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Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
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ブダペスト国立工芸美術館名品展

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この秋、パナソニック汐留美術館では、

“ブダペスト国立工芸美術館名品展” が開催されています。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

ブダペスト国立工芸美術館は、ヨーロッパ諸国において、

屈指の歴史とコレクションを誇る工芸を専門とする美術館です。

そのコレクションの白眉といえるのが、アール・ヌーヴォーのコレクション。

さらには、ジャポニスムのコレクションも充実。

今回は、そんなブダペスト国立工芸美術館のコレクションの中から、

選りすぐりのジャポニスム&アール・ヌーヴォーの一級品の数々が来日しています。

 

 

 

その数、実に約170件(約200点)!

 

 

 

それらの中にはもちろん、

アール・ヌーヴォーといえば外せないガレや、

 

エミール・ガレ 《オダマキ文台付花器》 1898年頃 ブダペスト国立工芸美術館

 

 

その最大のライバルであったドーム兄弟、

 

ドーム兄弟 アンリ・ベルジェ 《夕景図花器》 1902年頃 ブダペスト国立工芸美術館蔵

 

 

アメリカにおけるアール・ヌーヴォーの第一人者で、

あのティファニーの創業者の息子であるルイス・カムフォート・ティファニーの作品も。

 

ルイス・カンフォート・ティファニー 《孔雀文花器》 1898年以前 ブダペスト国立工芸美術館蔵

 

 

アール・ヌーヴォー好きが目を皿にするような、

ツボをしっかりと抑えたラインナップとなっています。

さらに、今展で特にフィーチャーされているのが、ジョルナイ陶磁器製造所。

ヘレンドと並んで、ハンガリーを代表する磁器工場です。

 

 

 

そんなジョルナイ陶磁器製造所の代名詞ともいえるのが、エオシン彩。

ジョルナイ陶磁器製造所独自の釉薬で、

メタリックで玉虫色に輝くのが最大の特徴です。

 

ジョルナイ陶磁器製造所 《葡萄新芽文花器》 1898-1899年頃 ブダペスト国立工芸美術館蔵

 

 

輝く磁器というと、自分の中では曜変天目が一強でしたが、

エオシン彩の放つ光を目の当たりにして、思わず心が揺らぎました。

どのエオシン彩の磁器も素敵だったのですが、

個人的にイチオシなのは、《天空風景文花器》 です。

 

 

 

光の輝き方が美しいのは当然として、

そのデザインの可愛らしさに、心を撃ち抜かれました。

さすがは、夜景の美しさに定評のあるブダペスト。

花器に施された夜景も美しかったです。

 

 

ちなみに。

アール・ヌーヴォーは美しいだけにあらず。

華やかで美しい陶磁器の数々がたっぷり紹介された後に、

リアルな魚や虫、鳥をモチーフにした作品が紹介されていました。

 

 

 

そのギャップたるや・・・。

不意打ちだったので、変な声を上げそうになりました (笑)

なお、もっとも衝撃的だったのが、イギリスのミントン社製のお皿2枚。

 

 

 

たぶん鑑賞用なのでしょうが。

もし、何も知らず、このお皿で料理が提供されて、

食べ進めていくうちに、この絵柄が表れたら、ドン引きすると思います。はい。

 

 

さてさて、ここまでアール・ヌーヴォーの作品ばかり紹介してしまいましたが、

アール・ヌーヴォーに大きな影響を与えたジャポニスムの作品も、同じくらいに充実していました。

 

image

 

 

モチーフが完全に日本のそれで、

いかにもジャポニスムな作品も多々ありましたが。

紹介されていた中には、言われなければ海外製とは思えない、ほぼ日本製 (?) な作品も。

 

 

 

また、日本の七宝焼に寄せたと思われる作品が紹介されていたのも興味深かったです。

 

ジョルナイ陶磁器製造所 《黄色のヤグルマギク文花器》 1900年頃 ブダペスト国立工芸美術館蔵

 

 

ちなみに、個人的にもっとも日本を感じたのは、

展覧会のラストで紹介されていたドーム兄弟の 《多層間金箔封入小鉢》 でした。

 

ドーム兄弟 《多層間金箔封入小鉢》 1925-1930年 ブダペスト国立工芸美術館蔵

 

 

サイズ感や形状は、天目茶碗のよう。

茶室にもしっくりくることでしょう。

上の画像では巧く伝わらないかもしれませんが。

実物はもっともっと繊細な印象で、

金の箔が散らされた料紙を彷彿とさせるものがあります。

あと、セブンイレブン限定の高級な和のハーゲンダッツを彷彿とさせるものもあります。

 

 



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