東京オリンピック・パラリンピックの開催に合わせて、
東京を文化の面から盛り上げるプログラム “パビリオン・トウキョウ2021” が開幕しました。
このプログラムは、日本を代表する9人 (組) の建築家、クリエイターが、
都内各所の好きな場所に、思い思いのパビリオンを設置するというものです。
参加費は基本的に無料。
すべてのパビリオンを訪れるもよし、
気になるパビリオンだけを訪れるもよし。
人それぞれ自由な楽しみ方ができるプログラムとなっています。
アートテラーとしては、せっかくなので、
すべてのパビリオンをコンプリートしたいところ。
まずは、事前予約が必要な草間彌生さんのパビリオンを訪れました。
会場となるのは、渋谷区役所第二美田竹分庁舎。
その一角に草間さんの代表作の一つ、
《オブリタレーションルーム》 が誕生していました。
《オブリタレーションルーム》 とは、真っ白な部屋に、
来場者がカラフルなシールを好きな場所に貼っていくことで、
徐々に白い部屋が消滅していくというインスタレーション作品です。
これまでの 《オブリタレーションルーム》 は、洋室ワンルームだけでしたが。
今回のはスペシャル版として、3部屋に拡張!
しかも、そのうちの1部屋は、初となる和室スタイルです。
プログラムが開幕して1週間も立たずに、
すでにカラフルなシールがたくさん貼られていました。
普通に貼る人もいれば、
シールで文字を書いたり、猫の足跡を作る人も。
中には、隠れミッ●ーを作ったツワモノもいました。
ディズ●ーに怒られないか。
僕が気にすることではないですが、
若干、心配になってしまいました (笑)。
渋谷区役所から歩くこと5分強。
かつてこどもの城だった建物の前に設置されているのが、
藤原徹平さんによる 《ストリート ガーデン シアター》 です。
テーマは、「植物たちの劇場」 なのだとか。
巨大な木造の構造体のあちこちに、
役者に見立てたという植物の植木鉢が多数置かれています。
なお、植物だけでなく、
人間もこの劇場を歩き回ることが可能です。
建築基準法的には、物見塔とのこと。
一番高いところから、青山通りを行き交う人を眺めたり、
岡本太郎の 《こどもの樹》 を見下ろしてみるのも一興です。
続いてのパビリオンは、こちらのすぐお隣、
丹下健三が設計した国際連合大学の前に設置されていました。
ボウル型の木造の立体物 《Global Bowl》。
作者は、太田市美術館・図書館の設計でも知られる平田晃久さんです。
一見、巨大なお椀をくり抜いて作られたように思えますが。
よくよく見ると、複雑な構造をしていることに気が付きます。
まるで、メビウスの輪が幾重にも組み合わさったかのよう。
実はこの作品は、最新技術でカラマツの集成材を削り出し、
全部で100ほどのピースを組み合わせて作られているそうです。
残念ながら、コロナのため、お手触れ禁止となっていましたが、
当初の計画では、穴だらけにすることで通り抜けができるようにしたかったのだとか。
うーん。通り抜けしてみたかったです。
ぜんぶコロナのせいだ。
さてさて、徒歩で巡れるのはここまで。
ここからは電車などを使って、都内各所を巡ります。
まず訪れたのは、代々木公園。
パノラマ広場付近に、藤本壮介さんによるパビリオンが設置されていました。
その名も、《Cloud pavilion(雲のパビリオン)》。
複数の白いバルーンで構成されており、
空気が絶えず送り込まれることで、この形状を維持しているそうです。
ちなみに。
高輪ゲートウェイ駅改札内にも、
《Cloud pavilion(雲のパビリオン)》 が設置されているそうですが。
おそらく、同じものを見たところで、
「それな」 としか思えなさそうなので、そちらは割愛しました。
お次は、明治神宮外苑名物のいちょう並木へ。
その入口に2つの城型のパビリオンが設置されています。
作者は会田誠さん。
ブルーシートで覆われた4mのお城と、
段ボールを張り合わせて作られた10mのお城。
2つ合わせて、《東京城》 です。
被災地などで仮設住宅に使われる、
ブルーシートと段ボールを素材にすることで、
被災地へのエールも込めているのだとか。
ちなみに。
見た目は仮設感満載 (?) ですが、
実は入念に実験を重ねて作られているそうです。
段ボールも普通の段ボールではなく、
防水加工がしっかり施されているのだとか。
会期終了の9月5日まで、きっと持ちこたえるはず。
・・・・・と、本日はこれまで。
残り4つのパビリオンは、
明日の後編でご紹介いたします!