Quantcast
Channel: アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】
Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

ボテロ展 ふくよかな魔法

$
0
0

現在、Bunkamura ザ・ミュージアムでは、

“ボテロ展 ふくよかな魔法”が開催されています。

 

(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

コロンビアを代表する国民的画家で、

今年めでたく90歳を迎えたフェルナンド・ボテロ。

その日本では26年ぶりとなる大規模展覧会です。

星星

 

 

ボテロの作風の特徴は何といっても、

描かれている人物が皆一様に、ふくよかであること。

 

 

 

コロンビアの人全員が、

このような体型ではないとは思いますが。

『世界まる見え!テレビ特捜部』で、

こんなシーンを実際に観たことがあるような。

そんな謎の説得力があります。

 

また、市井の人々だけでなく、ボテロが描くと、

イエス・キリストやモナ・リザといった名画のモデルもぽっちゃり体型に。

 

 

 

マリー・アントワネットも、ごらんの有様です。

 

 

 

パンが無ければ、バターをたっぷり使ったケーキを食べればいいじゃない。

カロリーなんて気にせず、好きなだけ食べればいいじゃない。

疲れるから、運動もしなくていいじゃない。

そんなこんなで、こんな体型になったのでしょう。きっと。

 

 

さらには、ボテロは人間に限らず、

生き物や静物までもメタボ化させています。

 

 

 

彼の手にかかれば、あらゆるものが、ぽってりとしたフォルムに大変身。

ぽってり・・・ぼってり・・・ぼってろ・・・ぼてろ・・・ボテロ!バンザーイ!

名は体を表す、とは、まさにこのことです。

 

 

なお、今展に出展されているのは、約70点。

そのうちの大半が、日本初公開とのことです。

それらの中には、ボテロが今の作風に辿り着く前の初期の貴重な作品も。

17歳の時に描かれたという《泣く女》は・・・・・

 

 

 

あまりにも標準体型すぎて、

ボテロの個性がまったく感じられませんでした。

その10年後に描かれた作品では、

すでに人物がふくよかにはなっていましたが。

 

 

 

ぽっちゃり体型というよりも、

腹踊りをしている人のような感じでした。

 

 

ちなみに。

ボテロ自身は、生涯を通じて中肉中背。

そんな彼が、どうしてこのふくよかな画風に辿り着いたのでしょうか?

それは、1956年のある晩のこと。

ボテロはアトリエで、マンドリンを描いていました。

その際に、何気なくマンドリンの穴を小さく描いたところ、

マンドリンのフォルムと穴のコントラストにより、楽器がふくらんで見えたのだとか。

 

 

 

それ以来、ボテロは一貫して、

ボリュームを表現することに、心血を注ぐようになったそうです。

 

 

右を見ても、ふくよか。

左を見ても、ふくよか。

 

 

 

ふくよかに描かれた人々には、暖か味と安心感があり、

観ているだけで、心がほぐされるような効果がありました。

不思議と、会場にいたお客さん全員の表情がゆるんでいたような。

あと、不思議と、会場にいたお客さん全員がスリムに感じられました。

瘦せ見え効果もある展覧会です。





1位を目指して、ランキングに挑戦中。
下のボタンをポチッと押して頂けると嬉しいです!

Blogランキングへ にほんブログ村 美術ブログへ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 5005

Trending Articles