今年2023年は、我がふるさと千葉県誕生150周年の節目の年。
それを記念して、現在、千葉県立美術館では、
“房総の海をめぐる光と影とアート展”という展覧会が開催されています。
150周年を祝うものだけあって、展覧会は豪華2本立て。
まずは、“描かれた房総”と題して、
千葉県立美術館のコレクションの中から、
千葉県内の光景が描かれた作品の数々が紹介されています。
それらの中には、“日本のミレー”とも呼ばれた浅井忠や、
“昭和の広重”とも呼ばれた川瀬巴水が描いた千葉の風景もありました。
さらには、歴史の教科書に掲載されていた、
明治時代の風刺画でお馴染みのジョルジュ・ビゴーの作品も。
なお、ただ絵画が展示されているだけでなく、
その絵のモチーフになった場所の現在の光景も、
今展のために撮り下ろされた写真で紹介されていました。
画家が描いた千葉の光景が、現在はどうなっているのか。
観比べてみるのもまた一興です。
そして、同じく“房総の海をめぐる光と影とアート展”として、
同時開催されているのが、“クワクボリョウタ《コレクションネット》”という展覧会。
日本を代表する現代アーティスト・クワクボリョウタさんの最新個展です。
もともと、千葉県立美術館としては、
千葉県出身でも在住でもないクワクボリョウタさんに、
外部から見た千葉県をテーマに新作を作ってもらいたくオファーしたそうなのですが。
とても真面目なクワクボさんは、自発的にリサーチを買って出たそうで。
それも、チーバくんと掛け合いをしながら、
千葉県の地理や自然、産業など多角的にリサーチしたそうです。
ちなみに。
チーバくんはふなっしーと違って、おしゃべりしないので、
掛け合いといっても、パネルにはチーバくんのセリフはありません。
しかし、おそらく、チーバくんは、
相手の脳内に語り掛けるシステムなのでしょう(←?)。
一応、掛け合いは成立しているようでした。
と、それはともかく。
展覧会の前半では、クワクボさんがチーバくんと掛け合いをし、
実際にリサーチした中で生まれた6つの習作が紹介されています。
それは、落花生から着想を得たものであったり、
地磁気が逆転した地層「チバニアン」から着想を得たものであったり。
作品の着想のもととなっているのは、
千葉県民にとってはお馴染みのモノやトピックばかりでした。
中でも特に印象的だったのが、こちらの作品です。
これはもう、どこからどう見ても、千葉県の形ですね。
それが、山本寛斎が手掛けたデビット・ボウイの衣裳風になっています。
いや、ミニマリズム時代のフランク・ステラの絵画のようでもあります(←正解はこちら)。
千葉県が生んだ偉人といえば、
日本で初めて正確な日本地図を作った伊能忠敬。
それに倣って、御年52歳のクワクボさんは、
自転車で千葉県一周することに挑んだそうです。
で、その旅の軌跡をGPSで表したものを、
そのままの形で変形キャンバスとして制作し、
フランク・ステラのように、そこから等間隔で白い線を引いたものが、上の作品とのこと。
なお、自転車で千葉県を一周するのに、計6日間かかったのだとか。
何でまた、そんなに身体を張ったのでしょう(笑)??
そういえば、前回、千葉県立美術館で個展を開催された、
山下麻衣+小林直人さんも自転車に乗って身体を張っていましたっけ。
もしや、千葉県美で展覧会をする際には、
自転車で身体を張るのが、マストなのかもしれません。
それからもう一つ、千葉県民的に、
反応せざるを得なかったのが、こちらの作品。
なのはな体操からインスパイアされた作品です。
たぶん、千葉県民以外には、
「なんじゃそれ?」と思われるのでしょうが。
千葉県には、なのはな体操なる謎の体操があります。
自分は踊れないのですが、市によっては、
学校でなのはな体操を踊らされることがあったようです。
さらに、千葉テレビで毎日のように、
なのはな体操をただ踊るだけの5分番組が上映されていました。
今は、学校で教えられていない、
千葉テレビでも放映されていない、
千葉県民にとっては黒歴史のような(?)、
なのはな体操に興味を持ったクワクボさん。
なのはな体操を菜の花の人形に躍らせてみようと、思い付いたそうで。
それも、一人が複数の人形を躍らせるビジーフォーとは逆の(?)、
複数の人間が一つの人形を操って躍らせるスタイルにこだわったそうで。
その結果、こんな映像作品が爆誕していました(笑)。
たぶん千葉県民以外には、ささらない作品かも。
でも、千葉県民であれば、確実にささる作品です。
ちなみに。
展覧会のラストでは、クワクボさんによる代表的なシリーズ、
光と影による幻想的なインスタレーションの〈Lost〉の新作が発表されています。
直接的に、千葉感のあるアイテムは使われていないのですが、
でも、どことなく、千葉の雰囲気を感じられる作品に仕上がっており、
すべて観終わった際には、謎の感動でちょっと目頭がうるっときました。
全千葉が泣いた。
のちにそう語り継がれることでしょう。
全千葉県民に観て頂きたい展覧会です。
(他県民もよかったら、どうぞ!)