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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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時代の美 第1部 奈良・平安編

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一昨年に開催された “国宝 源氏物語絵巻” の会期終了をもって、
2年間という長い長い改装工事期間に突入した五島美術館。


そんな五島美術館が、2012年10月20日に、完全リニューアルオープンを果たしたとのこと。
いてもたってもいられず、早速、新生五島美術館に足を運んできました。

久しぶりに降り立つ東急線上野毛駅。
その光景も懐かしいですね・・・・・・・・って、ん??

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-上野毛駅


いやいやいや、こんなにぶっ飛んだ駅でしたっけ??

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-上野毛駅


どうやら、こちらの上野毛駅は、昨年3月に、
五島美術館より一足早く、リニューアルオープンしたとのこと。
設計は、あの安藤忠雄さんだそうです。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-上野毛駅


離れたところから見ても、何とも存在感のある駅です。
・・・と、リニューアルした上野毛駅に、気を取られてしまいましたが。
今回の目的地は、こちら↓

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-五島美術館


2年の改装工事を経て生まれ変わったニュー五島美術館です。
屋根の緑と白い壁のコントラストが、
改装前と比べると、よりクッキリとした気がします。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-五島美術館


・・・・・うん。
上野毛駅の改装が、あまりにも衝撃的だったため、
五島美術館の改装が、霞んでしまった感は否めません。
2年越しの対面が、あっけないもになってしまいました。
上野毛駅には、もう少し空気を読んでほしかったものです(笑)


とは言え、外装こそ、そんなに変化はないですが。
内部は、大きくリニューアルされていました。
まず何よりも特筆すべきなのは、展示スペースが拡大されたこと。
改装前は、展示室が1部屋しかありませんでしたが、
今回の改装によって、展示室が2部屋になっていました。
その分、観られる作品も増えるわけですから、これはお客さんとしては、とても嬉しいことです。
また、展示室も、黒一色のスタイリッシュな空間に大変身。
綺麗になるのは、とてもイイことだとは思うのですが。
根津美術館や出光美術館と似たりよったりな展示室なので、
個人的には、没個性な感じがしてしまい、少し寂しさも残ります。
ともあれ、今回のリニューアルは、大いに意義があるような気がします。
このリニューアルをきっかけに、新しい五島美術館ファンが増えるといいですね。


さてさて、そんな五島美術館では、
新装開館記念名品展として、 “時代の美 五島美術館・大東急記念文庫の精華” が開催中。
こちらは、五島美術館ならびに大東急記念文庫が所蔵する名品を、
半年に渡って、奈良・平安編鎌倉・室町編桃山・江戸編朝鮮・中国編の4部で紹介する美術展です。
ちなみに、五島美術館も大東急記念文庫も、
ともに東急を創設した実業家・五島慶太 (1882~1959) の美術コレクション。
その充実した内容は、とても個人コレクションとは思えないレベルです。


そんな五島コレクションが誇る国宝や重要文化財を含む名品の数々を、
これからの半年間で、次々と見せて頂けると知って、思わず・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-美の友会


美の友会に入会してしまいました。
まず間違いなく、半年間で4部とも行きますし、
都合が付けば、前後期も行きますので、これで年額4000円は、お得です♪


さてさて、現在開催されているのは、 “時代の美 第1部 奈良・平安編”
展示品の多くを占めるのが、 《石山切(伊勢集)》 や、

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-石山切(伊勢集)


源俊頼が書いたとされる 《東大寺切(三宝絵詞)》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-東大寺切(三宝絵詞)


をはじめとする古筆切のコレクション。
それに加えて、法華経やら久能寺経やらの経典に、国宝の 《史記 孝景本紀第十一》 などなど。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-史記 孝景本紀第十一 大江家国筆
(注:展示は、11月4日まで)


総じて、字ばっかりの展示です (笑)
展示室が増えた分、字もその分だけ増えています。
絵を観たい人にとっては、物足りない美術展。
反対に、書が好きな人にとっては、絶対に見逃せない美術展。
ただ、11月6日から始まる後期では・・・

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-源氏物語絵巻 鈴虫


あの 《源氏物語絵巻》 も展示されるそうなので、
絵が好きな方も絶対に見逃せません!
星星


ちなみに、いまだ書の良し悪しが、イマイチわからない僕ですが。
紀貫之の筆とされる 《高野切古今集(第一種)》 は、理屈抜きで素晴らしいと思いました。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-高野切古今集(第一種)


なんとも不思議なのですが、この文字を観た瞬間、
ELTの伊藤一朗のような語り口で、語りかけられているような気がしたのです!
(なぜ、ELTの伊藤一朗なのかは不明w)
訴えかけてくるような美術品の数々は目にしてきましたが、語りかけてくるような美術品は初めて。
本当に素晴らしい書になると、文字が独りでに語りだすのですね。
(大丈夫です。気は確かです。)


書の作品が多い中で、一際異彩を放っていたのが、
《過去現在絵因果経断簡(益田家本) 耶舎長者出家願図》

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-過去現在絵因果経断簡(益田家本)


下の段に書写されているのは、釈迦の物語を説いた経典 『過去現在因果経』 。
上段は、その内容を絵にして図解したものなのだそうですが・・・絵がゆるいにもほどがあります (笑)
せっかく下の段で、イイことを言っていたとしても、
上段の脱力的な絵のせいで、台無しになっちゃっているような気がします (笑)


最後に、奈良時代に描かれたとされる貴重な絵画作品をご紹介。
《麻布山水図》 です。

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-麻布山水図


良く言えば、シンプルで素朴な絵画。
悪く言えば、テキトーに描いたようなヘタウマな絵。
だけど、不思議と、悠久の時のようなものを、この絵に感じるのです。
高田純次がサラッと発したテキトーな言葉が、何だか哲学的な洞察を含んだ深い言葉に思える。
その感覚に似ています。




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