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生誕100年 山下清展 百年目の大回想

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つ、つい先日、ぼ、ぼ、ぼくは、

そ、SOMPO美術館で開催中のて、展覧会、

せ、せ、“生誕100年 山下清展 百年目の大回想”に行ってきたんだな。

 

(注:展覧会の写真撮影は、特別に許可を頂いております。)

 

 

か、会期が、は、はじまってすぐの、

そ、それも平日だから、お、お客さんは少ないと思いきや、

そ、想像以上に、お、お客さんが、い、いっぱいだったんだな。

に、日本人はおむすびとおなじくらい、や、山下清が好きなんだな。

 

思いがけぬ大盛況ぶりに、あまりに驚いてしまったので、

“裸の大将”モードはやめて、ここからは普通にお届けしたいと思います。

 

昨年2022年、放浪の天才画家・山下清が生誕100年を迎えました。

それを記念して開催されているのが、こちらの展覧会。

ちぎり絵に出逢ったばかりの貴重な初期の作品から、

 

山下清《ほたる》 1934(昭和9)年 貼絵 12×17.5cm 山下清作品管理事務所蔵

 

 

遺作となったペン画の「東海道五十三次」シリーズまで。

 

山下清《東海道五十三次・富士(吉原)》 制作年不詳 版画 27×35cm 山下清作品管理事務所蔵

 

 

山下清の代表作約190点が集結した、

100周年を記念するに相応しい豪華な展覧会となっています。

 

 

山下清=裸の大将。

僕を含めて、そのイメージが頭にこびり付いている人は多いことでしょう。

しかし、実際の山下清は、旅先には画材道具を持っていなかったそう。

旅先で絵を描くことはなく、スケッチやメモも取ることなく、

旅から帰ってきてから、その驚異的な記憶力で、作品を制作していたそうです。

また、ランニングに短パン姿で放浪していたのも、テレビの演出だったとのこと。

実際の山下清は、こちらの浴衣を着て放浪していたそうです。

 

展示風景

 

ちなみに。

放浪していたのは、本当です。

12歳から入園した養護施設「八幡学園」の生活に飽きた清は突然出奔。

その後、約10年以上にわたって、日本各地を放浪したそうです。

こちらは、その放浪の様子を山下清本人が記した『放浪記』。

 

展示風景

 

 

展覧会では、その一部が紹介されていましたが、

個人的に気になってしまったのは、リュックサックに関する記述です。

 

展示風景

 

 

『荷物を手に持って歩くより 荷物をしょって歩いた方が楽だから

 りゅっくさっくを買おうと思って 三島の町の中の人に聞きながら さがして歩いても

 りゅっくさっくは売ってないので りゅっくさっくを売っている店が見つかる迄さがしたら

 やっと りゅっくさっくを売ってる店が見つかったので りゅっくさっくを買ってから 駅へ行って 
 りゅっくさっくの中へ自分の荷物を皆しまったので

 今度はどこへ行こうかと思って しばらく考えていた』

 

何回りゅっくさっく言うねん!

 

ついツッコミたくなってしまいました。

そして、こちらがそのリュックサック。

 

展示風景

 

 

放浪中は、このリュックサックに、

茶碗や箸、手拭、着替えに加えて、

護身用の石ころを5個入れていたそうです。

ナイフやスタンガンでないところが、ほのぼのとしています。

 

 

と、それはさておき。

人物像に対するイメージもさることながら、

この展覧会を通じて、その作品に対するイメージもガラッと変わりました。

これまではなんとなく、素朴な作品という印象を抱いていましたが。

実際の貼絵作品は、素朴どころか、むしろその逆、超絶技巧で作られていました。

 

展示風景

 

例えば、こちらの《栗》という作品。

 

《栗》 1938(昭和13)年

 

 

離れて観る分には、“まぁ、栗だなァ”という感じでしょうが、

近づいて観ると、実に細かいパーツが組み合わされているのが見て取れます。

 

 

 

いかに根気を要する作業なのか。

想像に難くありません。

なお、よく観ると、文字が書かれているのがわかります。

実はこちらは古切手を使っているのだとか。

 

そんな山下清の真骨頂ともいうべき作品が、《長岡の花火》です。

 

山下清《長岡の花火》 1950(昭和25)年 貼絵 53×75cm 山下清作品管理事務所蔵

 

 

こより状で表現された花火にばかり目が向いてしまいますが。

 

 

 

画面の下をよーく観てみると、

びっしりと観客が描かれているのがわかります。

 

 

 

しかも、服装や帽子までも、

一人一人、ちゃんと表現されていました。

細かすぎて伝わらない、とはまさにこのことです。

 

さらに、こちらの《グラバー邸》は、山下清の集大成ともいうべき作品。

 

《グラバー邸》 1956(昭和31)年 個人蔵

 

 

正直なところ、貼絵とは思えませんでした。

それほどまでに細密な表現。

貼絵を極めると、貼絵を超える。

そんなことを山下清に教えられた気がします。

 

他にも、海外を旅して描いた貼り絵や水彩画、

 

展示風景

 

 

山下清が絵付けをした陶磁器など、見どころは多数!

 

展示風景

 

 

いい意味で、山下清のイメージが変わる展覧会でした。

こんなスゴい芸術家だったとは!

 

マティス展やらテート美術館展やら、

アーティゾン美術館のABSTRACTION展やら、

注目の展覧会が多い2023年の夏ですが、この山下清展は完全なるダークホース。

ちなみに、当時、有名画家となっていた山下清の展覧会が、

昭和31年に東京の大丸百貨店で26日間にわたって開催されたそうですが、

その動員数は、なんと驚異の80万人だったとか!

もしかしたら、この山下清展も、ひょっとしたらひょっとするかも。

星星星

 

 

なお、「日本のゴッホ」と称された清ですが、

本人自身もゴッホには強い関心があったそうで、

ゴッホ作品の模写や、ゴッホに影響を受けた自画像も制作していました。

 

展示風景

 

 

また、ゴッホが亡くなる数か月前に描いた傑作、

《花咲くアーモンドの木の枝》を明らかに意識した油彩画も残しています。

 

山下清《ぼけ》 1951(昭和26)年 油彩 58×44cm 山下清作品管理事務所蔵

 

 

それだけに、ゴッホの《ひまわり》があるSOMPO美術館で開催されているのも良き。

きっと山下清本人も喜んでいることでしょう。

 

 

所蔵の表記が無いものはすべて山下清作品管理事務所蔵
© Kiyoshi Yamashita / STEPeast 2023

 

 

 ┃会期:2023年6月24日(土)~ 9月10日(日)

 ┃会場:SOMPO美術館
 ┃https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2022/yamashitakiyoshi/

 

 

 

 

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