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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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開館記念展 時計台の修復・復元

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日本を代表する総合印刷会社DNPこと、大日本印刷。

 

 

 

その巨大な本社ビルのすぐ近くに、

ひっそりと今年2月にオープンしたのが・・・・・

 

 

 

市谷の杜 本と活字館。

「リアルファクトリー」 をコンセプトに、

印刷の美しさや奥深さ、楽しさを体感できるミュージアムです。

レトロな雰囲気漂うこちらの建物は、大正時代に、

DNPの前身である秀英舎によって建てられた印刷工場の一部を修復・復元したもの。

 

具体的には、一体どのようなアプローチで修復・復元されたのでしょうか。

そのあたりが気になる方は是非、2階の展示室へ!

こちらでは現在、“開館記念展 時計台の修復・復元” が開催されています。

 

 

 

この建物のシンボルでもあり、

長年親しまれていたという 「時計台」。

 

 

 

今回の開館に合わせ、資料や写真をもとに、

文字盤のフォントを一から作成し、復元したのだそうです。

 

 

 

たかが文字盤。されど文字盤。

その再現にここまでこだわるのは、

さすが秀英舎イズムを引き継ぐ大日本印刷ならではです。

 

さてさて、建築ももちろん見どころの一つではありますが、

市谷の杜 本と活字館の展示のメインとなるのは、やはり活字でしょう。

秀英舎と聞いて、秀英体を思い浮かべた方は、おそらく筋金入りのフォントマニアです。

秀英体は、約100年に渡って継承されている活字 (フォント) で、

優美でしなやかな線画を持ち、美しく読みやすい書体として知られています。

もし、その名を知らずとも、

秀英体で書かれた文字は人生で何度も目にしているはず。

例えば、『週刊新潮』 や 『平凡パンチ』 で使われているのが秀英体です。

 

 

 

さらに、日本を代表する辞書 『広辞苑』 に使われているのも、秀英体です。

 

 

 

ところで、こういった活字はどのように作られ、

そして、どのように印刷して製本されるのでしょうか?

それらを貴重な実物や資料を交えて教えてくれるのが、市谷の杜 本と活字館なのです。

 

 

 

今では当たり前のようにパソコンでワードを開き、

キーボードを打って完成した文章をプリンターで出力していますが。

 

 

 

かつては、職人さんが膨大な数の活字から文字を拾い、

それを組み合わせて、印刷機にかけて1枚1枚印刷していたわけです。

 

 

 

そのありがたさたるや!

手書きの文字でこそないですが、

活字には活字の温かみがあることを、

こちらの展示を通じて再発見することができました。

星
完全予約制で入場は無料。

時間によってはワークショップも無料で楽しめるそう。

本好きにはたまらないミュージアムです。

 

なお、展示品とは別に、

館内のいたるところに活字が使われていました。

エレベーターの案内やカフェの案内も活字。

 

 

 

トイレの案内だって活字です。

 

 

 

2階に設置されていた飲食可能なベンチもまた、活字でした。

 

 

 

読書が好きゆえに、活字中毒を自称してきましたが。

フォントの・・・もとい、本当の活字中毒とは、

活字そのものを偏愛する人のことをいうのでしょう。

その域に達していないことを実感したので、

活字中毒と自称するのはやめようと思います。

これからは単なる “読書好き” と名乗ります。

 

 

ちなみに。

そう広くはない館内なのですが、

スタッフさんは、わりと多めでした。

カルディくらいに多め。





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