現在、東京都現代美術館で開催されているのは、
“ジャン・プルーヴェ展 椅子から建築まで”という展覧会。
20世紀の建築や工業デザインに大きな影響を与え、
今世界的に再注目の機運が高まっているフランスの建築家であり、
デザイナーでもあったジャン・プルーヴェ(1901~1984)の大規模個展です。
日本ではまだそこまで知名度はないかもしれませんが。
現在のフランスを代表する建築家たちが、師と仰ぐほどで、
あのル・コルビュジエに、「建築家であると同時に建設者」と言わしめた人物です。
ちなみに、彼の父の友人に当たる人物が、エミール・ガレ。
ジャンという名前は、ガレが名付け親なのだそうです。
展覧会の前半で紹介されているのは、
ジャン・プルーヴェが手掛けた家具の数々。
シンプルで、機能的。
なおかつ、工業生産化にも対応しています。
でありながら、決して無機質な印象はなく、
むしろ工芸品として、凛とした美しさも兼ね備えていました。
実は、最初から工業デザイナーだったわけでなく、
金属工芸家としてキャリアをスタートさせたところに、よるところが大きいのかもしれません。
そんなプルーヴェが手掛けたプロダクトの中で、
もっとも代表的なものが、スタンダードチェアです。
会場では、スタンダードチェアを中心に、
プルーヴェが手掛けた名作椅子の数々が、一堂に会していました。
まるで行列をなしているように並べられた様は、圧巻も圧巻。
東京ガールズコレクションのフィナーレのランウェイのようでした(←?)。
ちなみに。
プルーヴェの手にかかれば、
学校の椅子と机も、カッコイイ仕上がりに!
日本のものとは、えらい違いです。
メカニカルかつ、メタリックで、
ロボットのコクピットを彷彿とさせるものがあります。
展覧会では他にも、彼がデザインした脚立や、
自転車といったアイテムも紹介されていました。
さらには、こんなものも。
関連資料を展示するためのただの什器かと思いきや、
なんとこの什器そのものも、プルーヴェが設計したものとのこと。
什器自体がオシャレすぎて、
中身があんまり入っていきませんでした(笑)
いや、それは什器としてはどうなのだろうか??
さてさて、展覧会の後半では、
プルーヴェの建築物の数々が紹介されています。
もちろん、一般的な建築展同様に、
建築模型も数多く展示されていましたが。
家具のように、簡単に解体できて、
軽量で運搬や移築できる建築を目指した彼だけに、
実際に使われていた建築の部材が、それ以上に展示されています。
中でも極めつけなのが、吹き抜け空間に設置されたこちらの建物。
パッと見は、びっくりドンキーの店舗のようですが。
こちらは、第二次世界大戦中に、
ピエール・ジャンヌレ共同設計した《F 8x8 BCC組立式住宅》です。
1日で分解することができ、2日もあれば組み立てることが可能とのこと。
実質3日で、簡単に移築できる住宅建築です。
ちなみに、内部はこんな感じ。
3日で作られたとは思えないほど、
ウッディで心地よさげな空間となっていました。
また、吹き抜け空間を巧く活用して、
見下ろす形で内部を鑑賞することも可能となっています。
人様の家の内部を、こんなアングルで、
マジマジと観たことはなかったので、貴重な体験でした。