2022年から23年にかけて全国3都市、
大阪、東京、名古屋を巡回する、大規模な岡本太郎展が開催されました。
その出展作品の多くを占めていたのが、川崎市岡本太郎美術館のコレクションです。
ということは、つまり、岡本太郎展が開催されていた期間は、
川崎市岡本太郎美術館では、岡本太郎の名品を出展できていなかったということ。
大規模な巡回展がようやく終わったため、
川崎市岡本太郎美術館にメインの作品群が戻ってきました。
それを記念して(?)現在、美術館では“凱旋!岡本太郎”という展覧会が開催中です。
展覧会にはもちろん、川崎市岡本太郎美術館が誇る、
岡本太郎の初期の傑作《重工業》や《森の掟》も出展されています。
さらに、それより前のパリ留学時代に描いた《傷ましき腕》も出展されています。
(オリジナルは戦火で焼失したため、展示されているのは1949年に制作されたもの)
他にも、岡本太郎が結成した美術団体、
「夜の会」の名称のもととなった作品《夜》や、
岡本太郎が手掛けた日用品の数々も展示されていました、
そのラインナップはほぼ、3都市を巡回していた“展覧会 岡本太郎”と同じ。
見ごたえは十分、いや、本家の意地を見せていたため、
むしろ、“展覧会 岡本太郎”よりも見ごたえがありました!
例えば、展覧会の冒頭では、
消失してしまったパリ時代の作品を、
原寸大で再現したものが展示されていました。
人物画の印象がほとんどない岡本太郎ですが、
若き日は、意外と人物を描いた作品を手掛けていたようです。
また例えば、岡本太郎はコンスタントに作品を発表している印象がありますが、
実は10年近く潜伏期間があり、そのリスタート時に発表された作品も出展されていました。
さらには、これまで未公開だった紙焼き写真も出展されていました。
久しぶりの自館のコレクションとの再開とあって、
いつも以上に、川崎市岡本太郎美術館が本気を出していたように思えます。
特にそれを実感したのが、こちらの展示スペース↓
こんなにも圧とインパクトが強い展示ができるのは、
岡本太郎を知り尽くした川崎市岡本太郎美術館だけ。
この光景が観られただけでも、川崎市岡本太郎美術館に足を運んだ甲斐がありました。
また、もう一つ印象に残っているのが、
展覧会のラストを飾るこちらの展示コーナー。
ベンチの上に何気なく目を向けると、
このような張り紙が設置されていました。
そう、こちらは、作品のスケッチが可能な展示コーナーなのです。
スケッチくらい自由にさせてあげればいいのに!
と、個人的には常々思っているのですが、
なぜか日本の美術館は、スケッチに対して厳しく、
スケッチを許可している美術館は数えるほどしか存在していません。
美術館でスケッチしてみたい!
そう思っていた方は、この機会に是非。
ちなみに。
“凱旋!岡本太郎”は10月1日まで開催されていますが、
8月31日までは“超凱旋!タローマン”も同時開催されています。
昨年7月にNHKで放送されて以来、SNSを中心に、
「なんだ、これは!」と大反響を巻き起こしたミニ番組『TAROMAN』。
その撮影に使われた衣装や小道具の数々が展示されています。
さらには、幼少時からタローマンファンだったという(設定の)、
山口一郎さん秘蔵のタローマングッズコレクションも展示されています。
もちろん、これらのグッズはどれもこれもフェイク、
1980年代に実際に発売されていたわけではないのですが、
細部まで創り込まれているので、絶妙なリアル感がありました。
例えば、こちらのOVAとか。
絵のタッチといい、箱の傷み具合といい、
「デ・タ・ラ・メ やってごらん・・・・・・・」というコピーといい、すべてが絶妙です。
個人的に一番唸ってしまったのが、タローマンソーセージ。
そういえば、子どもの頃、
この手のヒーローもののソーセージを食べてましたっけ。
絶妙に懐かしい気持ちになりました。
なお、川崎市岡本太郎美術館といえば、
出口付近の巨大なコルクボードにびっしりと、
他館の展覧会のポスターが貼ってあり、情報収集に重宝しているのですが。
今回に限っては・・・・・
『TAROMAN』仕様になっていました。
個人的には、「タローマン大迷惑」でした。