武蔵野市立吉祥寺美術館で開催中の展覧会、
“土田圭介 鉛筆画展 心の灯り” に行ってきました。
こちらは、2020年春に開催されたものの、新型コロナの影響で、
たった1週間しか開けなかった幻の展覧会のリベンジver.(?) となるものです。
その際に出展されていた作品はもちろんのこと、
近作や新作も出展されており、前回の展覧会よりも、
パワーアップ、スケールアップした内容となっています!
さてさて、展覧会のタイトルから想像がつくでしょうが、土田さんは鉛筆画家。
その作品はすべて鉛筆で描かれています。
どこかRPGの世界観を彷彿とさせるような、
ダークファンタジー感溢れる作風に定評のある土田さん。
その描き出す光景も独創的ですが、描き方もかなり独創的です。
緻密に描かれたこれらの絵は、離れて観ると、
シンプルな線を引いて描かれているかのように思えます。
が、よーく近づいてみてみましょう。
独特のスタイルで描かれているのが、お分かりになりましたか?
まだピンと来ないという方のために、
さらに、絵に近づいてみることにします。
実は、土田さんは、縦のストロークを無数に重ねることで、
他の鉛筆画にはない唯一無二のニュアンスを生み出しているのです。
・・・・・・・と言われても、よくイメージが湧かないかも。
僕が説明するよりも、実際に制作風景の動画を観てもらえば一目瞭然。
想像している以上に、何本も線を重ねて描いているのがわかりますよ。
なお、ひたすらに縦の線を重ねるスタイルは・・・・・
黒一色の部分にも使われています。
決して、ゴシゴシとベタ塗りしているわけではないのですね。
その制作作業を思い浮かべるだけでも、気が遠くなります。。。
と、土田さんの制作方法は一応分かったのですが。
それを理解した上でも、不思議でならないのが、光の表現です。
もしかして、紙に直接弱い豆電球でも貼り付けてない?
そう錯覚してしまうほどに、画面から確かに光が感じられるのです。
鉛筆だけで描かれているはずなのに。
しかも、光って見えるのは、紙そのものの色のはずなのに。
美術を観ているというよりも、
もはや魔術を観ているような気すらしました。
ちなみに。
今展の目玉といえるのが、今展のために制作された最新作 《行方》。
縦約1.6m、横約3mの超大作です。
土田さんの作品の中ではもっとも大きな作品なのだそう。
他の作品と比べてみると、その大きさは歴然です。
これほど大きな作品でありながら、他の作品と同様に、
いや、もしかしたらそれ以上に、緻密に無数のモチーフが描き込まれていました。
あっ、こんなところに何かいる!
おっ、ここには飛行船が!
観れば観るほど、何かと出逢える。
観るたびに新しい発見のある作品です。
情報量が多いので、まるで映画を1本観たかのような。
それも、3部作くらいの超大作を観たかのような充実感がありました。