“パビリオン・トウキョウ2021” のパビリオン、コンプリートする旅の続きです。
会田誠さんの 《東京城》 から、ぷらぷら歩くこと10分。
ワタリウム美術館の向いの空き地に到着しました。
そこに設置されていたのは、
真鍋大度+Rhizomatiksによる 《2020-2021》 です。
横長すぎるディスプレイに映し出されているのは、
昨年春の緊急事態宣言から現在までに収集した、
「東京」 という言葉が入ったニュースに対するコメントと、
中止になったイベントの情報などをもとに、AIが生成したテキストと画像とのこと。
ディスプレイの表面には、ビックリマンシールのキラシールを彷彿とさせる、
レンズが貼られており、特定の角度からしかテキストや画像を確認できないようになっていました。
確かに、読みづらかったです・・・。
読めたところで、内容も難しかったですが・・・。
さらに、ここから北側に向かって歩くこと10分。
突如として、インパクトのあるパビリオンが現れました。
このジブリっぽい建物を作ったのは、もちろんあの建築家。
そう。藤森照信さんです。
こう見えて、実は茶室です。
その名も、《五庵》。
茶室の内部に入ってみたいという方は、
事前にワタリウム美術館の受付にて、直接予約をする必要があります。
ピーターラビットの家の扉みたいな、
小さな出入口をくぐって中へと入ります。
すぐに茶室があるのかと思いきや、
1階部分はガランとした空間に梯子があるだけ。
どうやら茶室は2階にあるようです。
ちなみに、この梯子が、茶室の躙り口の役割を果たしているのだそう。
梯子の角度が急ゆえ、なかなかの怖さがあり、
必然的に、にじるように上らざるを得ませんでした。
さて、こちらが2階の茶室です↓
外観もかなり個性的ですが、茶室もかなり個性的。
畳敷きではなく、巨大なテーブルが中央に置かれた洋風な (?) 茶室となっていました。
なお、この茶室の窓からは・・・・・
国立競技場を一望することができます。
風通しもよく、居心地は抜群。
本当に、ここでお茶が飲めたら良かったのに。
お次は、九段下へ。
1925年に竣工した旧山口萬吉邸 (現・九段ハウス) の庭園に、
新進気鋭の建築家・石上純也さんによるパビリオンが展示されていました。
その名は、《木陰雲》。
焼杉の柱と屋根で庭全体を覆った作品です。
出来立てホヤホヤのはずなのに、
まるで竣工時から、ここにあったかのような。
それくらいに庭と自然に調和していました。
なお、この屋根は夏の強い日差しを遮ると同時に、
周囲の高層建築のある風景を消し去る狙いもあるそうです。
ちなみに。
《木陰雲》 の設置に合わせ、九段ハウス内に夏季限定で、
1日3組限定でディナーを提供するフレンチレストランがオープンしているそう。
興味のある方は、こちらも是非チェックしてみてはいかがでしょうか。
“パビリオン・トウキョウ2021” のパビリオンを巡る旅。
最後に訪れたのは、汐留にある浜離宮恩賜庭園です。
江戸時代の代表的な大名庭園の一つで、
海水を引き入れた 「汐入の池」 が特徴的。
高層ビルとの対比も美しい庭園です。
なお、基本的に参加費無料の “パビリオン・トウキョウ2021” ですが。
こちらに関しては、庭園の入園料がかかります。
そんな浜離宮恩賜庭園に展示されていたのは、
世界的建築家・妹島和世さんによる 《水明》 という作品。
かつて迎賓館があったという芝生に、
曲水をモチーフにした110mの水路を設置。
わずかに勾配が付けられているそうで、
実は、水はゆっくりゆっくりと巡回を繰り替えているのだとか。
と、これは余談ですが。
《水明》 を観た後に、庭園を散策していたら、
こちらでも藤森照信さんのパビリオンを発見してしまいました。
・・・・・と思ったら、鴨を捕まえるための猟場の名残なのだそう。
パビリオンではありませんでした。
ちなみに。
期間中、“パビリオン・トウキョウ2021” を企画したワタリウム美術館では、
連動して、“パビリオン・トウキョウ2021展 at ワタリウム美術館” が開催されています。
パビリオン制作時のプロセスやスケッチ、
図面、模型、実際に使用された素材などを紹介。
“パビリオン・トウキョウ2021” をより深く楽しむための展覧会です。
展覧会を先に観てから、“パビリオン・トウキョウ2021” を楽しむか、
それとも、“パビリオン・トウキョウ2021” を先に観てから展覧会を楽しむか。