現在、パナソニック汐留美術館では、
“香りの器 高砂コレクション 展” が開催されています。
昨年創業100周年を迎えた日本最大の香料メーカー、
高砂香料工業が所蔵する香り文化と歴史を伝えるコレクション、
通称、「高砂コレクション」 から、約240点の選りすぐりの作品を紹介する展覧会です。
余談ですが、展覧会の冒頭のキャプションに、
高砂香料工業の創業者の名前は、甲斐荘楠香とありました。
よく似た名前の人物がいるよなァ、と思ってググってみたところ、
やはり、デロリとした美で知られる日本画家の甲斐庄楠音の実の兄でした。
さてさて。
今回の展覧会は、『第1章 異国の香り』 と、
『第2章 日本の香り』 の2部構成となっています。
『第1章 異国の香り』 では、古代ギリシャやオリエントの香油壺にはじまり、
ラリックやガレといったアール・ヌーヴォーやアール・デコの作家による香水瓶や、
ルネ・ラリック 《香水瓶「ユーカリ」》 1919年 高砂コレクション
大量生産されるようになった20世紀の香水瓶まで。
サンルイ 香水瓶「ラムセスⅡ世(ビシャラ社)」 1928年 高砂コレクション
香りを閉じ込めておくための、
または、持ち運ぶためのさまざまな容器が紹介されています。
中身は嗅覚で楽しむものでありながら、
その器は、視覚でも楽しめるものばかり。
特に圧巻だったのが、特製の展示ケースに、
ズラリと並べられたボヘミアン・ガラスの香水瓶の数々です。
色とりどりで、造形は細部まで精緻。
一つとして同じものが無いので、集めたくなるのも納得です。
また、香りの器はガラス製に限りません。
展示品の中には、マイセンによる陶製のミニチュアのような香水瓶も。
子犬の香水瓶が、特にキュートでした。
ただ、一つ気になったのが、
この瓶のどこから香水を取り出すのか?
下の方からではないことを祈るのみです。
さて、当然ではありますが。
技術的にも、デザイン的にも、
年代が進むにつれて洗練されていきます。
しかし、だからといって、最初期の香りの器が、
魅力的でなかったかといえば、決してそうではありません。
《マーブル文長頸香油瓶》 を筆頭に、
シンプルながら美しい香りの器が多々ありました。
こちらの画像では伝わりにくいですが。
パナソニックが得意とするライティングによって、
実物はこの3割増し、いや、5割増しでキラキラしていました。
なお、展覧会後半の 『第2章 日本の香り』 では、
日本独自の香りを楽しむ文化 ・香道で使用する道具や、
《浜松塩屋蒔絵十種香箱》 明治時代 20世紀 高砂コレクション
板谷波山や濱田庄司らが制作した、
明治時代以降の香炉、香合が展示されています。
また、香木の名品を紹介する一角も。
その中でさらっと、先日の 『麒麟がくる』 にも登場した蘭奢待が展示されていました。
吹けば飛ぶようなくらいの大きさでしたが、
恭しく展示されていたので、間違いなく希少なものなのでしょう。
香るわけがないのですが、思わず鼻を引く付かせてしまいました。
「あいつ、蘭奢待を嗅ごうとしてね?」
クンクンしてる様子を誰かに見られたかと、
一瞬不安になりましたが、よく考えたらマスクをしていたのでした。
マスクは、そういった恥ずかしさも、
防いでくれるので、どうぞお忘れなきように。
┃会期:2021年1月9日(土)~3月21日(日)
┃会場:パナソニック汐留美術館
┃https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/21/210109/
~読者の皆様へのプレゼント~
“香りの器展” の無料鑑賞券を、5組10名様にプレゼントいたします。
住所・氏名・電話番号を添えて、以下のメールフォームより応募くださいませ。
https://ws.formzu.net/fgen/S98375463/
なお、〆切は、1月25日です。当選は発送をもって代えさせていただきます。