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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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THE ONE SHOW2020展

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久しぶりにアドミュージアム東京へ行ってきました。

アドはアドでも、『うっせぇわ』 のAdoではなく、

世界でも珍しい広告 (Ad) 専門のミュージアムです。

 

トレンドに敏感なミュージアムだけあって、コロナ対策はバッチリ!

館内を巡って完成させるスタンプラリーは、足踏み式に改良されていました。

 

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さてさて、現在開催されているのは、

“THE ONE SHOW2020展” という展覧会です。

 

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世界三大クリエイティブ・アワードの一つで、

NYに拠点を置く非営利団体ワンクラブが主催するTHE ONE SHOW。

その2020年の受賞作品の中から、80点を厳選して紹介する展覧会です。

 

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2021年の今に、2020年の回を取り上げているのは、

単純に、昨年この展覧会が開催できなかったという理由もあるそうですが。

2020年、つまりビフォーコロナの時代を振り返ろうという狙いもあるそうです。

なお、2020年のThe One Showには、

71か国から合計1万9688作品の応募があったそう。

この数は過去最高を記録したのだとか。

史上最もハイレベルなThe One Showだったようです。

星

 

 

ちなみに。

The One Showには、Best of Discipline (最高部門賞) や、

​Gold、Sliver、Bronzeなど、いくつかの賞があるとのこと。

 

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その中でも最高の賞となるのが、Best of Show。

2020年の栄えある頂点に輝いたのが、

バーガーキングによるこちらのCMです。

 

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バーガーキングの看板商品、ワッパー。

人工保存料を削減していることをアピールするために、

あえてワッパーが35日かけて腐っていく姿をアピールしたのです。

いかに美味しそうに見せるか。

食べ物のCMの常識の逆を行っているにも関わらず、

かえってワッパーを食べてみたくなるから不思議なものです。

とはいえ、このCMが成立する背景には、

“マクドナ〇ドのハンバーガーは腐らない” という噂があるゆえ。

バーガーキングお得意の煽りが冴えに冴えたCMです。

 

 

続いては、最高部門賞の受賞作品の中から、

気になったものをいくつかご紹介いたしましょう。

まずは、ドイツでのタンポンブックという取組みをご紹介。

 

 

 

実は、つい最近まで、ドイツではタンポンに、

最高税率である19%の税が課されていたのだとか。

女性にとって生活必需品に関わらず、それはおかしい。

そう考えたとある生理用品のオンラインショップは、法律を逆手に取り、

税率が7%しか課せられない書籍に、タンポンを入れたタンポンブックを販売しました。

この本は、 1週間で1万部が完売。

政府はこの事態を重く受け止め、

2019年11月にタンポン税は廃止されることとなったそうです。

ただ声高に減税を訴えるのではなく、

スマートな方法で、最終的に目的を達成する。

思わず拍手を送りたくなるアイディアでした。

問題を解決したいときにこそ、頭を使える人間になりたいものです。

しかし、ドイツは先進国でありながら、

タンポンに17%も税をかけているだなんて!

・・・・・いや、冷静に考えたら、今日本は10%かかっているんですよね。

ドイツ以下。

 

 

性差をテーマにした作品は他にも多数ありました。

中でも特にハッとさせられたのは、

スウェーデンの車メーカー・ボルボのこんなWebサイト。

 

 

 

実は、世の中のほとんどの車は、

平均的な体格の男性向けに設計されているのだそうです。

実験に使われる例のダミー人形は、主に男性型。

それゆえ、女性にとっての安全性はより低 くなっているとのこと。

なんと、女性が自動車事故でケガをする確率は、

男性より71%高 く、さらに、死亡率も17%高いのだとか!

しかし、ボルボは1970年代から

身体のサイズや性別に関係なく、実験を続けていたそうで、

その結果、すべての人に等しく安全な車となったのだそうです。

車の安全性に男女差があったとは。。。

お恥ずかしながら、今までまったく意識したことがありませんでした。

無知だったことを大いに反省します。

 

 

社会問題を取り上げた作品以外で、

特に印象に残っているのは、アップルのAirPodsのCMです。

 

 

 

 

AirPodsの解放感な音楽体験を、ビジュアル化したCM。

若い男性がまるでトランポリンで飛び跳ねるように軽やかに音楽を楽しんでいます。

シュルレアリスムのようであり、

マグナム・フォトの写真を彷彿とさせるものがあり。

純粋に美しいCG映像だなァと思ったら、

なんと全編実写で撮影されているとのこと。

それを踏まえて改めて観てみると、二重にビックリしました。

 

 

最後に。

惜しくも最高賞、最高部門賞は取り損ねましたが、

個人的に秀逸なアイディアだと感じたGOLDの作品をご紹介。

それは、ケチャップでお馴染みのハインツのあるアイディアです。

 

 

 

瓶に入ったトマトケチャップは、巧く取り出すのが至難の業。

これまで多くの人々が、自分なりの最適な方法を見つけるも、

「これだ!」 という決定的な方法は発見されていませんでした。

そこで、ハインツ自ら研究を重ね、

ケチャップをかける際の完璧な角度である31°を発見!

それを世界中の人々に伝えるべく、ラベルにある工夫を施しました。

さて、ここでクエスチョン。

その工夫とは一体どんなものだったのでしょう?

 

正解は、こちら↓

 

 

 

そう。

ラベルを31°傾けたのです。

ラベルが垂直になるように傾けた時が、ベストな角度になるという仕組み。

シンプルながら素晴らしいアイディアです。

ただ、ラベルに 「57」 という数字があるせいで、

完璧な角度が 31°だったか57°だったか、ごっちゃになりそうなのが玉に瑕。





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