現在、東京ステーションギャラリーでは、
“河鍋暁斎の底力” という展覧会が開催されています。
ここ10数年で、再ブレイクを果たし、
以降、毎年のように展覧会が開催されている河鍋暁斎。
今回のも、そんな毎年恒例の暁斎展のうちの一つかと思いきや、さにあらず!
これまでのものとは、一線を画す河鍋暁斎展なのです!!
そのヒントは、バナーの左上に。
そう。蓮舫ばりに問いかけている通り、
河鍋暁斎による本画が一切展示されていないのです!
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
“なぁんだ、下絵か・・・・・” とガッカリした気持ちになった人もいることでしょう。
確かに、鑑賞するなら、本画 (=完成品) に越したことが無いような気がします。
暁斎ほどの売れっ子画家になると、彩色の際に弟子の手が入ることも多くあったそうです。
いうなれば、漫画家の分業システムのようなもの。
さて、漫画家の展覧会の場合、より有難みを感じるのはどちらでしょうか?
出版された漫画 (=完成版) でしょうか?
それとも、生原稿 (=下絵) でしょうか?
おそらく、多くの方が生原稿 (=下絵) と答えることでしょう。
つまり、そうした暁斎の貴重な下絵が観られる展覧会なのです。
《日本武尊の熊襲退治 下絵》 1853-85年 河鍋暁斎記念美術館
《女人群像 下絵》 河鍋暁斎記念美術館
さらに、下絵ならではのこんな楽しみ方も。
《鳥獣戯画 猫又と狸 下絵》 河鍋暁斎記念美術館
こちらの 《鳥獣戯画 猫又と狸 下絵》 は今のところ、本画が発見されていません。
つまり、下絵でしか確認されていない作品なのです。
この下絵に繋がる部分が、つい最近、発見されたのだそう。
上部3分の1が、その新発見部分にあたります。
新発見の下絵に描かれていたのは、
棒の先の蝋燭で猫又を照らす鼠たちの姿。
猫がネズミに踊らされる。
トムとジェリーのような関係だったのですね。
また、展覧会には下絵以外にも、
暁斎が弟子のために用意した絵手本や、
若き日の暁斎が描いた写生や、
《象 写生》 1863年 河鍋暁斎記念美術館
先人の画家たちの模写なども紹介されています。もちろん本画は抜きで。
さらに、書画会などの席では、どんな画題を頼まれても、
酒を飲みながら、その場で即興で描いてみせたという暁斎。
そんな暁斎による 「席画」 の数々も紹介されています。
お笑いに例えるなら、本画は、練りに練って、
練習に練習を重ねて、ブラッシュアップさせて仕上げたネタ、
対して、席画は、アドリブで挑む一夜限りのネタといったところでしょうか。
完成度はもちろん本画の方が高いですが、
爆発力に関しては、席画も負けてはいません。
いや、むしろ、席画のほうが勝っているかも。
何匹もの猫がナマズを狙う 《群猫釣鯰図》 (写真右) は、
即興で生み出されたとは思えないほどの面白さがあります。
IPPON!
ちなみに。
本来であれば、東京ステーションギャラリーでは、
今の時期に、『ハリー・ポッター』 に関する展覧会を開催している予定でした。
しかし、コロナの影響で来年に延期されることに。
ぽっかり予定が空いてしまったこの期間を埋めるべく、
コレクションを展示し、急場をしのぐことも考えたそうですが。
こういう機会だからこそ、こういう機会にしかできない展覧会を!
ということで、わずか半年の間に、
ゼロからこの展覧会を立ち上げ、今回の開催に至ったのだそうです。
河鍋暁斎の底力ももちろん伝わりましたが、
それ以上に東京ステーションギャラリーの底力を感じた展覧会でした。
┃会期:2020年11月28日(土)~2021年2月7日(日)
┃会場:東京ステーションギャラリー
┃http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202011_kawanabe.html
┃※入場券はローソンチケットで販売
~読者の皆様へのプレゼント~
“河鍋暁斎の底力” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、12月15日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。