現在、資生堂ギャラリーで開催されている展覧会は・・・・・
“アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイ、潮田 登久子、片山 真理、春木 麻衣子、細倉 真弓、そして、あなたの視点” です。
テーマは、「境界」。
アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイ、潮田 登久子、片山 真理、春木 麻衣子、そして、細倉 真弓。
写真表現を軸に活動する女性アーティスト5組による、とんでもなく長いタイトルの展覧会です。
(あまりにも長すぎて、ブログのタイトルに記載しきれませんでしたw)
まず紹介されていたのは、アネケ・ヒーマン&クミ・ヒロイ。
ポートレート写真家のヒーマンと、
グラフィックデザイナーでアーティストのヒロイによるユニットです。
今回、2人が展覧会のために作ったのは、
《Remodeling Shiseido Gallery edition》 という新作。
こちらは、資生堂のポスターを見た人が、
「何が見えるか、何を感じるか」 表現した言葉をヒントに、
ヒーマン&ヒロイが作成した写真を併せて展示した作品です。
さらに、その隣に展示されているのが、
文筆家の大竹昭子さんによるショートストーリー。
こちらは、ヒーマン&ヒロイの写真からインスピレーションを受けて書かれたものです。
資生堂のポスターからスタートして、人々が抱いたイメージ、
ヒーマン&ヒロイの写真、大竹さんのショートストーリーと伝言ゲームのように、
創作が続いていく様は、非常に興味深いものがありました。
ところどころに穴が開いた不思議な壁を使って、
写真作品を発表していたのは、春木麻衣子さん。
春木さんは、カメラの露出補正機能をあえて極端な値に設定し、
黒一色、もしくは白一色で画面が覆われたような写真を撮影するアーティスト。
それゆえ、写真であるはずなのに、
一見すると、まるで抽象画のような印象を受けます。
一体何を撮影しているのか。
何を表現しようとしているのか。
わかるようで、わからない。
追いかけても追いかけても逃げていく月のような作品群でした。
続いては、義足のアーティストとして知られる片山真理さん。
彼女の作品は、自身をモデルにしたセルフポートレートのものが多いですが、
今回展示されていた 《shadow puppet》 シリーズのモデルを務めていたのも片山さん。
彼女の足下を覆う不思議な形をしたオブジェは、
実は、彼女自身の左手がモチーフとなっています。
障害があるから、どうこうではなく。
純粋に美しいものは美しい、力強いものは力強い。
そんなポジティヴでストレートなパワーを放つ作品でした。
資生堂ギャラリーの踊り場と、展示スペースの中央で、
作品が紹介されていたのは、細倉真弓さんの 《newskin》 シリーズ。
これらは、細倉さんが男性の身体表現として、
強く影響を受けたというゲイ雑誌の切り抜きや男性の彫像、
それと、ネット上のセルフィー画像などをコラージュし、さらに、分割&再構築したもの。
原型が無さすぎて、もはや何が何だか・・・。
ただ、それだけモチーフが切り貼りされているのに、
不思議と嫌悪感や、暴力的な感じは受けませんでした。
むしろスタイリッシュな感じ。
スタバに飾ってありそうな感じです。
さてさて、最後に紹介されていたのは、
5組の中では最年長となるベテラン、潮田登久子さん。
紹介されていたのは、《本の景色/BIBLIOTHECA》 シリーズ。
本をオブジェとして撮影するシリーズです。
一口に本といっても、その種類や状態はさまざま。
外国人相手のお土産本として出版された小泉八雲訳の 『おむすびころりん』 もあれば、
触ると表紙の皮がボロボロと粉状に剥がれ落ちるほど劣化が激しい、図書館の本も。
中でも衝撃的なビジュアルだったのが、こちらの一枚。
・・・・・・・・本なのか??
実はこちらは、マカオのとあるシロアリ駆除業の店頭に飾ってあったものとのこと。
シロアリは建物だけでなく、本もこのように食べてしまうのだそうです。
紙は木から生まれる。
そんな当たり前のことを、この写真とシロアリが気づかせてくれました。