒテンシュタイン展は、
僕が予想したよりも10倍、、、いや、30倍も素晴らしい美術展でした!!
これまでにも、 「良かった!」 「素晴らしかった!」 と思える美術展は、いくつもありましたが。
今回のリヒテンシュタイン展は、そんな一過性の感想に留まらず、
おそらく、向こう10年くらいは、
「○年前のリヒテンシュタイン展に行きました?」 とか。
「あの時のリヒテンシュタイン展に比べると・・・」 とか。
「この美術展は、あのリヒテンシュタイン展に匹敵するね」 とか。
一つの指標となるような美術展だったように思います。
もしかしたら、数十年後には、伝説の美術展として語り継がれているかも。
美術ファンならば、必見も必見。
これまで美術に興味がなかった人にとっては、鮮烈な美術展デビュー体験が約束された美術展。
余談ですが、今年4月の時点では、
リヒテンシュタイン展は、僕的に全くノーマークの美術展でした。
(その時の記事は、こちら)
あの時の僕に会ったなら、
「お前、半年後に、ビビるよ」
と、忠告してあげたいものです (笑)
ではでは、そこまで素晴らしかったと太鼓判を押すリヒテンシュタイン展。
その見どころを、ご紹介して参りましょう。
と、まずは、その前に。
今回の美術展で公開されているコレクションについて。
そもそも、今回来日しているのはすべて、
リヒテンシュタイン侯国の国家元首であるリヒテンシュタイン侯爵家が所蔵するコレクション。
500年もの長きに渡って、一族で集めた美術品の数は、実に3万点 (!)
その数は、英国王室に次ぐ世界最大級の個人コレクションなのだとか。
ちなみに、このリヒテンシュタイン家のコレクションは、ほとんど海外に貸し出されたことがなく。
1985年にメトロポリタン美術館で、リヒテンシュタイン展が開催されたきり。
今回の日本でのリヒテンシュタイン展は、実に25年以上ぶりという、まさに奇跡の美術展なのです。
というわけで、リヒテンシュタイン家のコレクションが、
今、日本で公開されているという事実だけでも、素晴らしいのですが。
さらに輪をかけて、素晴らしいかったのが、その演出。
“スゴいコレクションを借りてきましたよ。はい。並べときましたよ。”
というような、おざなりな展示では、決してなく。
(そういう美術展は、コレクション展に多い)
ルーベンスによる4メートルの大作 《占いの結果を問うデキウス・ムス》 に、劇的なライティングを当てたり。
名画の数々を、ゆったりとした間隔で展示したり。
リヒテンシュタイン家の素晴らしいコレクションを、
どうしたら、より素晴らしく見せられるか、随所にまで演出がこだわられていた気がします。
特に圧巻だったのは、侯爵家の華やかなバロック宮殿の雰囲気を再現したバロック・サロン。
国立新美術館の展示室内に、突如として現れるバロックの部屋。
リヒテンシュタイン家の机や、
燭台、
タペストリーなどで、
「これでもか!」 というくらいに空間が満たされており、
思わず、そこが、国立新美術館であることを忘れてしまったほどです。
さらに、こちらのバロック・サロンの最大の見せ場は、天井!
なんとなんと、日本の美術展史上初となる天井画が展示されているのです。
もちろん、本物。
アントニオ・ベルッチというイタリア人画家による1700年頃の作品です。
このバロックな空間を日本で堪能出来ただけでも、リヒテンシュタイン展に行く価値あり。
正直、僕個人の感想としては、この空間の感動が大きすぎて、
もうルーベンスとかラファエロとか、観なくてもいいくらいでした。
・・・いや、もったいないから観ましたけど (笑)
リヒテンシュタイン家の美術品のコレクションも素晴らしいのは、当然のこと。
一つ一つ紹介していたらキリがありませんので、
あえて、 “素晴らしいけど・・・あれっwww” という作品を紹介いたしましょう。
まずは、ルーカス・クラナッハ(父) の 《聖エウスタキウス》
描かれている聖エウスタキウスとは、勇猛さで知られる古代ローマの将軍なのだとか。
勇猛は勇猛だったのでしょうが。
それよりも何よりも、気になるのは、そのファッションセンス。
変な赤い服も気になりますが、頭に何を被っているのでしょう?
よく見ると、紐で頭の上に固定しています。
こんなヘンテコな恰好を人前出来るのは、確かに勇猛です。
続いて、世界一高価な象牙彫刻とされる 《豪華なジョッキ》
もはやジョッキに見えませんし、
そもそも、ビールが美味しく飲めそうな気のしないジョッキではありますが。
その精巧な細工は、見事というより他ありません。
というより、あまりに見事すぎて、言葉を失いました。
こんなに見事な彫刻作品にしてもらえるならば、象も本望でしょう (←?)
《井戸端のキリストとサマリアの女》 は、個人的にツボな作品。
これまで数多くのキリストさんの絵を観てきましたが。
こんなにも、チャラい感じのキリストさんは、初めてです。
完全に、ナンパしているように見えます (笑)
キリスト「ねぇねぇ。キリスト教って知ってる?」
女「うん」
キリスト「あれねぇ・・・俺」
↑おそらく、こんなやり取り。
最後は、純粋に、イイと思った名画をご紹介。
ヘリット・アドリアーソンスゾーン・ベルクヘイデ の《ハールレムのマルクト広場、市庁舎のある眺め》
特に、目新しい絵でも、構図やモチーフが斬新な絵でもなんでもないですが。
この絵をパッと見た瞬間に、絵の中の人々が、手前に歩いてくるような錯覚を覚えました。
こんなにも絵の中の人々が動いているように感じられる絵は、初めてです。
地味ながらも、強烈に印象的な一枚。
そして、もう1点。
フリードリヒ・フォン・アメリングの 《マリー・フランチスカ・リヒテンシュタイン侯女 2歳の肖像》
この絵を観て、 「可愛い~♪」 と思わない人は、もはや人ではないのでは (笑)
そう思ってしまうくらいに、可愛過ぎる一枚です。
絵を観賞しているというよりは、
マリー・フランチスカ・リヒテンシュタインのパパに、
iPhoneの待ち受け画面を見せられている感じに近かったです。
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リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝
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